令和4年度司法書士試験一発合格者インタビュー(法学部ではなく教育学専攻) 金木 信さん

金木 信さん
目次

司法書士試験に合格するまでの過程

清水 城講師

清水:それでは、合格者インタビューを始めます。今日はよろしくお願いします。

金木:よろしくお願いします。

清水:まず、司法書士試験に合格するまでの過程についてお伺いします。金木様は大学では教育学を専攻し、教員免許も取得しましたが、教員の道は選択肢になかったと合格体験記に記載されていらっしゃいました。また、司法書士を目指してはどうかという助言を受けたと合格体験記に記載されていらっしゃいました。

 一般的には世の中の方からは、司法書士という資格は知っている方と知らない方に二分されている資格ですが、司法書士という資格についてどのような方から助言を受けて、司法書士という資格のどこに惹かれて目指そうと思ったのか、お聞かせください。併せて、差し支えない範囲で、今までのお仕事や法律の学習経験についても伺わせていただきたいと思います。

金木:まず、司法書士を目指したきっかけというより、助言を受けたという話なんですけれども、私の家族の知り合いで相続のことでお困りの方がいらっしゃって、その時は司法書士の方が遺言を書いたりして事なきを得たみたいでした。そういうような相続のことをきっかけに、私が大学を卒業してから進路をどうするか考えていたのを家族も知っていたので、「そういう選択肢もありじゃない?」というような提案を受けて、それがきっかけになりました。

 次に司法書士のどこに惹かれたかという話なんですけれども、やっぱり一番は年齢ですとか、今までの経歴とか、場所を問わずに仕事をできるところに私は魅力を感じていました。また、私は自分の地元で仕事をしたいと思っていましたが、なかなか企業に就職するのも難しい場所であるので、自分一人で仕事ができるということにもかなり魅力を感じていました。

 仕事の経験、法律学習の経験ということにつきましては、大学を卒業してからアルバイトをしながら勉強していたので、特に正社員で働いたという経験はなくて、ずっとアルバイトをしていました。アルバイトをしつつ勉強するという感じで、大学も4年間ずっと教育学部でしたので、法律は、大学の授業の1コマで憲法の授業が少しあったぐらいで、初学者の状態から勉強を始めていきました。

今年の司法書士試験を振り返って

清水:分かりました。では次に、今年の司法書士試験を振り返っていただきます。本試験当日をどのような気持ちで迎えたか、それから午前の部の問題を解いた後の感想、午後の部の問題を解いた後の感想、そして本試験を終えてどのように感じたかをお聞かせください。

金木:やっぱり当日は緊張しました。もう、それに尽きるというか、自分の今までの1年とこれからの1年がその1日にかかってくるわけなので、本当に緊張しましたね。

 午前の部の問題を解いた後は、「すごくできたってわけではないですけれども、悪くないかな」というぐらいの感触でした。

 午後の部は、択一は「それなりにいいかな」とは思っていたんですけど、民事訴訟法等が何となく微妙な感じではあったので、「2択までは絞れたけど、その先はどうかな」みたいな感じでした。でもやっぱり一番大きかったのは記述の合同会社の出題でした。ほんとに「マジですか」って思って、あの時は動揺しましたね。

 本試験を終えて、この合同会社のことが気掛かりではあったんですけど、ひとまずやれることはできたかなと思って、試験から解放されて、すがすがしい気持ちでした。

清水:本試験の得点を伺ってもよろしいですか。

金木:午前が28問正解、午後択一が34問正解で、記述が44点でした。

清水:午後の部の択一がすばらしい得点ですね。

金木:そうですね。答練でもそこまで取れたことはなかったので、びっくりしました。

クレアールを選択した決め手

予備校選びのポイント

清水:では次に、予備校選びのポイント、クレアールを選択した決め手についてお伺いします。

 まず、予備校選びのポイントですが、複数ある予備校の中から、クレアールのどこが良いと思われてクレアールで学習をしようと決めたかお聞かせください。併せて、通学講座ではなく通信講座を選んだ理由をお聞かせください。

