令和5年度司法書士試験合格者インタビュー 加川 衛さん

加川 衛さん
加川 衛さん
目次

司法書士試験に合格するまでの過程

清水 それでは合格者インタビューを始めます。加川様、今日はお忙しい中、お時間を頂きましてありがとうございます。よろしくお願いします。

加川 こちらこそよろしくお願いします。

清水 最初に、司法書士試験に合格するまでの過程についてお伺いします。世の中にいろいろな資格がある中、なぜ司法書士を目指そうとしたかお聞かせください。併せて、差し支えない範囲で、今までのお仕事や法律の学習経験についても伺わせていただきたいと思います。

加川 もともと大学で法律を勉強していまして、卒業後は法律とは全く関係のない仕事をずっとしてきたんですけど、「いつかまた勉強したいな」という気持ちは持っていました。それで、コロナ禍になりまして時間に余裕ができたことと、司法書士の勉強を始めたのは26歳の時でしたが、「30歳以降は別の仕事をしたいな、何か手に職を付けて仕事をしていきたいな」という想いがありまして、それでせっかくなので「法律の資格を取りたい」と考えました。

 法律の資格の中でも司法書士ですと、扱える業務の幅が広いということと、一生の仕事にできるというところ、あとこれは後々になって知ったことですけれども、人の権利を保護する、争いを未然に防ぐための役割を果たしているというところに特に魅力を感じまして、司法書士の勉強を始めました。

清水 城先生

今年の司法書士試験を振り返って

清水 分かりました。では次に今年の司法書士試験を振り返っていただきます。まず本試験当日をどのような気持ちで迎えたか、それから午前の部の問題を解いた後の感想、午後の部の問題を解いた後の感想、そして本試験を終えてどのように感じたかお聞かせください。

加川 合格体験記にも書かせていただきましたが、試験の前日は一睡もできなかったです。

清水 合格体験記に書かれていましたね。

加川 今まで、寝付きが悪いってことは経験がありましたが、一睡もできないっていうのは初めてだったので、そこはだいぶ焦ったんですけど…。でも実際、試験が始まってからは割と落ち着いて解けましたね。午前の部を解いた段階で、過去問で見たことのない問題が2問か3問はありまして、ちょっとそこが気がかりにはなりましたけど。ただ、ちょっと疲れがあったので…。

清水 眠気からですか。

加川 そうですね。なので、午前の部の試験のことはあまり考えず、もう休むことだけに集中して午後の部に臨みました。午後の部も、取りあえず問題を解くことばかりに集中していたので、緊張もせずに解くことができました。解いた後は達成感というよりも、取りあえず一日が終わったっていう安心感の方が強くて、正直、出来がどうだったかっていうことまで考える余裕はなかったですね。

清水 睡眠不足の影響はありませんでしたか。

加川 不安にはなりましたけど、やっぱり解いている時は問題に集中しているので、あまり寝てない疲れや眠気とかは感じずに、特に気持ちも切らさずにいつもどおり解けました。なので、あまり寝ていない影響は、なかったと思いますね。

クレアールを選択した決め手

予備校選びのポイント

清水 分かりました。では次に、予備校選びのポイント、クレアールを選択した決め手について伺っていきます。まず予備校選びのポイントですが、複数ある予備校の中からクレアールのどこがよいと思われて、クレアールで学習をしようと決めたかお聞かせください。併せて、通学講座ではなく通信講座を選んだ理由をお聞かせください。

加川 答練と教材が充実しているところと、他校と比べると費用が安く抑えられているところが特に魅力的でした。本気で司法書士を目指したいので、勉強の質にこだわりたいという想いもありましたが、かといって高額なお金をぽんと出せるほどの余裕もなかったので…。そこがかなりありがたかったので、クレアールを選ばせていただきました。また、予備校に通える環境ではなかったので、通信講座を選びました。あとは質問制度がある点も大きかったです。

清水 合格体験記を拝見しましたが、魅力を感じた点として、答練が充実しているという点があったと思います。

加川 はい。そうです。

清水 「問題を解きながら覚えていく勉強が好き」ということを書かれていたと思いますが、アウトプットをすることで知識が定着する、あるいはアウトプットすることで本当に理解していたかを確認することができる、このようなところからアウトプット中心の学習スタイルになったのでしょうか。

