司法書士2015年一発合格者インタビュー 豊田 崇宏さん(5/5)

 

目次

苦手科目、苦手分野の克服法

清水 では次に、苦手科目や苦手分野の克服法についてお聞きしていきます。学習を進めていくと、例えば民法のどこそこの分野がわかりにくくて辛かった、会社法のイメージが掴みにくかった、記述式の何々に戸惑いがあったなど苦労したことがあったかと思います。このような苦手となりそうな分野、あるいはご自身が苦手と感じた科目・分野をどのように克服したかお聞かせください。

豊田 繰り返しになりますが会社法です。最初の方の章はまだ理解は多少できたんですけれども、会社法の中でも特に、事業譲渡とか資本金の増減とかになると…。
そして持分会社、組織再編、特に会社法の後半の方が特に条文も読みにくくて何のことを言っているのか最初は分からずに読んでいたような感じでした。ただ、資本金の増減や組織再編に関しては、記述の勉強を通して徐々に理解できるようになったと思います。私の場合、進め方が正しかったかよく分からないですけども、主要科目、マイナー科目の択一の勉強が全部終わった後に最後に記述の講義を視聴したんですけれども、今、思うと主要科目が終わった後に記述を勉強しておいた方が、択一の復習をする時に理解は早かったかなというのが反省点としてあります。記述を勉強して初めて、会社法の理解が深まったという部分が大きかったですから。記述ではあまり問われない持分会社に関しては最後の方まで理解が深まらなかったので、直前期にメモ用紙にたくさん書き出して覚えました。

清水 力業で暗記しようと思ったのですか。

豊田 はい、メモ用紙に書き出し、試験直前もずっとにらみつけて、問題数はそんなに出ないと思ったんですけれども、簡単な問題では絶対に落とさないように気を付けるために丸暗記しました。

清水 先ほども少しおっしゃっていましたけれども、苦手な分野は時間をかけて学習しましたか。たとえば「択一六法はここを見よう」という具合に…。

豊田 会社法は特に改正の部分もあったので、古いものは一通りチェックが終わっていたんですけれども、もう1回送っていただいた改正後の会社法の択一六法を読み返してまた同じように最初からメモなどつけていきながらもう一度一から読み直しました。特に直前期は会社法の改正部分などを中心に勉強しましたし、最後は苦手科目に絞っていました。

 

答練・模試について

清水 続いて、答練や模試の利用方法について伺います。初学者にとっては答練で思うように解けないこともあれば、問題を解く勇気がなかったり点数が伸びなくて辛く思うことがあると思います。答練を解くときの心構え、注意したことや工夫したこと、返却された答案や成績表の利用方法、定期テスト・解法マスター講義の利用の有無や活用方法をお聞かせください。

豊田 答練・模試ではまずは時間配分、試験の実践力をつける上で自分にとって時間をどう配分していくのが、なるべくミスなく安定的に得点が取れるかということを意識しながら、毎回やり方を少しずつ変えてみて、どれが自分に一番いいのかを考えながら、やり方を試す場として使いました。あとは私の場合、択一を午前・午後30問ずつぐらい取れれば合格に届くかなということが1つの目安としてあったので、解いていく中で今の自分の知識で安定的に何点ぐらい取れるのか、そして今例えば20何問ぐらいで30問に届くにはあとどの部分を特に埋めれば早いのか、自分が弱い分野とか科目を見つける意味で利用していました。そして例えばマイナー科目の午後の民訴系の得点が伸びれば何とか30問に近づくと思うと、そこを中心に勉強するというように、強化する部分を見つけるという意味で使いました。

清水 講義の進捗にあわせて学習する「定期テスト」は利用されていましたか。

豊田 使っていました。直前期は、特に過去問題集、定期テスト、公開模試、答練の問題で間違えたところなどを全てチェックし、そこを何度も繰り返しやっていました。

清水 択一式解法マスター答練や書式解法マスター答練を受ける前に、出題されるポイントを学習する「解法マスター講義」は利用していましたか。

豊田 これも利用していました。答練の問題を解いた後に解説講義と解法マスター講義の両方の講義を聞くようなかたちで、利用していました。問題を解く前には見なかったです。解法マスター講義も解説講義を聞くような感じで利用していました。