金木:クレアールを選んだのは、教材だと択一六法です。あと、もう一つは受講料です。択一六法は学習の初期からずっと使っていて、特に中盤から直前期はずっと択一六法メインで勉強していました。初学者からの学習だったため条文を読むのは大変で、超訳の部分がほんとに分かりやすく書いてあったので、助かりました。

 あとは、受講料です。大学を卒業して司法書士の勉強を始めたため、お金もそんなにあるわけじゃないので、なるべく費用を抑えたいという考えがありました。また合格お祝い金制度もありますので、1回で合格できれば、「自分の手持ちだけで何とかできそうかな」と思って、その2つの点が決め手になりました。

 通信講座を選んだ理由は、自宅で勉強しようと思っていたのと、通学するのはなかなか難しかったので、通信でやるしか選択肢がなかったということもありました。

クレアールを受講した感想

清水:次に、クレアールを受講した感想についてお伺いします。見事に難関資格と言われている司法書士試験に一発合格なさったわけですが、クレアールで受講して良かったところをお聞かせください。

金木:先ほどお話ししたところにも被るところがありますが、いろいろな教材やサンプルを取り寄せてみたところ、最小限の教材それだけで完結できて、あまり手を広げずに「テキストや択一六法に書いてあることをきちんとこなせば合格できるな」っていうのを感じられたので、そこはほんとに良かったなと思っています。

 先ほども話した択一六法は、条文を読むのがすごく大変だったので助かりました。直前期だと、過去問を解いていて「あれ、何だっけな」と思った時に択一六法を開くと、他の先例や判例や通達とかが併せて載っていて、そういうところも逐一チェックして確認できるので、とても良かったです。

清水:関連事項や比較事項が載っているところですね。

金木:そうです。それがすごく良かったです。あとは過去問ですね。過去問も、いろいろな掲載の仕方があり、年度ごとで掲載されているものもあると思うんですけど、分野ごとっていうんですかね。

清水:過去問は分野別に掲載していますね。

金木:分野ごとに載っているので、例えば、今日は債権編の契約のところをやりたいなっていう時にすぐそこを開けるので手間もないですし、とても良かったなと思っています。

清水:それから、クレアールでは民法と不動産登記法、商法(会社法)と商業登記法を一体的に学習しますけれども、その点はいかがでしたでしょうか。

金木:それもとっても助かりました。民法を一通り学習してから、その後に不動産登記法を学習するとしたら、やっぱり民法で学習した部分を忘れちゃっているところもかなりあると思うので、民法と不動産登記法を一緒に併せて学習できるのは、知識の定着の点でとても良かったなと思っています。

通信講座のメリット

清水:分かりました。では次に、通信講座のメリットについて伺います。実際に通信講座で学習を進めていく中で、こんなことが良かった、この点は利便性が高かった、そして最もよく活用した点がありましたらお聞かせください。

金木:やっぱり通学する時間、予備校に行く時間という移動時間がないので、全部を勉強の時間に充てられるというのが良かったなと思います。移動時間にできる勉強っていうのは制約されてくると思うので、自分の好きな時間帯で、あと通学の予備校ですと何時からこの講義が始まるみたいにカリキュラムが決まっていると思うので、今日は講義を見るっていうより、問題を解いたりしたいなという日もあるので、自分の気持ち次第で自由に勉強できたのはすごく良かったなと思っています。

全体的な学習方法

時期ごとの学習

清水:次に、全体的な学習方法について伺っていきます。まず、時期ごとの学習ですが、司法書士試験の学習は大きく分けると学習初期(基本講義中心の学習時期)、学習中盤期(基本講義が終わり、過去問の学習や初めて答練を受ける時期)、試験直前期(問題演習や自身が行ってきた学習のまとめる時期)に分かれます。その時期ごとにどんな点に注意して学習を進めたか、あるいはこんな工夫をしたということがあればお聞かせください。

金木:まず学習の初期は、もうとにかくどんどん講義を見て学習を進めていくっていうことに注意してやっていました。分からないところも結構出てくるんですけれども、他の方の合格体験記を読むと、「とにかく先に進んだほうがいい」と書いてあったので、とにかく進んでいって、ただ、疑問に思ったところは、2回目に見た時に分かるようにメモを入れたり、付箋を貼ったりしてチェックできるようにしていました。

