行政書士は法律を扱う国家資格の一つです。本記事では、行政書士の仕事内容や年収、試験の概要などについて徹底的に解説します。学生や社会人、定年退職後のそれぞれのタイミングで取得するメリットについてもご紹介するので、行政書士に興味がある方はぜひ参考にしてみてください。
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行政書士とは?
行政書士とは、法律にもとづいて官公署などに提出する書類の作成や手続き、企業のコンサルティングなどを行える国家資格を指します。行政書士が行える業務は行政書士法第1条の2、第1条の3で定められており、これらの業務の依頼を受け、報酬を得ることができます。
行政書士は弁護士と比較すると人数が多く、依頼費用も安い傾向にあるので、身近な存在として「街の法律家」ともよばれています。行政書士は、行政書士事務所や他の士業事務所に雇われて勤務したり、自身で独立開業して事務所を運営したりできます。また、行政書士で学ぶ「民法」「商法」「行政法」は、企業活動において重要な法令であり一般企業への転職にも大きな武器になります。
他の士業との違い
士業の種類 | 定義 |
---|---|
司法書士 | 登記または供託に関する手続きの代理、法務局への提出書類の作成などを業務として行う |
弁護士 | 訴訟事件、非訟事件などの代理人業務、その他の法律事務を業務として行う |
税理士 | 租税などに関する税務の代理、税務書類の作成、税務相談などを業務として行う |
行政書士は、許認可申請などでの行政機関(役所、警察署、消防署や入国管理局など)への提出書類の作成、同手続きの代理を業として行う機会が多くあります。おおまかには、行政書士は行政機関、司法書士は法務局、弁護士は裁判所、税理士は税務署への各提出書類を業として行う仕事といえます。
行政書士の仕事内容
行政書士の仕事内容は、大きく分けると上記の3つです。それぞれ具体的に解説します。
書類作成
書類作成は行政書士の主な仕事の一つです。行政書士が作成する書類は以下の3つです。なお、「官公署」とは、官署と公署の総称であり、国または地方公共団体、その他の公の団体の諸機関すべてを指します。
- 官公署に提出する書類
- 事実証明に関する書類
- 権利義務に関する書類
官公署に提出する書類とは、行政機関への提出書類のことで、例えば、道路使用許可を求める際に警察署に提出する申請書、在留許可申請などで入国管理局に提出する申請書類などを指します。
事実証明に関する書類とは、社会生活にかかわる交渉を有する事項を証明するに足る文書のことで、例えば、実地調査に基づく各種図面類(位置図、案内図、現況測量図など)、株主総会議事録、会計帳簿、申述書などが挙げられます。
権利義務に関する書類とは、個人・法人の法的な権利義務についての書類のことで、例えば、契約書や示談書、遺産分割協議書などが挙げられます。
書類提出手続き代理
行政書士の仕事の一つとして、作成した書類を依頼主に代わって官公署へ提出するということが挙げられます。代理するということは、書類を作成するだけではなく、書類に不備があった場合の補正や官公署から追加で書類提出を求められた場合の対応、申請が認められなった場合の不服申立(審査請求)など、書類を提出した後の行政機関との交渉などを行うことです。行政書士は、依頼主である国民と国をつなぐ重要な役目を担っています。
相談・コンサルティング
行政書士の仕事の一つに書類作成に関する相談・コンサルティングがあります。これは各行政書士の専門分野によって腕の見せ所となるものですが、相続手続きやクーリングオフ手続きなどの個人レベルのものから、企業の許認可の取得や契約書作成などの相談に乗ることもあります。また行政書士が対応できる法規の観点から企業が抱える問題に対してアドバイスするコンサルティング業をすることもあります。ただし、弁護士法との兼ね合いから、すでに法的な紛争となっている事案について相談を受けることはできません。
行政書士を取得するメリット
行政書士を資格として取得しておくメリットは立場によって異なるため、ここでは学生と社会人、定年退職後に分けて解説します。
学生にとってのメリット
行政書士は他の法律士業と比較すると取得しやすいため、法律系の資格の登竜門といえます。他の法律系の資格を取得する予定の学生にとって、先に行政書士を取得しておくと有利に働きます。就活する際にもエントリーシート(ES)に記入できますし、面接でもガクチカ(学生時代に力を入れていたこと)としてのアピールに有効です。
社会人にとってのメリット
行政書士は他の法律系の資格に比べ取得しやすいので、社会人で働きながらでも取得しやすいといえます。取得できれば、社内でのキャリアップのために役立ちますし、また、転職するために取得して脱サラ・独立開業もできます。行政書士は書類作成を主に行う人だけでなく、コンサルティング業務を専門にしている人もいて、本人次第でビジネスチャンスを見出しやすいといえます。
定年退職後のメリット