加川 そうですね。そこが私の勉強の仕方としては、性には合っていました。

清水 じっくりテキストを読み込むという勉強よりも、演習をして学習を進めていくというスタイルですね。

加川 そうですね。勉強したことを実際に使ってみて、それで定着させるっていう方が好きでした。

クレアールを受講した感想

清水 分かりました。では次にクレアールを受講した感想ですが、クレアールで受講してよかったところをお聞かせください。

加川 直前期に近づくにつれて特に感じたことですが、カリキュラムがありがたかったです。毎週、答練が送られてきて、それを解くということが、結構苦労はしましたが、いいプレッシャーになりましたし、ペースメーカーにもなってくれたので…。直前期の大事な時期を高いモチベーションで過ごすことができたので、そこはかなり大きかったと思います。

通信講座のメリット

清水 次に通信講座のメリットですが、実際に通信講座で学習を進めていく中で、こんなことがよかった、この点は利便性が高かった、そして最もよく活用した点がありましたらお聞かせください。

加川 私は、仕事をしながらの勉強だったため、なかなか時間に融通が利かないこともありました。自分の時間の都合のいい時に自宅で講座を受講できることが一番大きかったですね。

全体的な学習方法

時期ごとの学習

清水 分かりました。では次に、全体的な学習方法について伺っていきます。まず時期ごとの学習ですが、司法書士試験の学習は大きく分けると学習初期(基本講義中心の学習時期)、学習中盤期(基本講義が終わり過去問の学習や初めて答練を受ける時期)、試験直前期(問題演習や自身が行なってきた学習をまとめる時期)に分かれます。その時期ごとにどんな点に注意して学習を進めたか、あるいはこんな工夫をしたということがあれば、お聞かせください。

加川 学習初期の段階では、基本講義を受講しながら並行して過去問を解いていました。講義を一通り受講した後は、過去問と答練を何度も繰り返し解いて、間違いやすい分野ですとか、あまり理解が進んでいない分野だけを集中して、テキストや『択一六法』で確認して勉強するというスタイルを取っていましたね。

 試験の直前期になると、答練を解いてやり直しをする時間で、結構時間を取られていたので、そういう時には過去問のチェックを付けた問題だけを解いていましたね。学習期間はずっと通しで、特に過去問の完成度を高めていくことに一番重きを置いて取り組んでいました。

清水 過去問にチェックを付けていたというのは、よく間違える問題などに印を付けておいたのでしょうか。

加川 そうですね。よく間違える問題ですとか、あとは別の分野と結論が混同するようなところにチェックを付けていました。

学習時間、学習量

清水 次に学習時間、学習量について伺います。時期にもよると思いますが、前述の学習初期から中盤期、そして直前期にどのくらい学習していたかをお聞かせください。

加川 仕事がない日は5時間程度で、仕事が休みの日は大体10時間くらいです。勉強期間を通して、あんまり勉強の時間ですとか、学習量の変化はなかったですね。

清水 直前期にものすごく勉強時間が増えたということは特になかったということでしょうか。

加川 そうですね。朝30分早く起きるとか、隙間時間でちょっと勉強する時間を増やしたという程度なので、それほど大幅に増やしたということはなかったです。

清水 学習時間は、ある程度一定していたということですね。

加川 そうですね。

クレアールの初学者カリキュラムの活用方法

清水 分かりました。次に、クレアールの初学者カリキュラムの活用方法についてですが、初学者コースは基本講義(インプット)から始まり、最終的には直前期の答練・模試といったアウトプットで終了します。基本講義を進めていく時の学習方法や心構えをお聞かせいただきたいと思います。

加川 基本講義は、とにかく毎日最低でも1単元は必ず受講するということを心掛けていました。直前期の答練は特に第一次答案提出期限を必ず守るということを意識していました。直前期の答練ですと、本試験に近い形式のものなので、午前の部は2時間・午後の部は3時間と問題を解く時間が決められていて、受ける度に新しい課題とかが自分なりに見えてくるのと、出てきた課題を意識して、次の答練に取り組んでいくというスタイルを取っていました。

 なので、答練をため込んでしまい、それを一気にやるということをすると、課題を次にまた解決するというようなサイクルができないので、1週間に1つ取り組んで、次の週にやり直しをして、そこで見えてきた課題をまた次の週の答練で意識して取り組むということを心掛けていました。

清水 例えば、「この回の答練ではちょっと記述式の時間が足りなかったな」という課題が見つかったとしたら、その課題を克服するために、次の答練にそれを活かしていくといったイメージでしょうか。