 あと、学習の中盤期になってからは、ある程度分かってくるようになったので、問題を解く時とかは、何となくではなく、「何でその答えになるのか」というように理由がしっかり分かるものは徹底して覚えるようにしていました。

 ただやっぱりテキストに載っていないようなことの理由を追い求めると時間もなくなってしまいますので、時には「そういうもんだ」と割り切って覚えるっていうことも気を付けていました。

 学習の直前期は、もうとにかく過去問と択一六法をひたすら活用していき、過去問の中で分からないものがないように、全部説明できるぐらいの精度で勉強していました。

清水:合格体験記に、声に出して学習をしていたというところがありましたが、これはどんな時ですか。

金木:記述のひな形を覚えるときに声に出して覚えていました。やっぱり何か似たようなひな形や、商業登記の場合だと長いひな形があり、なかなか書いて字面だけで覚えるのは難しくて、音声で覚えたほうがいいかなと思ったので、特にひな形は声に出して書きながら覚えていましたね。

清水:なるほど。それから、インプットとアウトプット、これを毎日両方行うように注意していたということでしたが、これはどういったところでしょうか。

金木:インプットは、ちょっと自分が苦手だなと思った講義を見返すとか、択一六法の表を見てみるとかです。アウトプットは過去問が中心になりますけど、あとは記述のひな形を声に出して覚えるという感じですね。

清水:分かりました。それから、合格体験記に「一日の学習の中で、最後に今日学習したところを振り返る」と書かれていたと思いますが、これについて教えていただけますか。

金木:今日間違えた問題とか知らなかった知識を、付箋に貼っておいて、寝る前にもう1回見て、翌朝もう1回確認するというように、苦手をつぶしていくために1日の最後に振り返りみたいなことをいつもやっていました。

清水:寝る前にそれをやることによって知識がしっかり定着するということですね。

金木:そうです。

学習時間、学習量

清水:次に、学習時間・学習量についてお伺いします。時期にもよると思いますが、前述の学習初期から中盤期、そして直前期にどのくらい学習していたかをお聞かせください。

金木:かなり波はあるんですけども、学習初期から中盤期ぐらいはアルバイトがある日はだいたい5~6時間ぐらいで、アルバイトがない日は7~9時間ぐらいですかね。

 直前期になるとアルバイト先も協力してくれて、6月はまるまる休みにしてもらえたので、その時は毎日11時間ぐらいはやっていたと思います。

クレアールの初学者カリキュラムの活用方法

清水:次に、クレアールの初学者カリキュラムの活用方法について伺います。初学者コースは基本講義(インプット)から始まり、最終的には直前期の答練・模試といったアウトプットで終了します。基本講義を進めていく時の学習方法や心構えをお聞かせいただきたいと思います。

金木:講義はテキストを見ながら受けると思うんですけど、テキストをノートにするみたいな感じで、テキストにいろいろ書き込んで勉強していくようにしていました。ノートもテキストも両方あると、ノートに書いてある情報とテキストに書いてある情報でばらついてしまうので、テキストがノート代わりみたいな感じで全てまとまるようにしていました。

清水:次に、学習ナビ動画についてお伺いします。クレアールでは学習の時期ごとにさまざまな学習ナビ動画をご用意しております。学習を開始するにあたってご利用された動画や役に立った点などがございましたらお聞かせください。

金木:学習ナビ動画は、「学習の進め方」と「教材類の上手な使い方」っていうのを最初に視聴したと思います。学校の試験対策とはまた違う部分があると思うので、司法書士試験対策用の勉強はどういうのがいいのかっていうのを最初に知ってから始めたほうがいいなと思ったので視聴したんですけど、やっぱり視聴して良かったなと思いました。司法書士試験はどういうふうに勉強していくのか、どういうふうに教材を使っていくのかっていうことを分かりやすく教えていただいたので、とても参考になって良かったです。