行政書士は、書類作成が主な仕事ですので、比較的少ない資金で開業できます。初期費用としては、行政書士会への登録費用や、PC・プリンター代など最低限の設備を揃えるための費用で足りますし、自宅を事務所として開業できます。そのため、50~60代でも目指す人が多く、合格も可能です。行政書士は業務範囲が非常に広いため、扱う業務を広くしてたくさん仕事を取っていくこともできれば、一つの業務に絞って専門性を高めることも可能で、自身のライフスタイルに合わせた働き方ができるというのも魅力です。
行政書士の年収
行政書士の年収 579.8万円(令和4年度)
全国の行政書士の年収の平均値は上記の通り、約580万円です。平均年齢は42歳、労働時間は167時間/月程度です。ハローワークの求人統計データでは求人賃金は25.9万円/月となっています。日本の40代の平均年収は約495万円ですので、行政書士は平均的な同年代よりは年収が高いといえます。
行政書士に向いている人
- 責任感が強い人
- 意欲的で行動力がある人
- 事務処理能力がある人
- 営業力がある人
- コミュニケーション能力が高い人
- 勉強が好きな人
- 法律について学びたい人
行政書士として独立した後は自ら営業活動を行って顧客を獲得しつつ、継続的にセミナーなどに出向いて人脈をつくったり、アンテナを張っておいたりする必要があるため、フットワークが軽く、意欲的で行動力がある人に適性があるといえます。
また、試験勉強だけでなく、資格取得後も法改正に対応するなど継続して勉強していくため、勉強が好きな人が向いているといえます。仕事に活かすつもりはなくても、単に法律に詳しくなりたい人が取得することも多くあります。
加えて、案件によっては何枚もの書類を作成することになるため、デスクワークが得意な人が向いているともいえます。
行政書士試験の概要
国家資格である行政書士を取得するには、国家試験に合格する必要があります。ここでは、行政書士になるために必要な行政書士試験の概要を解説します。
(引用元:一般財団法人 行政書士試験研究センター)
受験資格
受験資格 年齢・学歴・国籍など問わず、誰でも受験可能
行政書士試験は、年齢・学歴・国籍などを問わず、誰でも受験できます。年齢制限がないため、令和5年度は最年長が90歳、最年少が9歳とかなり幅広い年代が受験しました。ちなみに同年の合格者については最年長が81歳、最年少が13歳でした。
試験日程・場所
日程 | 年1回、11月の第2日曜日 午後1時~4時 |
場所 | 現在の住まいや住民票記載住所に関係なく、全国の試験場で受験可能 |
行政書士試験の日程については毎年同じで、11月の第2日曜日です。試験は年1回しかありません。試験案内(インターネット)は毎年7月の第2週に公示されます。令和5年度は47都道府県61試験場で行われました。
現在の住まいや住民票記載住所に関係なく、全国どこの試験場でも受験が可能です。
試験内容
行政書士の業務に関し必要な法令など | 憲法・行政法(行政法の一般的な法理論、行政手続法、行政不服審査法、行政事件訴訟法、国家賠償法および地方自治法を中心とする)・民法・商法・会社法・基礎法学の中からそれぞれ出題し、法令については、試験を実施する日の属する年度の4月1日現在施行されている法令に関して出題 (択一式および記述式・出題数46題) |
行政書士の業務に関連する一般知識など | 政治・経済・社会、情報通信・個人情報保護、行政書士法、住民基本台帳法、戸籍法、文章理解(択一式・出題数14題) |
行政書士試験で出題される法律科目は、憲法、行政法、民法、商法、会社法、基礎法学です。また、一般知識として政治・経済・社会、情報通信、個人情報保護、行政書士法、住民基本台帳法、戸籍法、文章理解から出題されます。試験内容はほとんどが択一式で、法律科目について一部の科目で多肢選択式(憲法・行政法)または記述(民法・行政法)での解答を求められます。
受験手数料
受験手数料 10,400円(令和4年度改定)
受験手数料は、令和4年度は10,400円でした。毎年若干改定されますが、大きくは変わりません。なお、一旦払い込まれた受験手数料は、地震や台風などにより試験を実施しなかった場合などを除き、原則返還されないため注意が必要です。
難易度・合格率
受験者数 | 合格者数 | 合格率 | |
---|---|---|---|
2023年度 | 46,991 | 6,571 | 13.98 |
2022年度 | 47,850 | 5,802 | 12.13 |
2021年度 | 47,870 | 5,353 | 11.18 |
行政書士試験の受験者数は、毎年だいたい4,0000~5,0000人程度です。合格率は年度によるものの、概ね10~12%程度です。司法書士試験の合格率は約4~5%と低く、司法試験については合格率約45%であるものの、司法予備試験合格(合格率3~4%)か法科大学院を卒業する必要があるなど、そもそも受験資格にハードルがあります。行政書士は易しい資格とはいえませんが、他の法律系の資格に比べたら取得しやすいでしょう。
申し込み方法
行政書士試験を受けるための申し込み方法は、郵送またはインターネットの2通りです。
郵送で申し込む場合
