本記事では、2025年中小企業診断士試験の傾向をクレアール講師による見解から解説します。また、2026年試験に向けた学習戦略も併せて解説しているので、来年以降の合格を目指している方も、ぜひ参考に最後までご覧ください。
科目合格者が多かった1次試験
2025年1次試験 分析会動画
クレアールの見解
- 経済学・経済政策
問題の難易度は比較的低かったものの、出題形式が複雑になり個々の問題の解答に手間と時間が必要であった。マクロ分野の方が比重が大きく、難易度が低めである。ミクロ分野は正誤判別問題が多く、難易度は高くないものの時間がかかった受験生もいたのではないか。
- 財務・会計
全体的な難易度は「難しい」。要求される知識は標準的なものであるが、計算内容が複雑な問題が多く、正答に至るまでの時間を要する傾向が強まった。また、中小企業診断士試験受験生にとって初見となる知識も少なからずあり、戸惑った受験生も多かったと考えられる。
- 企業経営理論
5択式の問題が大幅に増加し、正解の選択肢を選ぶまでに時間がかかる。特にマーケティング論で難問が増加し、全体の難易度も昨年度より高い。難易度が低~中レベルの問題を取りこぼさないような注意が必要であった。
- 運営管理
生産管理、店舗・販売管理共に5択式の問題が大幅に増加し、時間を要する試験だった。
生産管理は単に用語を問う問題ではなく用語の使い方や効果が問われる問題がみられ、難易度は少し高い。店舗・販売管理の難易度は下がっているものの、問題形式の変化により難しいと感じる受験生もいたのではないか。
- 経営法務
昨年度と比較すると出題形式は従来通りに戻ったと言える。難易度の高い民法の出題数が増加したこともあり、問題はやや難化。ただし、全体的には過去に出題された論点も多く、基本的な知識をしっかりと押さえておくことで合格点を取ることは可能であると考えられる。
- 経営情報システム
過去問学習で対応できる基本問題が増える一方、見慣れない新技術や時事問題の出題も増加し、問題の二極化傾向が進んでいる。新傾向や見慣れない問題に動揺することなく、基本的な問題を確実に正解することが重要。
- 中小企業経営・政策
中小企業経営はクレアールのテキストや講義で触れている論点とそうでない論点が二極化したものの、触れている論点を押さえれば6割は得点できる。中小企業政策では過去出題された論点の出題が多く、難易度が低かった。中小企業経営で得点できなかった場合でも、中小企業政策でのプラスが可能。
2025年1次試験の合格率は?
試験合格率は令和最低
2025年1次試験の合格率は23.7%と、令和に入って最低となりました。一方で、「財務・会計」の合格率8%を除き、各科目ごとの合格率は例年通りであり、1次試験合格は果たせなかったものの科目単位では合格された方も少なくないと考えられます。
| 科目別合格率 | 難易度 | |
|---|---|---|
| 経済学・経済政策 | 14% | やや高 |
| 財務・会計 | 8% | 高 |
| 企業経営理論 | 17% | 中 |
| 運営管理 | 14% | やや高 |
| 経営法務 | 18% | 中 |
| 経営情報システム | 14% | やや高 |
| 中小企業経営・政策 | 30% | 低 |
科目合格率は周期的に変化
近年の出題傾向を踏まえると、科目合格率が極端に低い科目があれば、翌年は好転する傾向があります。実際に、2024年試験の「中小企業経営・政策」は科目合格率が5%と近年でもかなり低かった一方で、2025年試験では30%に上昇しました。そのため、2025年試験で合格率が8%であった「財務・会計」も2026年試験では合格しやすくなることが予想されます。
一方で、この傾向は逆の場合にも当てはまります。つまり、2025年試験で科目合格率が高かった「中小企業経営・政策」、さらに近年合格率が高い「企業経営理論」や「経営法務」は合格率が極端に下がることが予想されます。
2次試験は事例Ⅰ~Ⅲで差が付く?
2025年2次試験 分析会動画
クレアールの見解
- 事例Ⅰ
環境分析や組織改革といった定番テーマに加え、「消費者向け事業への転換」「産学官連携」「企業理念の再定義と浸透」など新要素が登場。与件文に基づき、論理的・簡潔に整理する力が求められた。150字問題が2問あり、要約力の差が得点差に直結した年といえる。
- 事例Ⅱ
解答の方向性は容易に導ける。第2問は1次知識のプライスライニング、ディスカウンティング/ダイナミックプライニングを用いた類推問題。第1問と第3~4問は、与件情報から具体的な内容を抽出し、どこまで落とし込めるかが得点差となる。
- 事例Ⅲ
難易度は昨年並み。第2問と第3問の解答の根拠となる与件の切り分けが制限時間内では難しかったのではないか。
- 事例Ⅳ
非常に難しいというレベルの問題はなく、1次知識をしっかり理解できていれば対応できる問題。
- 全体
設問数が減ったことにより、解答の精緻さが求められた。また、受験生の多くが苦手とする事例Ⅳの難易度が下がったことで、事例Ⅰ~Ⅲの結果が合否を分けると考えられる。
2次試験 模範解答では、独自の事例解法ツールである「与件抽出シート」と「ロジカル・チャート」を使い、全ての解答に根拠を明示しています。請求はこちらから
2025年2次試験の合格率は?
2025年11月現在は2次試験の合格率が発表されていません。しかし、近年の合格率を分析すると、問題の難易度に関わらず17~19%で推移しています。そのため、比較的簡単だったと言われる今年も、例年並みの合格率になる可能性が高いと考えられます。
2026年試験に向けた学習戦略
1次試験から受験する場合
学習時間が十分に取れたり既に科目合格をしていたりする場合、1次試験は科目合格よりも7科目、または残された科目全ての合格を目指す方が効率的です。なぜならば、苦手な科目があったとしても、点数が取りやすい科目で総合的な点数を調整することが可能になるためです。
また、7科目や残された科目全ての合格を目指した方が、科目ごとの難易度のばらつきにも対応できると言えます。例えば、2026年試験で科目合格率が下がると予想される科目も、科目合格率の好転が見込まれる科目で高得点を取っていれば、総合点で合格することが可能になります。
おすすめのコース
2次試験から受験する場合
2025年試験においても2次試験の合格率が17~19%であると仮定した場合、試験本番で手応えを感じている場合でも、いざ合格発表の当日になって不合格が発覚することも考えられます。
2次試験は学習しない期間を作ってしまうと勘を取り戻すまでに時間がかかり、2026年2次試験までに十分な対策が行えない可能性があります。そのため、合格に少しでも不安がある場合は、早めに学習を再開した方が良いでしょう。
クレアール中小企業診断士講座では、全てのコースでゼロリスク受講制度を設けております。本制度では受講開始後に合格が発覚した場合、2026年試験に向けてお支払いいただいた受講料を全額返金いたします。経済的なリスクなしに、早期からの学習が可能になります。
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