【公認会計士試験合格体験記 働きながら一発合格!】「公認会計士試験合格のためのストラテジー」 麻植 大幹さん

 

麻植 大幹さん

  • 働きながら一発合格
目次

はじめに

私は前職が国家公務員であり、2017年4月より現在所属する監査法人にて監査業務を経験しつつ公認会計士試験に向けた勉強を本格化させました。実質勉強期間は1年と少々で、いわゆる短期合格の部類に入ると思われます。そこで、短期合格を目指す方をはじめとしてなるべく効率的な勉強で合格したい方の一助となるべく以下私の勉強方法等を「ストラテジー」と称してご紹介したいと思います。

公認会計士を志した動機

自分の中に軸となる「何か」を身に付け、職業人としてのアイデンティティを確立したいという思いがあり、公認会計士を志望しました。私は、前職ではいわゆるキャリア官僚として某中央官庁で数年間勤務していました。新聞等に載るような仕事に関われやりがいを感じることがある反面、与野党間の政局的駆け引きに翻弄される日々を送っており、掛けた時間や労力の割に自分の中に蓄積されるものがないと感じていました。加えて、私のような事務官と言われるポジションは技官の人達よりも一般的には出世はするものの、「頭は良いが、どこまで行っても専門性のない素人」と揶揄する人もいるように、ジェネラリストの要素が非常に強いキャリアを歩むことになります。

このような状況の中、当初は国家公務員として勤務し続けることを前提に、「専門性を持ち合わせたジェネラリスト」を目指すべく、ニーズはあるものの私の勤めていた先ではあまりいなかった会計の専門家を自分の中の軸となる「何か」に据え、公認会計士を目指すこととしました。
結果的には前職を辞職しましたが、公的なものへの関心は失っておらず、逆に監査人や単なる会計の専門家として生きていく人生には興味がないため、比較的短期間のうちに公的セクターに戻ることも視野に入れており、そこで専門性を持ち合わせたジェネラリストの強みを発揮していきたいと考えています。

クレアールを選んだ理由

①社会人をターゲットとして謳っていること
②費用が比較的安いこと

の2点です。私は社会人として0から勉強をスタートさせたので、社会人を明確なターゲットにされており、合格者に占める社会人の割合が高いことは魅力的でした。また、掛けられる費用には限界があるため、比較的安価でサービスを受けられることもクレアールを選んだ理由となります。

受講してみて良かった点は、メールでの質問が随時できることです。教材等で疑問を持ったことは随時質問し、質問することで自分の頭の中を整理すると良いでしょう。

科目別ストラテジー

ここから本題の勉強方法の話となります。私の場合、会計系の試験のための勉強は初めてでしたが、これまでに人並み以上の勉強経験があり、勉強に対する型がある程度確立されていました。あくまでも私の意見ですが、これまであまり勉強して来なかった人が1年やそこらで受かるほど公認会計士試験は甘い試験でではないと思います。したがって、自分の勉強経験に照らして現実的な目標を設定すべきであり、その中でより効率的な方法を模索する上での一助として以下お読みください。そして、皆さん自身の公認会計士試験合格のための「ストラテジー」を確立してください。そのストラテジーが見えれば合格はすぐそこです。

簿記

私は簿記のようなオールオアナッシング(1円でもズレれば×)の試験が苦手で、最後まで得意にすることができませんでした。2017年2月時点(その年の12月に短答式試験合格)でようやく簿記2級に合格し、その後1級に落ちたまま公認会計士試験へ突っ込むという邪道(笑)を歩みました。

簿記の勉強方法には大きく2パターンあると思います。兎に角問題を解くことで馴れを作るパターンと、理解を重視していくパターンです。勿論、理解重視のパターンも一定の問題演習が必要なので程度の差の問題と言えるかもしれませんが、簿記と対峙する心構えとしてどちらのパターンで攻めるのか早い段階で決めておくのが良いのかなと思います。印象とてしては、前者のパターンで攻めた方が試験で高い点数が取れると思います。ただ、勉強時間が限られており簿記は最低限でよしとするのであれば、後者のパターンで攻めるのが良いでしょう。私は後者でした。

短答式試験はクレアールの短答式試験の過去問集を回転させました。クレアールの通常の簿記の問題集を回転させることはありませんでしたが、過去問集は解説があるものも多く、短答式試験で最低限の点数獲得を狙うのであれば、この過去問集のBランク問題くらいまでの問題を大体解けるようにするのが効率的だと思います。

論文式試験は何と言っても連結会計と企業結合会計です。当初企業結合会計は苦手でしたが、仕訳を覚えるよりも、連結の視点で最終的にあるべき財務諸表を考えるという姿勢で臨むと大崩れしなくなりました。連結会計も同様で、仕訳を覚えるよりも、最終的にあるべき財務諸表から考える方が点数は伸びると思います。仕訳を書けという問題も出なくはないのですが、安定してそれなりの点数を狙っていくのであれば、この2つの分野に関しては、途中のプロセスとしての仕訳は自信がなくてもタイムテーブル等を利用すれば最終的な財務諸表は作れます、という状態の方が点数に繋がる気がします。

