令和4年度司法書士試験一発合格者インタビュー(2024年目標2年セーフティコースの2023年お試し受験で全国3位・一発合格) 稲垣 香さん

稲垣 香さん
目次

司法書士試験に合格するまでの過程

清水 城講師

清水:それでは合格者インタビューを始めます。よろしくお願いします。

 まず、司法書士試験に合格するまでの過程についてお伺いします。世の中にいろいろな資格がある中、なぜ司法書士を目指そうと思ったかお聞かせください。併せて差し支えない範囲で今までのお仕事や法律の学習経験についても伺わせていただきたいと思います。

稲垣:私は法律の学習経験は一切なく、今までも法律に携わるような仕事は一切したことがありません。また、不動産業界や金融関係といった業界にも携わったことがなかったので、司法書士の方の話を聞いたりする機会もなく、ずっと接客業をしていました。合格体験記にも書きましたが、私は学生時代にまじめに勉強をしていなかったので、「勉強がしたいな」と何となく思っていましたし、ずっと心残りがありました。

資格の勉強を始めようとしたきっかけは、このまま販売の仕事をずっとし続けていけるのかという不安がありましたし、思いきって本気で何かに取り組んでみようと決心したところで、いざ何を勉強するかと考えたところ、やっぱり勉強することが仕事にもつながる。また私は「生涯仕事をして生きていきたいな」という思いもあったので、だったら実用的な資格を取得するための勉強をするのがよいと思い、インターネットで調べていくと、いろいろな国家資格や民間資格があることを知りました。

その中で、私は法律を学ぶということに興味があったので、法律を学習する司法書士という資格にすごく魅力を感じましたし、その仕事はすごく人に感謝されるようなポジティブな内容であるとも思いました。しかも司法書士試験は受験資格がなく誰でも受けられるということは、私は本当に学歴がなかったので、「これしかない」と直感で選びました。

今年の司法書士試験を振り返って

清水:では次に、今年の司法書士試験を振り返っていただきます。まず、本試験当日をどのような気持ちで迎えたか、午前の部の問題を解いた後の感想、午後の部の問題を解いた後の感想、そして本試験を終えてどのように感じたかをお聞かせください。

稲垣:本試験当日はものすごく緊張していました。結構、緊張しやすいタイプなので数日前から本当にずっと緊張しっぱなしっていう状態でしたね。なので、前日だけでなく、数日前から、夜はなかなか寝つけなかったです。

清水:そんなに寝つけなかったのですか。

稲垣:本試験当日の朝は、もちろん早い時間に目覚ましをセットしていたんですけれども、それよりも早い時間に目が覚めてしまってもうずっと緊張していました。試験会場に行くのは前年のお試し受験の時にも行ったことがありましたので、2回目だったんですが、でもやっぱりお試し受験の時とは違い、うつ状態でしたね。本試験直前は私よりもたくさん勉強した人はいると思いましたが、自分の中では「ものすごく頑張った。現時点でやれることはやったぞ!」と思っていたので、試験会場に着いてからは、「今できるだけの力を出しきってやろう」という気持ちで挑みました。

 午前の部を終えてから、試験会場の中でお昼を食べていたんですけど、その時に私は午前の部ですごく手応えを感じていて、「思ったよりも高得点を取れたんじゃないかな」と思って少し落ち着けました。ただし、お昼を食べている時は落ち着いていたんですけれども、やっぱり午後の部がいよいよ始まる時には、またすごく緊張してきました。試験当日は、テキストなどはあまり持っていかなくて、自分で試験当日に会場で最後にこれだけは見るようにするというまとめたものだけを持参しました。

清水:ノートのようなものですか。

稲垣:はい。特に「記述でここは絶対に見落とすなよ」みたいなものを用意しました。また、登記原因についての第三者の許可についてまとめたものなど、当日はこれだけは確認して、心を落ち着けようと思っていたものを試験開始直前まで席で見ていました。

清水:あらかじめそれを持っていこうと、事前に決められていたのですね。

稲垣:はい。直前に自分の中で最終仕上げをしている時に、記述では「ここは見落とすなよ」というものを試験会場へ持っていく用に作りました。

午後の部が終わった後は、私は割とすごいショックを受けていたことがありました。午後の部は意外と時間が余ったことによって、記述をしっかり見直しをしたところ、不動産登記の記述で書き直した部分を見事に間違えまして…。それがすごく気掛かりだったので、試験会場内の降りるエレベーターの中で携帯で調べていたところ、「うわ、間違えた」と思って絶望的な気持ちでした。

清水:いわゆる枠ズレを起こしてしまったミスですか?