加川 そうです。

クレアールの通信講座で学習を開始した直後の感想

清水 では次に、クレアールの通信講座で学習を開始した直後の感想についてお伺いします。司法書士は難関資格の一つであるため、民法、不動産登記法、会社法等の早い段階で挫折してしまう方もいらっしゃいます。学習を開始して辛かったこと、工夫したことがあればお聞かせください。また辛かった時がある場合は、どのようにして乗り越えて、学習を続けていったかお聞かせください。

加川 特に会社法は、イメージが湧かないですし、分量も多いので、最初は苦戦しました。でも意識して取り組んだことがありまして、それは、最初は絶対うまくいかないっていうことですね。それでも何回も繰り返していけば、そのうち分かるようになるから、1回で分かろうとせずにとにかく前に進めていこうと…。それは結構大事にしていましたね。それを意識していると、特につまずいても気にせず、取りあえずやっていこうと…。それで習慣づいたので、特に行き詰まるってことはなかったですね。

具体的な学習計画の立て方と実行方法

清水 非常に重要なことですよね。分かりました。では続いて、具体的な学習計画の立て方と実行方法についてお伺いします。クレアールのカリキュラムで学習を進めていく上で、具体的にどのように学習計画を立てて実行したか。学習計画を立てる際の注意点をお聞かせください。

加川 これも正直申しますと、私はあまり性格的に細かなスケジュールを組んで勉強するということに向かなかったので、クレアールで提出期限が決められているものだけは、それを意識して勉強していました。あと普段の勉強ですと、主要4科目の過去問は毎日必ず取り組む。マイナー科目は曜日ごとに分けて勉強するっていうようなやり方をしていたので、1日に例えば何問解くとか、何ページ進めるとか、そういう具体的な数字の目標を立てるということまでは、あまりやっていなかったですね。

清水 なるほど。細かい計画は立てないけれども、ただ学習が特定の科目に偏ったりはしないように、そういうところを大まかに心掛けていた程度ですかね。

加川 そうですね。何かの科目が、例えば1カ月全く手を付けないとか、そういうことだけはやらないように常に心がけていました。一回やった科目でも、ちょっと間が空くと忘れたりするということがあったので…。

清水 そうですね。

加川 なので、マイナー科目でも必ず定期的に目を通す、これだけは心掛けていました。

お試し受験について

清水 分かりました。次にお試し受験についてお伺いします。クレアールでは、合格目標年度の前年に司法書士試験のお試し受験を勧めています。学習を開始してから、令和4年度司法書士試験のお試し受験を受けて、どのような感想あるいは手応えがあったか、そしてお試し受験がその後の学習にどのようにプラスになったかお聞かせください。

加川 取りあえず受験会場の雰囲気を肌で感じられたことと、1年後をイメージして、その後の勉強に取り組めたことは、特に有意義だったと思います。お試し受験の出来としましては、午前の部は結構手応えがあったんですけど、ただ午後の部は勉強があんまり進んでいなかったこともありまして、出来としてはかなり悪かったです。そこがもう明らかに課題だっていうことが分かりましたので、午後の部に特に力を入れて1年間過ごすことができ、そこもかなりいい経験になったと思います。

清水 今後の学習方針が見えたということですね。

加川 そうです。

清水 合格体験記に、「お試し受験では、午後の部はたとえ学習が進んでいなくとも、択一式と記述式2問を、1時間を目安に区切って解くことをお勧めします」と書かれておりましたが、この点についてお話ししていただいてもよろしいですか。

加川 1年後に合格することを考えると、大体それぐらいのペースで解いていくものだっていうことは思っていたので、その時間を体感するというか、その時間内に解くためにどういうふうに、実際に会場の雰囲気で解いていったらいいのかっていうことを、1年前の段階で知っておいたほうがいいのかなと思いました。

 記述式ができないからと択一式に2時間かけたところで、1年後にそれをまた再現したところで、それでは合格することはできないので、それをやっても意味がないかなと。それよりも1年後、どういうふうに解けているということを意識して、そのとおりに解き進めていくことの方が大事だと思いますし、その方が1年後に必ずつながると思ったので、そこは意識して取り組みました。