クレアールの通信講座で学習を開始した直後の感想

清水:分かりました。次に、クレアールの通信講座で学習を開始した直後の感想についてお伺いします。司法書士は難関資格の一つであるため、民法、不登法、会社法等の早い段階で挫折してしまう方もいらっしゃいます。学習を開始して辛かったこと、工夫したことがあればお聞かせください。また、辛かった時があった場合は、どのようにして乗り越えて学習を続けていったかお聞かせください。

金木:私は、会社法が結構条文も多いですし、分かりやすく書いてはあるんですけれども、他の条文が引用されているとか、括弧書きが多いとか、例外がある等、なかなか条文を見ていても分かりづらい部分があったので、そこはかなり苦労しました。

 引用されている条文を何回も追っていると大変なので、条文の第何条と書いてあったらその条文が何のことを言っているのかっていうのをメモ書きで入れたりして、条文を何回も往復しなくていいように気を付けていました。

 あとは、分からない時は、1周したぐらいで分かるようなものではないと割り切って、そういう気持ちでいるっていうのが大事だったかなと思います。

清水:先ほどもおっしゃっていたように、分からないところがあってもとばして、まず先に進むということを意識していたのですね。

金木:はい。

具体的な学習計画の立て方と実行方法

清水:では次に、具体的な学習計画の立て方と実行方法について伺います。クレアールのカリキュラムで学習を進めていく上で、具体的にどのように学習計画を立てて実行したか、学習計画を立てる際の注意点をお聞かせください。

金木:最初の基礎講義を見る時は、まずは何月までにこの民法・不動産登記法を終わらせるみたいな感じの大きな目標を立てて、そこから毎週どれくらい見ていけばいいかっていうのを計算して、1日どれくらい見ていくかというように逆算してスケジュールを組んでいました。

 あとは、やっぱり早めに終わらせたいっていうのがありましたけれども、何があるか分からないので、何かイレギュラーな出来事があったりして勉強が詰まってしまい、疎かになるのは嫌だったので、少しゆとりを持ってスケジュールは組むように気を付けていました。

清水:スケジュールの立て方のポイントとしては、余裕を持った計画を立てるということですね。

金木:そうです。

お試し受験について

清水:分かりました。次に、お試し受験についてお伺いします。クレアールでは、合格目標年度の前年に司法書士試験のお試し受験を勧めています。学習を開始してから令和3年度司法書士試験のお試し受験を受けてどのような感想あるいは手応えがあったか、そしてお試し受験がその後の学習にどのようにプラスになったかお聞かせください。

金木:ちょうど各科目の基礎講義を全部見終わったぐらいの時にお試し受験だったんですけれども、あまり復習もしておらず、1000問ノックWebテストをやっていたぐらいでそれもそんなにやり込んでいなかったので、「半分ぐらい取れればいいだろうな」という気持ちで試験会場に行ったんですけれども、実際、半分も取れていなくて、特に不動産登記法が難しい年だったので、「わあ」っていうのと、「これで大丈夫かな」とすごくその時は焦りました。でも逆に、焦ったので、ちゃんと計画をしっかり立てて勉強時間も増やさないと駄目だなというふうに、そこで何か気が引き締まったという感じがあったので、本当に受けて良かったなと思いました。また、どんな感じで試験が進んでいくのかとか、試験の日の過ごし方みたいなのも何となくシミュレーションができたので、今年の試験はすごく緊張はしたんですけど、一方ではリラックスして受けられたなというふうにも思います。

具体的な学習方法

学習に際して自分が工夫したところ

清水:次に、具体的な学習方法、学習に際して自分が工夫したところについてお伺いしていきます。

 まず、教材の利用方法ですが、司法書士試験は出題される科目が多く、クレアールではいろいろな復習教材をご用意しています。学習を進めていく上でどの時期にどのような教材を利用したかお聞かせください。また、教材PDFデータの活用の有無や活用方法もお聞かせください。

金木:学習の初期は講義を見ていたので、テキスト中心の学習で、テキストにいろいろ書き込んだものを見返したりして、あとは終わったら復習、次の日には単元別Web確認テストをやったりして、ほんとに最小限の勉強をしていたという感じです。講義を1回見終わって、中盤期から直前期になったら択一六法を中心に、あとは合格書式マニュアルとかを中心として記述の学習を進めたり、過去問を解いていくという感じで勉強は進めていましたね。