稲垣:枠ズレではなくて遺贈の登記では遺言執行者がいるかどうかで書き方が変わるのですが、誤って遺言執行者がいる場合の書き方をしてしまいました。

清水:後から考えればそんなに大きなミスではありませんが、試験終了直後は失敗したと思ったわけですね。

稲垣:はい、確かに後から考えれば合否に直接関わるようなことではありませんでしたが、その時はすごくショックでした。

清水:差し支えなければ本試験の得点を教えていただいてもよろしいですか。

稲垣:午前の部が102点、午後の部は択一が93点で記述が60.5点でした。

清水:素晴らしい成績です。その得点だと順位はかなり上位だったのではないですか。

稲垣:そうですね。総合順位が全国3位でした。

清水:素晴らしいですね。

稲垣:ありがとうございます。

清水:法律の学習経験がないところから始めて目標年度よりも1年前に一発合格、さらに総合順位が3位だったということですね。

稲垣:はい。

清水:本当に素晴らしい成績での合格です。

稲垣:ありがとうございます。本当にクレアールさまさまです。

クレアールを選択した決め手

予備校選びのポイント

清水:では次に、予備校選びのポイント、クレアールを選択した決め手についてお聞きしていきます。複数ある予備校の中からどこがよいと思われてクレアールで学習をしようと決めたかお聞かせください。併せて通学講座ではなく通信講座を選んだ理由をお聞かせください。

稲垣:まず通学か通信かですが、学習を開始することを決めた時期は、私はまだパートとして働いていたのと、家事や育児もあるので通学は時間を確保するのが厳しいと思って、通信という選択肢しかなかったです。通信でももちろんいろいろな予備校があって、確かいろいろと資料請求をしたと思います。その中でもクレアールのサンプル講義を試聴させていただいた時に、すごく分かりやすかったのです。これだったら全く初心者である私でも「ついていけるんじゃないかな」と思って受講を決めました。

カリキュラムに関しては、どういったことを勉強していくかということはあまり分かっていなかったですが、「受験対策の予備校としてすごく指導経験があるな」。そして、「なじみが薄い登記法を効率よく学べるんじゃないか」という印象も抱きました。

清水:民法と不動産登記法、商法(会社法)と商業登記法を一体として学習するところに惹かれたということですね。

稲垣:はい。そうです。

サンプル講義は清水先生の講義だったと思うんですけれども、その後も勉強していく中でずっと思っていましたが、講義がすごく分かりやすくて、それが本当に決め手でしたね。

清水:ありがとうございます。

クレアールを受講した感想

清水:では次に、クレアールを受講した感想について伺います。目標年度よりも1年前のお試し受験で見事に難関と言われる司法書士試験に合格なさったわけですが、クレアールで受講してよかったところをお聞かせください。

稲垣:私はあまり勉強計画を立てていなくて、クレアールから送られてきた学習計画表に沿ってカリキュラム通りに講義を淡々と進めていきましたので、学習計画はクレアールが立ててくださったという感じです。講義も最初は分かりやすいけど、「どんどん難しくなってきて途中で脱落したらどうしよう」という思いが最初はありました。受講した当初は、もちろん難しい論点も中にはありましたけれども、すごく分かりやすく講義で説明してくださるので脱落することはありませんでした。教材もテキストももちろんわかりやすかったです。私は過去問もクレアールのものだけを利用していて、市販の問題集や他の予備校は全く利用しなかったですけれども、過去問もクレアールのものだけで十分だと思いました。あとはクレアールと言えば『択一六法』という印象がありますが、初学者にとっても本当に分かりやすかったです。市販の六法は買いましたけれども、細かい規則などを調べる時以外はあまり市販の六法は使わなかったです。

清水:条文を引く時もほとんど『択一六法』で引いていたのですか。

稲垣:そうですね。『択一六法』はすごく条文が分かりやすく解説してくださっているのと、過去問や過去に問われたことのある論点も出ているので、『択一六法』を利用していました。