清水 時間的な感覚を肌で養っておくということですね。

加川 はい、そうです。

具体的な学習方法

学習に際して自分が工夫したところ

清水 では次に、具体的な学習方法、学習に際して自分が工夫したところについて伺っていきます。まず教材の利用方法ですが、司法書士試験は出題される科目が多く、クレアールではいろいろな復習教材をご用意しております。学習を進めていく上で、どの時期にどのような教材を利用したかお聞かせください。また教材、PDFデータの活用の有無や、活用方法もお聞かせください。

加川 学習を通してですけど、初期から『択一六法』を使うことが多かったです。テキスト代わり、何か調べたい時に辞書代わりにもしましたし、表でまとめられているものが多かったので、暗記をする時にも役に立ちました。あと教材のPDFデータ、それを携帯に入れていまして、外出先でちょっと時間ができた時に、ぱっとそれを見ていくということをしていましたね。

択一六法民法1
択一六法民法1
択一六法民法1
択一六法民法1

清水 『択一六法』に書き込みをすることはしていましたか。

加川 必要なことは書き込みもしていましたね。

過去問の学習方法

清水 次に過去問の学習方法についてお伺いします。司法書士試験の学習では、ご存じのとおり過去問の攻略が合否に直結します。過去問をどのように学習したかお聞かせください。併せて〇×テスト(1000問ノックWebテスト)および基本4法過去問解説講義の利用の有無や活用方法もお聞かせください。

加川 過去問はもうとにかく何度も繰り返し解くことをしていました。ただ解くだけじゃなくて、制限時間も設定していました。特に午後の部は時間的にもかなりプレッシャーがかかるので、マイナー科目だと1問1分で、不動産登記法と商業登記法だったら1問当たり1分半から2分程度で設定して解いていました。

 1000問ノックWebテストは時々解いていました。なかなかテキストや厚い教材類を持って出歩けない時もありますが、1000問ノックWebテストは携帯さえ持っていれば問題を解けましたので…。基本4法過去問解説講義の動画はあまり見ていなかったですね。解説を読めば、おおよそ理解はできましたので…。

清水 合格体験記にありましたが、似ているけれども結論が異なるような問題は、解説ページの余白に、比較して整理したと書かれていましたけれども、そういったことをなされていたんですね。

加川 そうですね。過去問の中には、何回やっても覚えられない問題や、間違えてしまう問題があったので…。

清水 そういった問題はありますよね。

加川 そうなんです。特に民訴系でそれが多かったので、そこは書き込んでとにかく目にする機会を増やして、それで覚えるようにしていました。

清水 よく間違えるところは、何回も学習するということですね。

加川 そうですね。あまり記憶に自信がないので、とにかく何回も見るということを意識していました。

記述式の学習方法

清水 分かりました。では次に、記述式の学習方法について伺います。初学者にとっては、記述式の学習に不安を持つ方もそれなりにいらっしゃいます。記述式の学習を進めていく上で注意したこと、工夫したことをお聞かせください。また答案構成用紙をどのように使用したか、不動産登記、商業登記、それぞれお聞かせください。

加川 不動産登記も商業登記も両方に言えるんですけど、合格書式マニュアルを使って、まずはひな形を覚えることを最初にやりました。声に出して読んでみたり、あとは実際手を動かしてみたり…。そうやっていくとだんだん覚えにくいひな形が分かってくるので、そこを重点的に何度も繰り返していました。

合格書式マニュアル不動産登記
合格書式マニュアル不動産登記
合格書式マニュアル不動産登記
合格書式マニュアル不動産登記

その後は、記述式ハイパートレーニングを使って、同時にアウトプットもしながら解き進め方のイメージを持って記述式の学習を進めました。あとは自分で記述式の市販の過去問題集を買って、目を通していました。

記述式ハイパートレーニング不動産登記
記述式ハイパートレーニング不動産登記
ハイパートレーニング不動産登記
記述式ハイパートレーニング不動産登記

 最初の頃は、不動産登記については問題文を先頭からずっと読んでいったんですけど、それでは頭に入ってこなくて、いまいちうまいこと毎回解けてないなっていうのがありまして。それでやり方を変えまして、最初に添付書面とかを見て、ある程度どういう問題が出るかっていう予想を立てて、その後に問題文を読んだ方が頭に入ってきやすくなったので、そこの点は工夫して解きました。