財務諸表論

まずは概念フレームワークを押さえるべきです。概念フレームワークの資産、負債等の定義が財務諸表論を考える起点になることが多いためです。概念フレームワークを理解するに当たっては、企業会計原則をはじめとするいわゆる伝統的な会計論との対比で押さえていくと理解が深まる場合もあります。個々の会計基準については概念フレームワークの学習後に概念フレームワークと関連付けながら押さえていくという方法を私は取りました。

短答式試験の時点では苦手意識を持っていたものの、上記のように理解を整理することで論文式試験の時点では安定して得点が取れるようになっていました。

スピーチですが、私自身は基準に書かれていることは覚えない等主体的に覚えるべきところを取捨選択して利用しました。答案を書くための文章のストックは必要なので、丸暗記は基本的なもの(資産や負債の定義等)以外は不要ですが、核となる部分のイメージは反芻できるようにしておいいた方が良いでしょう。

管理会計

勉強方法は簿記や財務諸表論と大差はないですが、短答式試験において是非とも皆さんに実行していただきたいことがあります。それは、試験開始前に表紙に記載されている各問の配点をチェックし、問題を解く順番を頭の中でイメージすることです。管理会計の短答式試験の問題は、配点と難易度が概ね比例します。管理会計では最低何点の点数を取るかをあらかじめ決めておき、そのためには7点又は8点の計算問題を何問取らなければならないかを導いておきます。例えば、私の場合だと、管理会計で最低60点、そのためには7点又は8点の計算問題を計4問獲らなければいけないと決めていました。そこまであらかじめ決めておき、試験当日スタートの合図があるまでに表紙の各問の配点とにらめっこしながら計算問題の解く流れを繰り返し頭の中でイメージしておきます。

特に短答式試験の管理会計は時間との戦いです。1秒でも惜しいこの試験においては、全体の問題を眺めながら解く順番を悩むのでは時間のロスが大きくなります。配点と難易度が比例する試験の特性を有効に活用し、試験開始前から試験を解く準備ができるアドバンテージは大きいです。そして、最低限確保すべき点数が取れる目途が立てば、後は余剰点数と考えられるので、精神的なゆとりも生まれます。

当初は管理会計で実力程にも点数が取れず悩んでいましたが、この方法に気付き実践するようになってからは模試や答練でも点数が安定し、本番は80点を越える点数を獲得できました。

企業法

山本先生の授業が良かったです。基礎期は講義を中心に据えると良いかと思います。そして、企業法の勉強は一にも二にも条文です。私は前職で自らも法令の条文を書いていたため条文を読むことに抵抗はなかったのですが、最初は抵抗のある方でも条文を引くことはマストです。短答式試験は条文の理解が問われることがほとんどですし、論文式試験は条文が引けないとお話になりません。

付言するなら、短答式試験の勉強はクレアールの過去問集及び答練を基本教材として回転させ、最初のうちは出てくる条文を片っ端から引いてください。必ず後に効果が現れます。ちなみにこの方法を実行した結果、短答式試験での私の成績は90点でした。論文式試験の勉強は条文を引くことは変わらず、クレアールの論文式試験用の教材を利用し、論点をイメージできるようにしてください。論文式試験の直前期は各予備校の模試の際に出題予想論点が示されるため、それに基づいて出そうな論点については自分で論証カードを作っておくと頭の整理もできてオススメです。

監査論

短答式試験の勉強方法は企業法と似ており、過去問集及び答練を基本教材として回転させ、出てくる基準を片っ端から引いていました。監査論も短答式試験は90点でしたので、この方法は間違っていないでしょう。論文式試験については、事例問題等も多く出てくるため実務を知らない段階では中々ハードルが高いと思います。それは皆同じなので、最低限偏差値50程度を目指すのであれば監査論の勉強時間を他の勉強に回すのも一つの手でしょう。

租税法

4月頃から勉強を本格化させるというスロースタートでした。本番もできた感はなかったのですが、蓋を開けてみれば偏差値60を超えていたので、平均的な受験生は租税法まで中々手が回っていないのだと思います。

勉強方法としては、教材の基本問題をとにかく解けるまで回転させ、後は時間配分の感覚を身に付けるために答練や模試をひたすら解き、計算問題で4割程度正答するとはどういうことかという感覚を養うに尽きます。計算問題で安定して正答できるか不安な場合は、第1問の条文問題対策も別途行うべきだと思います。

経営学

経営学も租税法と同様に4月頃から勉強をスタートさせ、偏差値60以上を確保しました。第1問については用語の暗記量が鍵です。第2問の計算についてはひたすら問題集や過去問を回転させました。私の場合は、公認会計士試験のファイナンスに出てくる程度の数学には苦手意識がなかったため、短期間での勉強でそれなりの得点へと繋げることができましたが、そこは個々の特性を考えながら計画を立ててください。ただ、問題をひたすら解くと言っても、簿記に比べると学習範囲は限られているので費用対効果は悪くないでしょう。理解のウェイトを落としたとしても、比較的短期間でそれなりの得点へは繋げられる科目だと思います。

最後に

私は現在勤めている監査法人で試験合格に向けてのサポートを受けられたため、その点については感謝しています。また、高校卒業以来の実家暮らしを許容してくれた親にも感謝をしています。感謝の気持ちが必要なのは間違いありませんが、自分の人生を決められるのは結局自分しかいないため、感情に流され過ぎずに、時にはクールに決断していくことも必要であることを、自分に言い聞かせる意味でも締めの言葉として述べておきます。

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