清水:択一六法は条文と一緒に過去問を掲載していますよね。

稲垣:はい、分かりやすく表でまとめてくださっているのもすごく有益でしたし、安心してお任せすることができました。

清水:そして学習計画表に沿って、クレアールの用意した教材で学習していったら合格できたということですね。

稲垣:はい。そうです。

通信講座のメリット

清水:分かりました。では次に、通信講座のメリットについて伺います。実際に通信講座で学習を進めていく中でこんなことがよかった、この点は利便性が高かった、そして最もよく活用した点がありましたらお聞かせください。

稲垣:私は、最初は仕事をしていた時には外出先で講義を受講したことはありましたが、ほとんど自宅で勉強していました。通信だと本当に自分の都合のいい時間に合わせて勉強できるのが一番いいと思いましたし、自分の理解度に合わせてカリキュラムに追われることなくマイペースで続けていける点が私はとてもよかったです。

全体的な学習方法

時期ごとの学習

清水:次に全体的な学習方法について伺っていきます。まず時期ごとの学習ですが、司法書士試験の学習は大きく分けると学習初期(基本講義中心の学習時期)、学習中盤期(基本講義が終わり過去問の学習や初めて答練を受ける時期)、試験直前期(問題演習や自身が行ってきた学習をまとめる時期)に分かれます。その時期ごとにどんな点に注意して学習を進めたか、あるいはこんな苦労をしたということがあればお聞かせください。

稲垣:学習初期は、こんなふうに学習を進めてくださいという学習ナビ動画を見て、私は忠実に守って素直にそのとおりに進めていきました。最初は本当に講義とテキストでもう手一杯で、理解するのが大変で分からないことが出てきても取り敢えず進めていきました。進めていくうちに、「このやり方で大丈夫だな」ってどんどん気付いてきたので、こんな感じで学習中盤期では過去問を解いたり『択一六法』をしっかり読み込んでいく中で確実に理解していくことができたので、安心して学習を進めていきました。あと、例えば民法の最初の総則が終わったときに課題がありましたよね。

清水:定期テスト(ドリル)のことですか?

稲垣:はい、そうです。定期テスト(ドリル)もカリキュラム通りにこなしていました。学習の最初は、ニュアンスをつかんでいく位の感じでいいなと思って…。学習の中盤になるとやっぱり択一対策はアウトプットを重視して、過去問でしたら、私は清水先生がおっしゃっていたように正の字を付けて解いていきました。

清水:理解度を表していくというやり方ですね。

稲垣:はい。清水先生がおっしゃっていたやり方をずっと続けていたので、直前期になっても、再度過去問を一通り回す時にすごく分かりやすかったです。このやり方だと自分の理解度がぱっと見てもすぐに分かりますから。また、私は過去問の解説のページにいろいろなことを書き込みして、解説の論点と関連する事項もまとめて覚えるようにしていました。

自分の中で「ここは難しいな」、「ちょっと理解しづらいな」というところは特に結構しっかりと書き込みをしていたので、直前期はやっぱりすごくいろいろなことをしたくなって時間がなくなることもあると思いますが、書き込んだ過去問題集を見ておけばまた過去問を回した時にそこからまた何かに飛んで確認する時間を省けるという感じでした。自分の苦手なところだけをつぶせるなと思ったので、「書き込みをするのはよかったな」と思いました。直前期はもうクレアールのカリキュラムにお任せして、答練や模試をたくさん提供していただいたので、本番に向けての時間配分だったり、気持ちの持ち方などを鍛えていました。

学習時間、学習量

清水:分かりました。では続いて、学習時間・学習量についてお伺いします。時期にもよると思いますが、学習初期から中盤期、そして直前期にどのくらい学習していたかお聞かせください。

稲垣:私は時間を意識しないようにあえて学習を進めていたので分からないといえば分からないんですけど、「このあたりは理解できたな」と納得できれば、その日の学習時間は短くても満足していました。学習初期は理解できなくても気にはしませんでしたが、学習中盤期以降だと理解できないままというのはすごく気持ち悪かったので、とことんやってはいましたけど、どれくらい勉強していたのか時間は計っていません。直前期は結構学習時間は取っていたと思います。直前期だと5時間以上はやっていたと思います。

清水:でも、その位なのですね。

稲垣:直前期の方が半日くらい現実逃避をしたくなっちゃったこともあって、急に漫画を読み出した時もありましたけど…。何かに追い詰められていたかもしれないですね(苦笑)。