 PDFはテキストで図表やまとめ等が載っていたと思うんですけど、結構整理に使えたので、そこだけ縮小印刷して暗記カードみたいに貼ったりして使っていました。

過去問の学習方法

清水:次に、過去問の学習方法について伺います。司法書士試験の学習では、ご存じのとおり、過去問の攻略が合否に直結します。過去問をどのように学習したかお聞かせください。併せて、1000問ノックWebテストおよび基本4法過去問解説講義の利用の有無や、活用方法もお聞かせください。

金木:過去問は、初期は「ああ、こんなこと言っていたな」とかっていうような講義内容の確認ぐらいの感じで使っていました。ある程度分かってきたら、その肢ごとに何で答えが○なのか×なのかっていうことを考えて解くっていうことに特に気を付けてやっていました。

 あとは、過去問の各肢で理解度に応じて付箋を貼るようにして、本当に答えさえ分からなかったら赤の付箋、答えは多分これなんだけど、何でこれが答えなのか理由が説明できない時は黄色、たしかこんな感じの理由だったなっていうのは緑みたいな感じで、自分の理解度に応じて、何が苦手なのかが分かるように付箋を貼っていました。

 あとは、単元別Web確認テストは、初期の時は復習として使っていましたし、1000問ノックWebテストは大きな区切りごと、例えば物権編の所有権が終わったら、1000問ノックで大まかに確認してみようというように使っていました。

 過去問の解説講義は、あまり見てはいなかったですけど、たまに解説を読んでも分からないなっていう時があったので、そういう時は分からない問題だけを見ていました。過去問の解説講義は、図とかで説明してくださったりしたので、そうするとイメージもしやすくなり、「ああ、そういうことか」というように分かることがありました。

清水:分かりました。それから、合格体験記に「過去問の復習の間隔について、その日の勉強の最後、それから次の日、そして3日後、それから1週間後ぐらいで行っていた」と書かれていましたが、こちらについて教えていただけますか。

金木:やっぱり忘れちゃうので、特に付箋を貼ったりして、分かってない問題は特に入念にやって、分かっている問題とか、理解がこんな感じだったかな、理由にちょっと自信がないなという問題は、その日解いて、多分次の日に解いてしばらく解かないこともありました。とにかく分かっていない問題を徹底的にやるっていうような形で過去問をやっていました。

清水:定期的にやることで知識を定着させるようにしていたということですね。

金木:はい。

清水:ちなみに、過去問は何回ぐらいやられましたか。

金木:主要科目は、10周もやっていないぐらいで、マイナー科目は2~3周くらいですかね。ただ、民事訴訟法はもうちょっとやりました。4周から5周ぐらいはしたかもしれないです。

清水:科目によって前後はあるということですね。

金木:はい。

記述式の学習方法

清水:では次に、記述式の学習方法についてお伺いします。初学者にとっては記述式の学習に不安を持つ方もそれなりにいらっしゃいます。記述式の学習を進めていく上で注意したこと、工夫したことをお聞かせください。

 また、答案構成用紙をどのように使用したか、不動産登記、商業登記、それぞれお聞かせください。

金木:まず不動産登記ですけれども、とにかくやっぱりひな形を完璧に覚えることは気を付けていました。さきほどお話しをしましたとおり、毎日、声に出して覚えるっていうことに気を付けていました。

 本試験の戦略的な話だと、枠ズレは絶対にしないようにするということに気を付けていて、なので名変があるかどうかっていうのを常に気を付けていましたし、元本の確定事由とかも、講義でも先生方が「絶対に正確に覚えなさい」とおっしゃっていたので、そこはもう絶対に分かるように気を付けていました。

 答案構成用紙は、何かいっぱい書くっていうよりかは、権利の流れがどういうふうになっているかっていうのを図式で書いて分かるようにしたというぐらいで、そんなにたくさん書いたっていう感じではなかったです。