 

午後の問題の解き方

清水 次に、午後の部の科目の問題の解き方についてお聞きします。午後の部は択一式問題35問と記述式問題2問を解かなければならないので、必然的に時間との勝負になる要素があります。午後の部の択一式問題をどのように解いたのか。時間配分はどのように考えていたのか。本試験ではどのような時間配分で問題を解いたのかお聞かせください。

豊田 大体自分の中で時間配分の理想としては、択一に70分ぐらい使って、不動産登記書式が50分で済めばいいかな、そうしたら商業登記書式に1時間使えるので…。なかなかその理想には行かないんですけれども、それがベストな状態だと思って近づけるようにやっていました。ただ実際は答練、模試などでは大体択一が5分から10分ぐらいオーバーしてしまっていました。

清水 択一で80分ぐらいかかってしまうときもありましたか。

豊田 はい、択一で75分から80分かかってしまうと、そのしわ寄せが全部商業登記書式に行くというかたちが多かったので、商業登記の答案構成用紙の使い方を工夫しました。
商業登記書式はどちらかというと書いたら書いた分だけ得点が上積みされていくように思ったので、書けるのに時間が足りなくて書けないというのは本当にもったいないですから。なるべく択一と不動産登記記述できちんと理想とする時間を守ることに重点を置きました。択一はもう肢を全部読まない。具体的には肢のアとイだけ読んでいくようなやり方でした。

清水 全肢は検討しないやり方ですね。

豊田 そうです。だからアとイだけ読んで肢を絞り込んで、あと組み合わせで該当する肢だけを確認して絞り込むやり方で全部解きました。アとイの肢で判断がつかないときだけは全肢読むようにしましたけれども、基本的にアとイで絞れる場合はもうそこだけ読んで、あとは振り返らないというかたちで択一は進めていました。

清水 午後の択一を解く順番としては、ストレートに民事訴訟法の最初の問題から解いていくやり方ですか。

豊田 はい。民事訴訟法の第1問からストレートに解いていきます。最初に5分ほど商業登記の記述の役員関係だけはチェックしますが、あとは第1問から択一を解いていくやり方でした。今年は先ほども申し上げたようにマイナー科目がスムーズに行って、逆に不動産登記と商業登記の択一に時間がかかってしまったんですけれども大体予定通り70分ぐらいで択一は終わったと思います。不動産登記書式の方は添付書類の記号の並び方がばらばらで時間を費やしました。

清水 普通に添付書類を書いた方が楽かもしれませんね。

豊田 そうなんですよ。添付書類の記号が結構読み取りにくくて少し時間がかかってしまい、55分ぐらいかかりました。それでも5分オーバーぐらいで何とか目安の時間に近づけて、商業登記書式の最後まで書き終えたのが試験終了10秒前くらいで、答案を集められるときに不動産登記の書く欄を間違えていたのに気付いても修正できずに、ただ回収されるのを呆然と見ていました。そうした急いだ分のミスもあったんですけども、結果的に得点で見るとそのミスの分を商業登記の記述でカバーできていたので、やはり書き終えたことが最終的には良かったのかなと感じています。

清水 商業登記は直接問題文に書き込んでいくというスタイルも、豊田様が答練の時間をしっかり厳守してやったからこそ生まれたやり方ですよね。

豊田 このままでは午後の部の科目が時間的に間に合わないと思いましたし、答案構成用紙に書き終わって試験が終わってしまうのが一番怖いというか、下手したらそんな時間配分にもなりかねないですし、そうしたら何も解いていないのと一緒のことになってしまうので、いろいろ工夫してたどり着いた方法でした。

 

モチベーションの維持

清水 では続いて、モチベーションの維持についてお聞きします。司法書士試験だけでなく、一般的にも1年を越える学習期間が必要な資格試験の学習を継続していくことは、心身ともに大変な点が多々あります。学習を進めていく中で、こんな工夫や気分転換を図ったということがあればお聞かせください。