清水:なるほど。先ほどおっしゃっていたような緊張もあったのですかね。

稲垣:そうですね。すごくプレッシャーを自分で勝手に感じてしまって…。模試が始まるまでは、私は割と淡々と学習を進めていて、むしろ「法律を学ぶことってすごく楽しいな」と思いながら進んでいたんですけど、模試が始まってからは正直なところ「今年に模試を受けて本試験を受けるんだ」と思いました。この最初の模試の個人成績表と記述式の答案が返ってきて思ったよりも得点が高かったので、誰かに何かを言われたわけでは全くないんですけど「絶対に今年受からないと格好悪いじゃん」と思ってしまって、そこで一度プレッシャーを感じました。

清水:合格が見えてきたからこそ緊張感が増してきたのですかね。

稲垣:はい、そうです。

クレアールの初学者カリキュラムの活用方法

清水:分かりました。では次に、クレアールの初学者カリキュラムの活用方法についてお伺いします。初学者コースは基本講義のインプットから始まり、最終的には直前期の答練、模試といったアウトプットで終了します。基本講義を進めていく時の学習方法や心構えをお聞かせいただきたいと思います。

稲垣:基本講義は、最初に分からないことや細かいところ、聞いたことないことが出てきても、本当に最初は全体のイメージを捉えることが大事だと思いました。細かい部分は、またいくらでも理解する機会が絶対に出てくるので、全体の大きなイメージを自分の中でしっかりとまずインプットすることが大事だと思いましたし、初学者向けのカリキュラムは、すごくしっかり段階を踏んでいけるように作っていただいているので、もうそのままお任せしてというか、その流れに乗っていけばしっかりと力は付きます。

清水:次に学習ナビ動画についてですが、クレアールでは学習の時期ごとに様々な学習ナビ動画をご用意しております。例えば学習の進め方、教材類の上手な使い方、科目別攻略法、答練の復習方法などです。学習を開始するに当たってご利用された動画や役に立った点などがございましたらお聞かせください。

稲垣:私は講義が始まる前に、学習の進め方など動画が用意されたものは全て見て、それに従って素直に進めていきました。全て参考にして、そのとおりに進めました。

清水:先ほどおっしゃっていた学習をどのように進めていくかも、この学習ナビ動画を見ていたのですね。

稲垣:はい、そうです。

クレアールの通信講座で学習を開始した直後の感想

清水:では次に、クレアールの通信講座で学習を開始した直後の感想についてお伺いします。司法書士は難関資格の一つであるため民法、不登法、会社法等の早い段階で挫折してしまう方もいらっしゃいます。学習を開始して辛かったこと、工夫したことがあればお聞かせください。また、辛かった時期がある場合はどのようにして乗り越えて学習を続けていったかお聞かせください。

稲垣:私は直前期の模試が始まるまではあまり辛いとは思わなかったです。もちろん難しいなと思うことはありました。それはやっぱり会社法に入った時点ですかね。商法(会社法)・商登法の学習に入って「民法・不動産登記法はある程度理解できてきたな」、「不動産登記の記述もちょっとずつ分かってきたな、書けるようになってきたな」っていうところで全く毛色が違う。商業登記法でがらっと何かが変わる。すごく今までの概念がちょっと覆されて、そこで衝撃的だと思ったんです。でも最初の民法・不動産登記法の時もやっぱり最初は全く分からなかったですが、淡々と続けていけば、コツコツやっていけば分かるようになるぞと信じて、難しいなとは思いましたけど、くじけることもなくできました。

 やはり、直前期で合格の可能性が見えてきた段階が辛かったですね。

清水:なるほど。精神的にですね。

稲垣:はい。辛かった時、私は夜お酒を飲んで泣いていました。「どうしよう、もう受からない、絶対にもう格好悪いな」という感じでちょっと泣いて、でも泣くとちょっとすっきりしました。もうそこからすごい緊張感でずっとぴりぴりしていましたけど、もう仕方がないと思って、たまには泣いたりして…(苦笑)。

清水:飲んで泣いて乗り越えていったという感じですか。

稲垣:そうですね。飲んで泣いて乗り越えました。

具体的な学習計画の立て方と実行方法

清水:分かりました。続いて具体的な学習計画の立て方と実行方法について伺います。クレアールのカリキュラムで学習を進めていく上で具体的にどのように学習計画を立てて実行したか、学習計画を立てる際の注意点をお聞かせください。