清水:時系列や権利関係を細かく書いていくということはしなかったんですね。

金木:そうです。AからBに矢印みたいな感じで、権利の動いた日を下に書く、それぐらいですかね。そんなにいっぱい書かなかったような感じです。

清水:時系列というより、図のイメージですかね。

金木:図です。

清水:商業登記の役員関係の時系列などは書きましたか。

金木:それも、最初は書いていたんですけど、私は書くのが苦手で結構時間がかかってしまうので、問題用紙にいついつ就任とかっていうようなメモ書きだけ入れて、時系列、商業登記の時系列は特に書いてはなかったですね。

清水:問題用紙に直接メモして検討していたのですね。

金木:そうですね。ただ、たまに日付が間違っていたりすることはあったので、できれば時系列を書いて覚えていくっていうほうが確実なのかなと思ってはいます。

清水:その辺りは何回か答練などで試行錯誤しながら、最終的にその書き方になったのですね。

金木:なりましたね。

清水:分かりました。では次に、学習を効率よく進めていく上で工夫したことについて伺います。学習を効率よく進めるために、一日、一週間をどのように過ごしていらっしゃったか、そしてクレアールの通信講座をどこでどのように学習したか、音声学習の利用の有無や復習講義の利用の有無および活用方法をお聞かせください。

金木:時期によって様々ではあるんですけども、直前期は、午前中に復習系ですね、ひな形を覚えるとか、前日の復習などをやって、午後からは今日やりたいことといいますか、講義を見返すとか、択一六法を見返すとかそういうことをやって、夜に過去問系の問題なり答練の復習というように、毎日同じようなことを繰り返してやるっていう感じで進めていました。

 あとは、あまり勉強時間を連続して長くやらないっていうことは結構気を付けていました。やっぱり1時間、1時間半ぐらいで取りあえず一回休憩を入れるというように、短い休憩を入れてまた勉強するっていうようにして、あまり2時間連続とかっていうことはやらなかったですね。集中があまり続かないタイプであったので…。

清水:そのほうが効率よく覚えられるということですね。

金木:そうです。

清水:音声学習は利用されましたか。

金木:音声学習は使っていません。ずっと家にいたので、映像を見て進めていました。

苦手科目、苦手分野の克服法

清水:では次に、苦手科目、苦手分野の克服法についてお伺いします。学習を進めていくと、例えば民法の○○の分野が分かりにくくて辛かった、会社法のイメージがつかみにくかった、記述式の○○に戸惑いがあった等、苦労したことがあったかと思います。このようないわゆる苦手となりそうな分野、あるいはご自身が苦手と感じた科目・分野をどのように克服したかお聞かせください。

金木:会社法の組織再編が苦手な人は多いと思うんですけど、私もやっぱり苦手でした。ですので、組織再編行為を1個ずつで覚えるというよりかは横断的に、それぞれの違いとか同じところを押さえて覚えていくようにはしました。

 あとは、やっぱり苦手なので、なるべく組織再編に時間を充てて、隙間時間がある時は、たしか択一六法の組織再編の条文の最初のところに組織再編についてまとめた表が載っているページがあったと思うんですけど、あれを小さくコピーしてすぐ見返せるようにしてはいました。

清水:苦手なところは繰り返し学習したということですね。

金木:そうです。

答練や模試について

清水:分かりました。次に、答練・模試についてお伺いします。初学者は答練で思うように解けないこともあれば、得点が伸びないと答練の問題を解かなくなって答案を提出しなくなってしまう方もいらっしゃいます。答練を解く時の心構え、注意したこと、工夫したことや、返却された答案、個人成績表の活用方法をお聞かせください。

金木:答練はあんまり意気込んで解かずに、練習問題ぐらいの気持ちで出していました。「今自分がどれくらい分かっているのかな」っていうことを確認するという感じです。なので、順位とかは気にせずにやっていました。

 今は、間違えたほうが「あ、あれ、答練で間違えたところだ」って記憶にも残るので、むしろ間違えるぐらいのつもりでやってはいました。

清水:それから、合格体験記に書かれていましたが、「答練はまず解き終わったらすぐに採点して、その後、答案が返ってきたタイミングでもう一回誤った選択肢を復習していた」ということでしたが、この点についてお話ししていただけますか。