清水 最初に添付情報の一覧や別紙を確認して、ある程度の当たりをつけてから聴取内容などを見ていくということですね。

加川 はい。あと答案構成用紙は、いろんなやり方を工夫しました。最初は答案構成用紙に何でもかんでも書いていたんですけど、それをしていると時間が足りなくなっていたので、問題用紙の登記記録に直接書き込むようにしたりするように変えていったので、徐々に構成用紙に書く内容を減らしていきましたね。

清水 例えば不動産登記であれば、問題用紙の登記記録のところに「AからBに移転した」といったことを書いていくような感じですか。

加川 それもありましたね。例えば名義変更があったら、登記記録の下の余白にも書き込んじゃうとか、それが必要ないものだったら×マークを付けて消すとか、ほんと簡単なメモ書きを登記記録のところに書いていって、答案構成用紙の方は答案用紙に書き込むために必要なものだけを書き込むというようなことをしていましたね。答案構成用紙で書いたことをそのまま答案用紙に写すっていう感じです。

清水 商業登記では、例えば役員関係などは答案構成用紙に書いたりしましたか。

加川 しましたね。クレアールさんの講座のとおりにしていましたね。

清水 それらは答案構成用紙に書いていたのでしょうか。

加川 商業登記はほとんど答案構成用紙のほうに書き込んでいましたね。資本金の計算の仕方ですとか、そういうメモ書きもほとんど答案構成用紙に書いていたので、逆に問題用紙のほうに何か書き込むっていうのは、あんまりなかったかもしれないですね。

清水 ということは、不動産登記の方は主に問題用紙に書き込んで、商業登記の方は答案構成用紙を中心に記載していたということでしょうか。

加川 そうですね。

学習を効率よく進めていく上で工夫したこと

清水 ありがとうございます。では次に学習を効率よく進めていく上で工夫したことについてお伺いします。学習を効率よく進めるために、1日、1週間をどのように過ごしていらっしゃったか、そしてクレアールの通信講座をどこでどのように学習したか、音声学習の利用の有無や復習講義の利用の有無および活用方法をお聞かせください。

加川 効率よくっていうか、勉強時間の確保の仕方なんですけど、仕事をしていたので、仕事が終わって家に帰ってから長い時間勉強をするっていうのは疲れもありますのでちょっと難しいなと思いました。なので、朝早く、私だったら4時頃に起きて、4時半から6時半ごろまで、大体1時間半から2時間ぐらい勉強をして、会社にちょっと早めに行って、始業時間までの30分ぐらい、会社で勉強して…。午前中は仕事をして、昼休憩にまた30分。仕事が終わって家に帰ってから2時間勉強するというように、1日を何回かに区切って、勉強時間を確保していました。いっぺんに4時間とか5時間続けて勉強するようなことはあまりしなかったですね。

清水 隙間時間も活用されていたということですね。

加川 そうですね。区切った方が気分転換もできますし、結果的に集中して取り組めていたと思うので、勉強時間をどういうふうに分けるかを考えて、効率を重視していましたね。あまりスケジュールの組み方では効率のよさは重視していませんでした。

勉強の時間としましては、休みの日は朝から勉強していると、夕方になるともう集中力が切れてしまうので、夕方勉強して、夕食を食べてからは1時間勉強して、それで1日を終わらせて早めに寝るというようにしていました。夕方以降にやろうと思っても、なかなか集中できないっていうことが続いたので、そこは割り切って早く寝ようと。そういうふうにしていましたね。

清水 短時間で集中して勉強するということですね。

加川 そうですね。勉強の場所は、基本的に自宅でやっていました。一時的にワークスペースのようなところも借りてはいたんですけど、その移動の時間がもったいないので、ほとんどの期間は家でやっていました。

清水 音声学習や復習講義は利用されましたか。

加川 音声学習はあまり使っていなかったです。家にいるので、講義は映像で見ることがほとんどでした。また復習講義は、あまり拝見することはなかったです。

苦手科目、苦手分野の克服法

清水 次に、苦手科目・苦手分野の克服法についてお伺いします。学習を進めていくと、例えば民法の何々の分野が分かりにくくて辛かった、会社法のイメージがつかみにくかった、記述式の何々に戸惑いがあったなど、苦労したことがあったかと思います。このような、いわゆる苦手となりそうな分野、あるいはご自身が苦手と感じた科目・分野をどのように克服したか、お聞かせください。