稲垣:私は学習計画を立てていなかったので全く参考にならないと思いますが、本当にクレアールのカリキュラムに沿って学習しただけです。基本講義が全て終わった後は、もう自分の苦手なことは何なのか、そして常に理解度を意識して苦手を全部潰していこうと思ってやっていました。なので、そんなに長期的なスケジュールを立てることはしなくて割と今週のこの日、今週前半で例えばここで商業登記法の過去問を全部潰そうと思ったり、記述で苦手なところのひな形を全部確認しようといった感じで、あまり長期的なスケジュールは直前期でも立てなかったです。むしろ短期的なスケジュールを立てて、それを全部潰していこうという目標を持って勉強していました。

清水:基本講義を受ける段階ですと、例えば「何カ月で基本4法を終わらせよう」といった大きな計画は特に立てていなかったのでしょうか。

稲垣:基本講義はクレアールの学習計画表がありますよね。それを使っていました。この間で何の学習をしようと思って、日付を予定みたいに書いて、受講した日も書いていけるようになっているので、それにのっとってしっかりやっていました。そこに遅れたりすると投げ出してしまうので、そこは多少のずれがあったりしてもしっかり調整できるようなスケジュールを、あまりきつくないスケジュールを立てて実行していました。

清水:なるほど。そして、学習の中盤期以降は、特にきっちりした計画は立てずに学習の進捗度合を見て、自分で「理解が不足しているな」と感じたらそこの部分を学習する、そのようなかたちでしょうか。

稲垣:そうです。

お試し受験について

清水:分かりました。では続いて、お試し受験についてお伺いします。クレアールでは合格目標年度の前年に司法書士試験のお試し受験を推奨しています。令和3年度司法書士試験のお試し受験を受けてどのような感想、手応えを感じましたか?そしてお試し受験がその後の学習にどのようにプラスになったかお聞かせください。

稲垣:私の場合は学習を開始してからちょうど3カ月経過した時に、お試し受験の司法書士試験日がやってきました。当初は4月に学習を開始してお試し受験の案内が届いて、まだ民法・不動産登記法一体講義を受けている段階だったので、お試し受験をするかどうかすごく迷いました。試験を受けに行っても、午前中2時間、午後3時間で何をしたら良いのだろうと言うくらいでした。

清水:受けてもしょうがないのではないかという思いも少しあったということですね。

稲垣:はい。ただ、来年度以降の本試験に備えて会場の雰囲気は味わいたいですし、来年度の本試験は絶対にものすごく緊張してしまうだろうと思っていたので、「来年度の本試験の際には少しでも緊張を和らげられたらいいな」という意図でお試し受験は受けようと思いました。お試し受験当日は何故かそれなりに緊張しながら試験会場へ行き、午前の部の試験が始まる前からすごく緊張しました。午前の部の民法は、私でも分かる問題があるなと思いましたが、まだ学習をしていない民法以外は、何も分からなかったです。時間はたっぷりあるのでほかの科目の問題を見て、「へー、憲法ってこういうことなんだ」とか「刑法って面白いな」と感じながら終わりました。午後の部は、ほとんど学習していないので、全然分からない。不登法は基本講義で少しかじっていたぐらいでしたが、難しいと思いました。択一式は令和3年の問題は難しいと思いましたし、午後の部の3時間で記述式の問題ではどういうことを書くのかということも、まだその時は全然知りませんでした。

清水:まだ基本講義の最初の方を学習している時期でしたからね。

稲垣:はい。「記述式は、こういうことを書くんだ」というのを昨年のお試し受験の際に問題文を見て、「私は大丈夫かな、できるようになるのかな」と思いました。また、問題文はものすごく長いし、何を聞いているんだろうとも思いました。すごく衝撃だったのと、帰るときに私の近くに同じ受験生の方で話しながら歩いている方がいらっしゃって、何か「ああだった、こうだった」みたいな話をされていてすごいなと思いました。皆が記述式問題を解いているのか、すごいなと思ったんですけれども、一方では来年は負けたくないなとも思いました。

それから、私は午後の部の3時間では、まだわからない問題が多くてボーっとしている時があり、持参した消しゴムをその時は全然使わないんですけれども、途中で落としてしまいまして、前の席のほうに転がっていってしまったんです。もちろん拾えないし、試験中に声を出すこともできないですし…。午後の部が終わってから、自分の席の周りの方のテーブルの上を見ると幾つもの予備の文房具を持ってきていらっしゃる方が多くて、「なるほどな」と思いました。