金木:自分が解き終わってから個人成績表や記述式の答案が返却されるまで、2週間ぐらい空くため、そのちょうどいい感じで忘れるぐらいの頃に自分がそこの間違えたところが「ちゃんと覚えられているかな」と、定着度を確認するためにこのようなやり方をとっていました。

午後の部の問題の解き方について

清水:分かりました。続いて、午後の部の問題の解き方についてお伺いします。午後の部は、択一式問題35問と記述式問題2問を解かなければならないので、必然的に時間との勝負という要素があります。直前期の答練や模試ではどのようなことを意識して午後の部の択一式問題を解いていたのか、時間配分はどのように考えていたのか、そして今年の本試験では商業登記の記述式で、過去の記述式問題では出題されていない合同会社の問題が出題されていましたが、問題を見てから答練や模試の時と解く順番を変えたり、時間配分を変えたことがありましたらお聞かせください。

金木:まず、択一は、全肢検討せずに自信がある肢といいますか、これは絶対あっているなとか、間違っているなっていうのを中心に選択していくっていうような感じで、例えば「ア」がこれは合っているなと思ったら、「ア」「イ」か「ア」「ウ」かみたいになると思います。

このように組み合わせをうまく活用して解くようにしていました。それで択一の時間をなるべく早めに切り上げられるようにしていました。

清水:選択肢は、基本的には「ア」から順番に見ていきましたか。

金木:そうです。上から順に取りあえず見ていくという感じです。

時間配分は、とにかく基本的に択一をなるべく早めには解きたかったですけど、択一50分、不登記述60分、商登記述60分ぐらいだった気がします。残りの10分は、難易度とかによって時間がかかってしまうことがあったりすると思うので、そこに充てるような感じでやっていました。それは答練の時からずっと同じ時間配分で、きっちり3時間で解いていました。多分何回か時間内に書き切れなくて出したこともあって…。特に商業登記だと種類株式の変更があるとすごく書かなきゃいけないことがあるじゃないですか。

清水:記載量が多い事項ですね。

金木:はい。ああいうのは取り敢えず後回しにしました。それは答練を受けて考えたんですけど、取り敢えず登記の事由とかを書いて、添付書面とかを書いて時間があったらそこの登記すべき事項を入れようみたいなふうに戦略としては考えてはいました。

清水:問題を解く順番は、基本的には最初から順番通りに解いたのですね。

金木:そうです。択一の民事訴訟法から順番に解いて、不動産登記記述、商業登記記述の順番で解きました。

清水:そして、記述式の中でちょっと時間がかかりそうなところは後回しにするという解き方ですね。

金木:はい。そうです。

清水:分かりました。それから、合格体験記に「本試験の午後の部の時に、周りはどんどんページをめくっていくので動揺した」と書かれていましたね。

金木:私は択一の最初から問題を解いていくので、民事訴訟法から解き始めたのですが、私自身は民事訴訟法があまり得意じゃないということもあったんですけど、ずっと考えていたら、周りの人がどんどんページをめくっていくので、「嘘だろう」と思って…。その時に、何かそっちに気が取られちゃってよく集中して考えられなかったっていうのがあったんですけど、今考えてみると、人によって解き方はそれぞれなので、もしかしたら不動産登記記述から解き始めていろいろな別紙をただ見ていた人なのかもしれないですし、やっぱり人のことは気にせず、自分のペースで解くのが大事だなと思いました。

清水:それから、今年は商業登記の記述式で合同会社が出題されましたね。

金木:はい。

清水:合格体験記に書かれていましたが、「合同会社はちょっと書けないな」と思って、そこで深く考えるのをやめて、択一の確認と解き直しに切り替えたということですね。

金木:そうです。

清水:その辺の決断は、葛藤がありましたか。

金木:そうですね、一応解くは解くんですけど、ひな形が全然分からなかったので、もうどうしようもないなと思いまして、それでも多分合同会社に5分ぐらいは時間を使ってしまいましたが、ここで間違えるんだったら、もうそれこそ少しふわふわした気持ちで解いた民事訴訟法をもう一回見直したほうがいいなと思いました。実際、選択肢を変えたのもあって、そのおかげで正解だったので、結果的には本当にいい戦略になったので良かったです。