豊田 これは妻と娘がいたことというか家族の支えが大きかったと思います。勉強をスタートして1年は家族みんなが家にいる状態だったので妻もサポートしてくれて、私の気分が乗らないときは家族で遊びに出掛けたり、旅行の予定を立ててリフレッシュを図ったりして、その前後で勉強に集中するというように、家族がうまく勉強のペースに合わせてくれたのが大きかったかと思います。あとは小さい生まれたての娘の顔を見て、何とかこの子のために頑張ろうと自分に言い聞かせていました。歯を食いしばってがんばりました。

清水 オンとオフの切り替えと、あと家族の支えに感謝ということですね。

豊田 はい、そうです。

 

学習ナビの動画の利用について

清水 続いて、学習ナビ動画の利用について伺います。クレアールでは学習の時期ごとにさまざまな学習ナビ動画をご用意しております。例えば学習スケジュールの立て方や教材類の上手な使い方などですね。受講にあたってご利用された動画や、役に立った点などがありましたらお聞かせください。

豊田 学習を始める時期は勉強の方法が全く分からなかったので、自分の勉強のペースやスタイルを作っていくにあたって参考にしました。ただ、聞いたままそれどおりにやるのではなくて、それを消化して自分はどういうやり方が一番合うのかということを考える上で活用させていただきました。

清水 基本的な方法を聞いた上で、自分なりにアレンジをしたということですね。

豊田 そうです。

 

現在学習を始めている方へのアドバイス

清水 では最後に、これから学習する人、現在学習を始めている方へのアドバイス含めてお聞きいたします。ズバリ一発合格の秘訣は何ですか。

豊田 自分の学習スタイルみたいなものを見つけて、それを守れたことだと思います。自分で考えて自分に合ったものを見つけて、さらにそのルールをきちんと守っていくことが大事なのかなと思います。

清水 先ほどの学習方法のところでもお聞きしましたが、「記憶に残すためにこうする」とかそういった工夫をするということでしょうか。

豊田 そうですね。最初の方はああでもない、こうでもないと自分が無理なく覚えられて、記憶に残りやすい方法がどういうものか、紙に書いた方がいいのかとかしっかり読んだほうがいいのかとかいろいろやりながら、その結果このやり方で行こうと決まりました。それが確立した後は本当に着実に進めていくということが大事だったかなと思います。

清水 試行錯誤しながら自分なりのルールを作っていったということですね。

豊田 そうです。

 

これからの抱負

清水 では、これからの抱負といたしまして、どんな司法書士になりたいかをお聞かせください。

豊田 本当にこの業界は全くタッチしたことがない未経験者で、まだ何をしていくのかも分からないので、取りあえずその時その時に目の前にあることに集中して、それを頑張ってこなしていく中でその結果、何かになっていくのかなと思うんです。性格的にあれもこれもというよりは、どちらかというと1つのことを集中して専門的に得意分野を作っていくようなことが好きなので、将来的には自分の得意とするものを作って、そこから信頼が広がっていって、また仕事が広がっていくような司法書士になれれば良いかという漠然とした思いはあります。

 

合格を目指している方へのメッセージ

清水 最後に、来年の司法書士試験の合格を目指している方へのメッセージ、伝えたいことがあればお聞かせください。

豊田 私は運よく短期合格できましたけれども、合格への早道は本当にないと合格した後になっても思っています。ポイントは自分で決めたペースとかルールを崩さずに一つ一つそれを守ってやっていくことが司法書士試験では大切だと思うので、そのペースを崩さない範囲で頑張りすぎず、やらなさ過ぎず、学習していくことだと思います。

清水 合格体験記にも書いてありましたね。

豊田 そうですね。あまり頑張りすぎると飽きてしまうので、自分の腹八分目ぐらいをずっと続けていくことが大事なのかなと思います。

清水 本日は貴重なお話を聞かせて頂きましてありがとうございました。これからの法律の専門家としてのご活躍を期待しております。

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