 今年の本試験は、昨年のお試し受験の経験から私はもちろん消しゴムは2つ持っていきましたし、筆記用具もかなり余裕を持ってしっかり持っていきました。時計も2つ用意して万が一電池切れになったときのことも考えて1週間前に電池も交換しました。本試験当日の持ち物に関して、やっぱり実際の試験会場で周りの方のものを見られたことは本当によかったなと思いましたね。

清水:意外な発見もあったということですね。

稲垣:はい。そうです。

具体的な学習方法

学習に際して自分が工夫したところ

清水:分かりました。次に具体的な学習方法、学習に対してご自身で工夫なさったことについて伺っていきます。まず教材の利用方法ですが、司法書士試験は出題される科目が多く、クレアールではいろいろな復習教材をご用意しています。学習を進めていく上でどの時期にどのような教材を利用したか、お聞かせください。また教材PDFデータの活用の有無や活用方法もお聞かせください。

稲垣:復習教材は初期の段階では、基本講義が一通り終わったら、定期テスト(ドリル)を単元ごとに取り組んでいましたね。それによって本当に基本的なことは絶対に外しちゃいけないですし、しっかりと自分の中でイメージしておきたいところを固めることができたかなと思います。復習については、最初はまだ仕事をしていたので、出先の隙間時間で復習するということを行っていました、PDFのデータはあまり使わなかったです。私は紙派で結構紙を読みたいタイプでしたので…。ただ、ちょっと外出先で何か気になるな、とふっと確認したい時には使っていました。

過去問の学習方法

清水:では次に、過去問の学習方法についてですが、司法書士試験の学習ではご存じのとおり過去問の攻略が合否に直結します。過去問をどのように学習したかお聞かせください。併せて○✕テスト、1000問ノックWebテスト、および基本4法過去問解説講義の利用の有無や活用方法もお聞かせください。

稲垣:択一対策は、本当に過去問をこなすことがすごく重要だと思いました。過去問は、科目も多いですし、ボリュームもそれぞれの科目でかなりありますけれども、自分の中で理解していること、理解できてないことを分けていました。過去問の中でも意識しながらその選択肢の横に正の字を書いたりするのを続けると、他の学習がいろいろ忙しくなってきても、正の字を頼りに解いていけば間違いないかなと思いましたし、最終的には効率よく潰せると思いました。この学習も時短につながったと思います。

 直前期で忙しくなっても時短につながったと思うことは、過去問の解説ページに私は結構しっかり書き込みましたので、書き込むことによって自分の頭の中に残ったという効果もありました。

清水:過去問には比較しておきたい事項や関連事項などを書き込まれていたわけですね。

稲垣:そうです。割と過去問を解き始めたすぐの段階から、書き込むことを進めていました。後で見てみると「間違ったことを書いているな」ということもありました。こういう場合は、「時間を取って修正しても良いな、大丈夫だ」と思って、どんどん書き込みました。

清水:過去問に情報を集約していったということでしょうか。

稲垣:そうですね、最終的には。択一対策は過去問に集中しました。でもそこだけじゃやっぱりカバーできないなと思って『択一六法』で苦手な箇所、自分のちょっと理解が足りていない箇所はしっかりと見直していました。

清水:過去問を解いた回数については、何回回したとかそういう感じではなくて、選択肢ごとに何十回も見た肢もあれば、ほとんど見ていない肢もあるような感じでしょうか。

稲垣:そうですね。選択肢ごとに理解度に応じて回数はばらばらです。あと、正の字が5になっているところでも時間がたつと「本当に大丈夫か?」と不安に思ったりしたこともありました。

また過去問の解説だけでなく、択一六法にも自分の理解度が足りないと感じたところは関連事項を書き込み、確認するようにしていました。

あとは○✕テスト、1000問ノックWebテストはクイズ感覚で携帯からでもどこでもできるので利用していました。また、私は子どもを寝かしつける時にいつも絵本を読んであげた後に天井におもちゃのプロジェクターみたいなもので話を映すものがあるので、ディズニーの話を天井に映している間に、私は携帯を使って片手で子どもが寝つくまで1000問ノックWebテストをやったりしていました。こうしたちょっとした時間でも利用できますし、このような使い方で気持ちも落ち着くことがありました。