モチベーションの維持について

清水:次に、モチベーションの維持について伺います。司法書士試験だけでなく、一般的にも難関資格、1年を超える学習期間が必要な資格試験の学習を継続していくことは身心ともにきつい点が多々あります。学習を進めていく中でもし挫折しそうになったことがあれば、どう乗り越えたか、あるいはこんな工夫や気分転換を図ったということがあればお聞かせください。

金木:勉強している時期と同級生が就職していく時期が同じだったので、あまりSNSは見ないようにしていました。自分で選んだ道ではあるんですけど、何かちょっと悲しくなってくるので…。

 気を付けていたのは、私がほぼ専業受験生みたいだったからできたっていうこともあるとは思うんですけど、休む時はしっかり休むってことは気を付けていました。やっぱり睡眠時間を削って次の日に身が入らないとかだと、元も子もないなと思っていたので、「寝る時は寝る」というようにそこは気を付けていました。

 あとは、ほんとにきついなって時はあったので、毎日何かちょっとだけの楽しみを作るとか、お昼はいつもよりちょっといいものを食べるとか、お風呂にちょっと長く入るとか、ほんとに小さいことですけど、そういうような「頑張れる何かを作っておく」っていうのは大事だったなと思っています。

清水:では次に、受験勉強中の試行錯誤についてですが、司法書士試験では学習事項が多岐にわたり、中には初見では理解することが難しく感じた箇所もあったと思います。そのような理解しがたい学習事項があった場合、どのように対処していったかお聞かせください。

 また、司法書士試験のように学習期間が数年単位となる資格試験では、学習方法について軌道修正することも時に必要だと思います。当初とっていた学習方法から途中で変更したことがあればお聞かせください。

金木:初見で理解できないことっていうのはほんとによくあったんですけど、他の科目の講義を受けたりする中で分かってくることもあったので、とにかく先に進めるってことに気を付けてやっていました。あとは、軌道修正ですね。

清水:はい。

金木:学習の方法、軌道修正は、私の場合はこれが1年目みたいなものだったので、取り敢えずこのやり方でやっていくしかなかったので、ひとまず、特に変えることはなく同じようなやり方でやっていました。

これから学習する人、現在学習を始めている方へのアドバイス

清水:分かりました。では続いて、これから学習する人、現在学習を始めている方へのアドバイスをお願いしたいと思います。

 まず、見事一発合格をなされたわけですが、一発合格の秘訣は何でしょうか。

金木:秘訣というのは、私はよく分からないんですけれども…。

清水:難しい質問かもしれないですね。

金木:そうですね。本当に、言われたことを淡々とやるというか、自分で考えたことをやるというよりかは、講師の先生がおっしゃっていることを素直にやっていくっていうことや合格した方の勉強方法を参考にするということが大事かなと思います。

清水:それから、合格体験記に「最後まで諦めない、何としても合格するんだ」という気持ちを絶やさなかったことが合格につながったということを書かれていましたが、これも一発合格の秘訣でしょうか。

金木:そうですね、最後は何か根性論みたいな話にはなっちゃいますけれども、でもやっぱり諦めないということはかなり大事かなと思います。

これからの抱負

清水:分かりました。では、これからの抱負をお聞かせください。

金木:今、希望していたとおり地元の司法書士の先生の下で働いているんですけれども、当初目標にしていたとおり、地域に、地元に密着した頼れる司法書士になるってことがこれからの抱負です。

清水:最後に、来年、司法書士試験合格を目指す方へのメッセージ、伝えたいことをお聞かせください。

金木:ほんとに大変で難しい試験ではあると思うんですけれども、ずっと勉強を続けていれば必ず受かる試験とも言われていますので、頑張っている皆さんには合格してほしいなと思います。

清水:分かりました。本日は、貴重なお話、ありがとうございました。

金木:ありがとうございました。

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