加川 先ほどのこととちょっと重複してしまうんですけど、苦戦したのが民事訴訟法と民事執行法と民事保全法、あの辺りで知識が混同してしまうことがあったので、先ほど申し上げたとおり、過去問題集の解説の余白に比較で書き込んだり、あとは、これも『択一六法』を見ながら、何回も繰り返し読んで、覚えられないところを声に出して読んでいました。そうすると割と覚えやすくなりました。

 それであとは過去問を解いて、その時にここだとこの結論になるけど、こっちの法律とかこっちだったら別のものになるっていう結論が違うっていうように、思い出す機会を増やすように心掛けて勉強していました。多分、眺めているだけだと、なかなか覚えられないですから。なので、自分で自分に授業をするような、「これだとこうなりますよ」っていうようなことを何回かやっていると、徐々に頭の中で整理ができるようになったので、それで克服していきました。あとはなるべく理由付けができるものは、それで覚えるようにしていました。

答練や模試について

清水 分かりました。では次に、答練・模試についてお伺いします。初学者は答練で思うように解けないこともあれば、得点が伸びないと答練の問題を解かなくなって、答案を提出しなくなってしまう方もいらっしゃいます。答練を解く時の心構え、注意したこと、工夫したことや、返却された答案・個人成績表の活用方法をお聞かせください。

加川 これは結果に一喜一憂しないっていうことに尽きると思います。結果がよくても別にそれで本試験に受かるわけでもないですし、逆に結果が悪かったからといって別に落ちるわけでもないっていうような、そういう割り切りも大事だなと思います。むしろできなかった問題があったら、よかったって思った方がいいんじゃないかなと思います。

 ここで間違えたってことは、本試験では同じ問題が出たとしたら分かるわけです。ですから、復習を大事にしていましたね。同じ問題が本試験で出た時は解けるようになればよいのです。あんまり結果がどうこうっていうのは、よくても悪くても、あまり気にはしていなかったですね。

午後の部の問題の解き方について

清水 分かりました。では次に、午後の部の問題の解き方についてお伺いします。午後の部は、択一式問題35問と記述式問題2問を解かなければならないので、必然的に時間との勝負という要素があります。午後の部の択一式問題をどのように解いたのか、時間配分はどのように考えていたのか、そして今年の本試験ではどのような時間配分で問題を解いたのかお聞かせください。

加川 答練を解く時は、順番としましては、択一式を35問解いた後に、商業登記記述式を解いて、最後に不動産登記記述式という順番で解いていました。

清水 択一式問題は、順番どおり第1問から解いていましたか。

加川 そうですね。順番に解いていきました。配分としては、それぞれ1時間ずつで区切って解いていました。本試験の時も同じ順番で解きまして、本試験の時は、択一式は50分で終わったので、商業登記を1時間、不動産登記で1時間10分使いました。

清水 本試験では、午後の部の時間は足りましたか。

加川 そうですね、最後まで。ただ記述式は、不動産登記も商業登記も申請書以外の部分で一部空欄になったところはありましたね。申請書の方は、取りあえず空欄なく解き終わったと思います。

清水 ちなみに午前の部の択一式も第1問から順番どおり解く形ですか。

加川 そうですね。順番どおりに解いていきました。

モチベーションの維持について

清水 分かりました。次にモチベーションの維持についてお伺いします。司法書士試験だけでなく、一般的にも難関資格、1年を超える学習期間が必要な資格試験の学習を継続していくことは、心身ともにきつい点が多々あります。学習を進めていく中で、もし挫折しそうになったことがあれば、どう乗り越えたか、あるいはこんな工夫や気分転換を図ったということがあればお聞かせください。

加川 勉強をやめようと思ったことは特になかったですね。つまずいても、先ほど申し上げたとおり、何回かやっていればそのうち分かるようになるだろうと、結構楽観的に捉えていました。最初からうまくいくわけはないから、長く続けていればそのうちできるようになると考えていました。

 あとは将来に関わる問題なので、ここでやめたところで、じゃあ他に何かやることがあるのかということですね。もうここと決めたんだから、ここで結果を残そうとそういうふうに考えていたので…。モチベーションは割とずっと高いまま、最後までいけたと思いますね。

 ただ、試験が終わった後のモチベーションでかなり苦労はしましたね。去年のお試し受験の時には、これはお試し受験で、来年が本番だっていうことだったので、お試し受験が終わった次の日から普通に今までどおり勉強していたので、特に何ともなかったんです。今年の試験は、「今年に受かる」ことを目標にやってきて、問題を解いて自己採点した感触としては、「あれ、いけたのかな」っていうような、手応えを感じてしまいまして…。そうすると、ちょっと気持ちが緩んでしまいました。