1000問ノックwebテスト
1000問ノックwebテスト

清水:基本4法過去問解説講義は利用されていましたか。

稲垣:過去問の解説を読んでも分からない、択一六法やテキストで確認しても分からなかった時に利用していました。

過去問解説講義
過去問解説講義

記述式の学習方法

清水:使い方がよく分かりました。では次に、記述式の学習方法についてお聞きします。初学者にとっては記述式の学習に不安を持つ方もそれなりにいらっしゃいます。記述式の学習を進めていく上で注意したこと、工夫したことをお聞かせください。また答案構成用紙をどのように使用したか、不動産登記、商業登記それぞれお聞かせください。

稲垣:記述式は私も始める前はやはりすごく不安を抱いていました。ただ、分かりやすい講義から始まり、合格書式マニュアルや記述式ハイパートレーニングなど段階的に学習することができました。学習を進めていく上ではすごく大事で、絶対に確固たるイメージとして持っていなければならない部分を最初に学べるので、段階を追って本試験に対応できるような実力をしっかりと身に付けられました。クレアールのカリキュラムに沿って段階を踏んでいきましたね。あとはやっぱり記述式は、最初は問題用紙や本試験の問題を見るとすごく難しいことが書いてあるという印象でした。その後しばらく記述式の勉強を進めて改めて解いてみようとすると、記述式は択一の登記法で問われるほどの難しい実体判断を問われることはないと感じました。ただ、すごく何か引っ掛けだったり落とし穴がたくさん用意されているので、「そこにいかに引っ掛からないか、いかに見落とさないか」ということが大切で、登記法の択一対策を進めていけば、記述に対応できないことはないと思うので、特に大切なことはひな形の暗記だと思います。「ひな形を覚えると記述の問題は怖くないな」と思うようになりました。

清水:ひな形はどのようにして覚えたのですか。

稲垣:ひな形はすごく書きました。分からないひな形は書いて覚えました。書いて自分で何か紛らわしいところは、関連するところをまた書いて覚えました。私は書かないと覚えられなかったので…。

清水:答案構成用紙は使用しましたか。

稲垣:答案構成用紙は、皆さんはどのように利用しているかは分からないですけど、私は模試を受けるときから本試験まで、A4用紙の表と裏それぞれ1枚にしっかり書き込みました。

商業登記は結構、図に書いて講義の中でも清水先生が書いていらっしゃったのを真似して就任、退任が分かりやすいように就任時期、退任時期を図に書いて、あとはその日付ですね。いつ臨時株主総会があって、定時株主総会があってというのを日付は間違えないように日付を四角で囲って強調していました。

具体的には、答案構成用紙の左側に、まずその会社の見落とせないような、公開会社なのか、取締役会設置なのか、譲渡制限の承認機関はどこなのかなどの会社の概要を書きます。そして右側に役員などを書いて、それを書いた上で下に何年何月何日にどんなことがあったかといった出来事を時系列で書いていました。

不動産登記は、まず一番上に登記の申請日を書きます。そして、土地だったら土地の絵を描いて、横軸で甲区、所有権の流れを書いていって縦に乙区で記録されることとかを書いていました。私は図にした方がイメージしやすくて分かりやすかったのでしっかり書いて検討しました。

清水:分かりました。では次に、学習を効率よく進めていく上で工夫したことについて伺います。学習を効率よく進めるために1日、1週間をどのように過ごしていらっしゃったか。そしてクレアールの通信講座をどこでどのように学習したか。音声学習の利用の有無や復習講義の利用の有無、および活用方法をお聞かせください。

稲垣:私はあまりしっかりとした学習計画は立てていなかったです。ただ、学習初期の基本講義の段階では学習計画表を利用して、あまりきつすぎない、ちょっと緩めのスケジュールを組んでその緩めのスケジュールにのっとってカリキュラムに沿って進めていました。クレアールの通信講座は、ほとんど自宅で学習していました。たまに過去問や記述式の問題を解いていて、「ちょっとだらけてきたな」と思ったら場所を変えて、短時間だけ出かけてみたりはしていました。家の近くのスタバは勉強する人が多くて、すごくいい感じの環境だったので、たまにそこに行ったりはしていましたけど、ほぼ自宅で空いた時間を使って学習していました。私の場合は平日の日中を中心に、娘が保育園に行っている間の時間を使って勉強し、土日はほとんど勉強はしていなかったです。

 学習初期の夜はあまり勉強はしていなかったですけど、やっぱりカリキュラムがどんどん進んでいくと、少しずつ学習することが増えていくので、直前期になると土日も家族に協力してもらって勉強時間を確保していました。音声学習は、私は利用していなかったです。復習講義は学習初期の段階は仕事をしていた時に通勤時間だったり、仕事の休憩時間に休憩室でイヤホンを付けて確認できるので利用していました。

清水:復習講義は何単元かをある程度まとめて見る感じでしょうか?