まずは願書を入手しましょう。入手方法は、窓口で受け取る方法と、郵送で請求する方法があります。窓口の場所は毎年「一般財団法人 行政書士試験研究センター」の公式HPで発表されますが、主に各行政書士会や各都道府県庁です。また、締め切り日までに受験料を振り込むことも忘れてはいけません。払い込み損ねると受験できません。
インターネットで申し込む場合
インターネットでの申し込みは、郵送に比べると願書を入手する必要もなく手軽な方法といえます。スマホでは閲覧に支障が出るおそれがあるため、PCで「一般財団法人 行政書士試験研究センター」の公式サイトにアクセスして申請しましょう(推奨ブラウザ:Microsoft Edge、Google Chrome)。郵送の場合と同様、受験料を払い込み損ねると受験できないため、ご注意ください。
行政書士試験の勉強に必要な時間
行政書士試験に合格するために必要な勉強時間については、当然ながら個人差がありますが、法律に関する知識がない方が予備校などで勉強した場合は500~800時間程度かかります。1日5時間勉強すると3~6カ月程度を要します。独学の場合は1,000時間以上かかる可能性もあります。短期間での取得を目指すなら、予備校や通信講座の利用がおすすめです。
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行政書士と合わせて取得するのにおすすめの資格
行政書士は他の資格と合わせて取得しておくと、業務範囲を広げたり、専門性を高めたりできます。合わせて取得するのにおすすめの資格をご紹介します。
社会保険労務士
社会保険労務士は、労働・社会保険・年金の問題の専門家として、書類などの作成・提出代行、労務管理や社会保険・年金に関する相談などを業務として行える国家資格です。労務問題の処理は、労働者を雇う会社にとって不可欠なものです。また、行政への許認可申請なども会社にとっては不可欠であるため、行政書士と社会保険労務士の両方を持っている人は会社にとってはとても心強い存在となります。
司法書士
司法書士は、登記または供託に関する手続きの代理、法務局への提出書類の作成などを業務として行える国家資格です。行政書士と司法書士は法律の専門家という点で共通しており、双方を持っていれば、ともに「街の法律家」として相談者に対して法律の幅広い分野に対応してくれるという安心感を与えることができます。
税理士
税理士は、租税などに関する税務の代理、税務書類の作成、税務相談などを業務として行える国家資格です。経営者にとっては税金の問題は避けては通れません。また、事業の内容によっては行政への許認可申請が必要なものもあります。税理士と行政書士を取得していれば、税金の相談のみならず、行政対応についての相談も受けられるため、業務の幅が広がります。
ファイナンシャルプランナー
ファイナンシャルプランナーは、家計管理、老後の生活設計、住宅購入資金準備や住宅ローンの見直し、資産運用の方法などの相談に対応できる資格です。ファイナンシャルプランナーは金銭管理に強いというイメージがあり、法律の専門家である行政書士と合わせて保有していれば、相談者から法律面と経済的側面からのアドバイスを期待されるため、多様な相談を受けられるようになります。
宅建士
宅地建物取引士(宅建士)は、不動産の契約に関して、重要事項の説明や重要事項書面への記名などを業として行える国家資格です。宅建士と行政書士を合わせて持っていると顧客に不動産関連の法律に強いというイメージを与えられるため、顧客獲得につながりやすいといえるでしょう。
中小企業診断士
中小企業診断士は、中小企業の経営課題に対応するための診断・助言を行える国家資格です。中小企業診断士と行政書士を合わせて取得すると、企業経営に強い専門家であることを顧客にアピールでき、中小企業の顧客獲得につながりやすいといえます。
行政書士にまつわるQ&A
行政書士について分からないことはまだまだ多いのではないでしょうか。ここでは、よくあるご質問に端的に回答していきます。
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行政書士は、許認可申請などの行政への提出書類の作成、申請代行、契約書などの法的な文書の作成や、コンサルティングなど、法律の知識をもとに多様な業務を行うことができ、街の法律家ともいわれています。行政書士試験は決して簡単な国家試験とはいえませんが、予備校や通信講座の綿密なカリキュラムに沿って確実に学習していけば、法律について全く学習したことがない方でも合格する可能性は十分にあります。
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監修:行政書士・社労士 田中 伴典さん
2016年に社会保険労務士試験に合格後、社会保険労務士法人のスタッフとしてお客様を外部からサポート。その後、民間企業の人事として内部からサポートしつつ、2021年に行政書士試験に一発合格を果たす。現在は、現役行政書士・社会保険労務士として自身の事務所を運営している。
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