 もうある程度過去問もほとんど全部解けるような状態だったので、終わった後に解こうと思っても新鮮味がないというか、もう「分かるしな」っていうのがあって、なかなか試験前のような勉強はできなかったですね。

 どうしても気持ちが緩んでしまい、目標をどうするかっていうのは、別に受かってもいないので、もちろん落ちた後のことを考えたらまた勉強に気持ちを戻さなきゃいけないから、変わらず勉強しなきゃいけないっていうことは分かっているんですけど。でもどうしても、受かっているんじゃないかって淡い期待が出てくると、なかなか折り合いが付かないというか、割り切れずにいたので、合格発表までの3カ月は、かなりモチベーションで苦労しましたね。多分、勉強してきた中で、この3カ月が一番辛いというか、苦労した時期だったかもしれないですね。

受験勉強中の試行錯誤

清水 分かりました。次に、受験勉強中の試行錯誤についてですが、司法書士試験では学習事項が多岐にわたり、中には初見では理解することが難しく感じた箇所もあったと思います。そのような理解し難い学習事項があった場合、どのように対処していたかをお聞かせください。また司法書士試験のように、学習期間が数年単位となる資格試験では、学習方法について軌道修正することも時に必要だと思います。当初取っていた学習方法から途中で変更したことがあればお聞かせください。

加川 これも繰り返しになってしまうんですけど、最初見ると難しく感じる分野ってどこでもあるとは思うんですけど、ただ勉強を続けていくとだんだん分かってくるものだと思うので、なるべく立ち止まらないようにしていました。全体で勉強した後、もう一回見てみると分かったりすることもあるので、もう取りあえず1周、2周っていう、何回も繰り返しやっていくっていうことは心掛けていましたね。

 あと、これは学問じゃないので、問題を解いてそれで点になればいいっていう割り切り方も、時にはしていましたね。点を取るのがゴールだと考えていたので、例えば興味あるなし関係なしに、全体的に一つのことにのめり込まないようにするというふうにはしていましたね。これは資格試験で点を取るものだというような感じです。

清水 あくまで点を取るのが重要だということですね。

加川 そうですね。そこは意識していましたね。

清水 それから、合格体験記にありましたが、市販の問題集などに手を出して、結局手が回らなくなってしまったと書かれていたと思いますが、この点についてお伺いしてもよろしいですか。

加川 答練とかが始まる前ですと、基本講座や過去問だけだったので、割と時間的な余裕があったんです。物足りなさを感じたので、ちょっと昔の過去問ですとか、会社法なんかですと司法試験の過去問を解いたりもしたんです。それをやりながら進めていたんですけれども、結局直前期になると答練や模試が始まるじゃないですか。

清水 忙しくなってきますよね。

加川 そうなんですよ。忙しくなってきて、答練とクレアールから頂いた過去問を解いているだけで結構時間を取られるようになっていました。なので、古い過去問とかを解く時間がなくなっていって、結局手を付けずにほったらかしにしてしまいました。その結果、知識が曖昧になり「あれ、これどうだったかな」っていうふうになってしまいました。ですから、曖昧な知識ばっかり増やす結果になっちゃうので、あんまり意味がなかったなと思いました。

 結局、最初に頂いた非常識合格法の書籍のとおりに、確実な知識を増やしていく方がよかったので、結果的にいろいろなところに手を出したのは失敗だったなと。そこは自分でも反省点だと思いました。

清水 あまり手を広げ過ぎないほうがいいということですね。

加川 そうですね。答練を含めて最終的にどれぐらいの勉強量になるかが分かっていないまま、自分で勝手に勉強する範囲を増やしちゃったので、それはよくなかったな。頂いたカリキュラムどおりにすればよかったなと、それは本当に思いました。

これから学習する人、現在学習を始めている方へのアドバイス

清水 分かりました。では次に、これから学習する人、現在学習を始めている方へのアドバイスをお願いしたいと思います。まず令和5年度司法書士試験合格の秘訣は何でしょうか。

加川 やっぱり諦めないことが大事だなと思いますね。答練を受けている時に、どうしてもふと「来年受かればいいかな」ということが頭をよぎるんですけど、いや、「それじゃ駄目だ。もう今年受かるって決めたんだから、もうここで絶対受かろう。そこは妥協をしない方がいい」と思いましたね。

