2025年10月1日(水)の合格発表の結果をふまえ、クレアール専任講師の斎藤正美講師と永田真仁講師より、講評をいただいております。今年の本試験の結果の分析をされる方や今後学習を再開される方はもちろん、社労士試験の受験を継続を悩まれている方は、ぜひ一度ご確認いただけますと幸いです。
齋藤正美講師からのメッセージ
永田真仁講師からの講評
10月1日に合格発表がありました。今年の本試験の結果の分析と今後の学習法について書かせていただきます。
1. 基準点について
選択式は補正3科目、択一式は合格点42点で補正1科目
まず、今年度は非常に難易度の高い試験でした。それは合格基準点の引き下げや科目ごとの補正にも表れています。択一式試験は平均点が前年と比較して2.2点下がりました。本試験の試験会場という特別な環境の中で長時間、難易度の高い試験問題に取り組まれた皆様は、大変なご苦労だったことと思います。本当にお疲れ様でした。
選択式試験
合格基準点 | 昨年度実績 | |
---|---|---|
総得点 | 22点以上 (平均20.3点 前年度比△2.6点) | 25点以上 (平均22.9点 前年度比△0.4点) |
各科目 | 労働者災害補償保険法 労働に関する一般常識 社会保険に関する一般常識 につき 2点以上 その他 3点以上 | 労働に関する一般常識 につき 2点以上 その他 3点以上 |
択一式試験
合格基準点 | 昨年度実績 | |
---|---|---|
総得点 | 42点以上 (平均28.4点 前年度比△2.2点) | 44点以上 (平均30.6点 前年度比△1.2点) |
各科目 | 雇用保険法 につき 3点以上 その他 4点以上 | 全科目 につき 4点以上 |
2. 選択式試験について
厚生労働省のホームページで公表されている科目別の得点分布表をグラフ化してみました。今回補正のあった3科目を含め、全科目で受験生の5割が得点できている点数が取れると科目別基準点をクリアできることがわかります。全科目、偏りなく得点ができることが重要となります。

3. 択一式試験について
選択式と同様にグラフ化してみました。同様に、全科目で受験生の5割が得点できている点数が取れると科目別基準点をクリアできることがわかります。皆さまの本試験の点数が、受験生全体のどの位置にいるか、総得点だけではなく科目別に確認してみてください。得意科目と不得意科目がご自身の認識とは異なるかもしれません。

別のグラフで見てみます。横軸が得点、縦軸が科目別のその点数の受験生の割合です。

まず、労働保険科目と一般常識では、雇用保険法が約1点分、山の位置が低得点側にあり補正が入ることになりましたが、ほぼ山の形は似ていて、中央の4点・5点に集まっていることがわかります。

一方、社会保険科目は、健康保険法はほぼ労働科目と同じ形ですが、今年は特に国民年金法で山のピークが低く、裾野が広いことがわかります。これは、高得点の受験生の割合が他の科目より多く、受験生での差がつきやすい、ということを示しています。この傾向は毎年続いており、社会保険科目は高得点をとることが可能であり、ここで得点を稼ぐことで合格に近づくことがわかります。
もう1つ、別の資料ですが、クレアールに寄せられた本試験受験生の解答結果から、択一式の設問別の正答率を出し、そのうち5割を切る設問を科目別・正答率別に表にまとめたものです。
正答率 | 19%以下 | 20~29% | 30~39% | 40~49% |
---|---|---|---|---|
労基・安衛 | 問6、問9 | ー | 問10 | 問2 |
労災 | ー | ー | 問5 | 問2 |
雇用 | 問7 | ー | 問1、問5、問9 | 問2 |
一般 | ー | 問6、問9 | ー | 問5 |
健保 | ー | 問5 | 問1、問4、問8、問9 | ー |
厚年 | 問1、問2 | 問6 | 問7 | ー |
国年 | ー | ー | ー | 問1、問10 |
合計数 | 5問 | 4問 | 10問 | 6問 |
まず、本試験の正答率が30%未満のものは誰もわからない捨て問と判断でき、今年はその問題数は9問でした。また、正答率が50%未満の問題数は25問であり、正答率50%以上の問題を全問正解できると45点となり合格基準点に達することがわかります。
4. 合格するための勉強法について
「試験の難易度が年々あがっている」「試験問題の傾向が以前と変わっている」などの理由で、受験経験者の方からは特に「どのように対策すれば良いかわからない」ということをよく聞きます。
ただ、ここまでの本試験の分析でわかることは「受験生の5割の人が得点する問題を確実に得点できれば社労士試験には合格できる」という事実です。勉強しなければならない範囲が拡がっているように感じるかもしれません。でも合格に必要なことは、本試験の会場で正解すべき問題と捨て問を見分けて、正解すべき問題を確実に正解する力をつけることです。そのためには、①正確な知識を身につけること、②その知識をもとに正確にアウトプットができること、③捨て問に惑わされないこと、の3つが必要です。②の問題を解く力を通じて①の正確な知識を身につけていくプロセスが大切になります。
クレアールの社会保険労務士講座は、知識をつけるための基本講座も充実していますが、それ以上に答練などのアウトプット講座が充実していることが特長です。知識をつけるだけではなく「どう問題を解くのか」を実践的に学んでいくことで「得点する力」を高めていくことができます。「受験生の5割の人が得点する問題を確実に得点する」ためにご活用いただければ幸いです。皆さまと一緒に来年合格のお祝いができることを楽しみにしております。