 これは本試験が終わった後に思ったんですけど、何年もやっていれば受かるっていう試験じゃないと思うので、モチベーションとかそういうのって、年数を重ねるごとに下がっていったりもすると思うので、人によると思うんですけど、2年、3年といった短期間で受からないと、後々がしんどくなると思います。ですから、なるべく早いうちに受かるっていうのは、絶対に目標として持っておいて、それのためにやっておく、諦めずに最後までやるっていうのが大事だと思いますね。

清水 分かりました。

加川 多分、それがあったから今年受かれたのかなと思いますね。

清水 それと、冒頭にお話がありましたが、加川様の場合、試験前日一睡もできなかったということでしたが、同じように来年の試験で、試験前日全く寝られなかったという方が出てくるかもしれません。そういった方にアドバイスをお願いしてもよろしいですか。

加川 そうならないようにするのが一番いいんですけれども、そうなってしまっても、もう気を落とさないことですね。結果は変わらないので、寝られなかったっていうことは仕方がないとして。それでも、その時のことをいろいろ振り返ってみるんですけど、やっぱり気持ちが落ち込んだんですよ。大事な時に結果を残せないで終わっちゃうのかなって思っちゃうと。私はスポーツを見るのが好きなんですけど、スポーツなんかで劣勢の時ほどドラマが生まれたりしますよね。

清水 そうですね。

加川 だから、これはチャンスだなと。追い込まれた状態だけど、ここで結果を残せば、これはこれで人生、ポジティブな経験になると思いますし。普通に受かるよりも、箔が付くっていったら変ですけど、自信にもなるかなとも思うので、チャンスと捉えるのもいいかなと思いますね。どうしたって、思いどおりにならないこともあると思うんですけど、そこで結果を残せば、それもまた合格プラスアルファで得られるものだと思うので、無理やりにでも前向きに捉えたほうがいいと思いますね。

清水 例えば試験当日、朝6時に起きる予定だったとして、寝られなくて4時ぐらいになった時に、このまま起きようか、それとももうちょっと寝るのを試してみようかと迷われましたか?

加川 やっぱり迷いましたね。でも寝られなさそうだったので、もう起きようと思いました。ただ、試験の学習はしていなかったですね。ずっと横になっていました。寝られなくても、横になっているだけでも、ちょっとでも疲れが取れたりするっていう話を聞いていたので。なので、何もせずに、ただ横になっているだけ、目を閉じているだけっていうような過ごし方をしていましたね。逆にその時間に寝て、寝坊するのが怖かったです。

清水 そうですね、確かに。

加川 寝過ごして試験時間に合わなかったってなるよりは、ずっと起きたままの方がまだ安心だなと。そんな感じですね。寝ようとはしなかったです。

これからの抱負

清水 分かりました。ではこれからの抱負をお聞かせください。

加川 今ちょうど研修をいろいろ受けていますけれども、研修を受けてみて、司法書士が社会で果たす役割っていうのを知ることが多くて、時代が変われば求められる役割もどんどんこれからも変わっていくと思うのです、ただ試験に受かっただけで、これからもうずっと司法書士としてやっていけるわけじゃなくって、ここから先ずっと勉強していかないといけないっていうのがあるんですけど、それが今すごい楽しみですね。

 時代が変わって、求められる役割が変わって、でもそれに対応できるようにずっと勉強してくっていう。それは多分、大変なことだと思うんですけど、すごくやりがいがあると思いますし、それこそ一生かけて取り組んでいける仕事だと思うので、それを楽しんでいって、必要とされる司法書士としてずっとやっていけるように頑張っていきたいなと、今は抱負として思っています。

清水 では最後に、来年司法書士試験の合格を目指す方へのメッセージ、伝えたいことをお聞かせください。

加川 すごく価値のある資格だと思いますし、諦めなければいつか絶対合格できる試験だとも思いますし、人生を懸けてやるぐらいの価値があると思います。確かに合格率は低くて難しい試験ですけれども、精一杯努力したら、絶対受かることができる試験ですので、諦めずに続けてほしいなと思いますし、受かった時は本当に喜びが大きいです。

清水 分かりました。本日は、お忙しい中、いろいろなお話を聞かせていただきまして、ありがとうございました。

加川 こちらこそありがとうございました。

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