稲垣:ちょっと空いた時間にやっておくと有意義かなと思って利用していました。

苦手科目、苦手分野の克服法

清水:では次に、苦手科目、苦手分野の克服法についてお伺いします。学習を進めていくと例えば民法の○○の分野が分かりにくくて辛かった、会社法のイメージが掴みにくかった、記述式の○○に戸惑いがあったなど苦労したことがあったかと思います。このようないわゆる苦手となりそうな分野、あるいはご自身が苦手と感じた科目・分野をどのように克服したかお聞かせください。

稲垣:記述式の勉強で合格書式マニュアルから記述式ハイパートレーニングに進んでいくと、記述式ハイパートレーニングの問題の中でかなり本試験に近い問題を初めて目にした時に急に難しいと感じました。

難易度が高くて難しいとは思いましたけど、そういった時も難しいなと思ったら合格書式マニュアルに立ち返ってみたり、その前のひな形の学習をやったりして基本的なところを固めていけば問題の形式が難しくなったとしても、一見難しく感じるんですけどやっぱりその基本の組み合わせだったりすると思うので、そういう時は基本に一度立ち返ってそこを揺るぎないものにしておけば怖くないなと思いました。ただし、記述式で初めて難しい本試験タイプの形式の問題に当たった時にちょっと難しいなとは思いました。あとはやっぱり商法・会社法はイメージがしづらい分野が多く、特に組織再編の箇所は苦手でした。ただそれでも自分なりに図表を作ったり工夫をして繰り返し学習する。そしてインプットとアウトプットを繰り返していけば、苦手ではあってもそれなりには克服できると思いました。

清水:難しいところは基本に立ち返るということ、そして繰り返し学習することが克服法ということでしょうか。

稲垣:はい。そうです。

答練や模試について

清水:分かりました。次に答練、模試についてお伺いします。初学者は答練で思うように解けないこともあれば、得点が伸びないと答練の問題を解かなくなって答案を提出しなくなってしまう方もいらっしゃいます。答練を解く時の心構え、注意したこと、工夫したことや返却された答案、個人成績表の活用方法をお聞かせください。

稲垣:答練は、私は毎回自宅のPCデスクの上で解いていたんですけど、毎回時間をしっかり計り、自分が本試験に持っていく用の時計で時間を見て、文房具も本試験用に持っていく一式を使って、部屋には「この時間は入らないようにお願いします」という紙を貼って、解いていました。

清水:なるほど。本試験となるべく同じ環境を整えて問題を解いたのですね。

稲垣:はい。本試験と同じように、毎回緊張感を持って解きました。注意したことや工夫したことは、個人成績表が返ってきた後にも必ず一度は自分で解き直して、間違えたところは全てしっかりと確認して、必要な箇所は教材に書き込んだりしていました。択一の問題も記述の問題も、クレアールの答練の内容は本試験を終えてみてすごくよかったなと思いました。

清水:ありがとうございます。

稲垣:本試験の時に不動産登記の記述で配偶者居住権の設定のところが出ましたよね。

清水:出ましたね。

稲垣:あれなんかまさに令和4年度目標実力診断模試の問題そのままだったので、「あ!」と思いました。

清水:書けるぞと。

稲垣:答練でやったところだと思って結構ウキウキで、「すごい、本当によかった」と思いました。解きながら時間配分も本試験の時、午前の部はそんなに時間はかからないと思いましたが、午後の部は時間配分が鍵と言われているとおりだな。やっぱり本当に時間との戦いだなと思ったので、時計を見ながら「大体このぐらいで自分は解き切ろう」というのは、答練を重ねていく中で、私なりにはこうしようっていうのを固めることができていました。

清水:答練の個人成績表には正答率や順位が載っていますが、結果は気にしましたか。

稲垣:最初に提出した時の個人成績表が返ってきて思ったよりもよかったので、先ほどお話しましたようにプレッシャーをすごく感じたんです。私は毎回個人成績表がいつ返ってくるかとすごく気にしていましたね。だけど楽しみでもありました。

 あの個人成績表が返ってくるのは自分の頑張ってきたことが数字として表れるので、すごく成果が分かりやいですし、成績が良いととても嬉しいので、すごいプレッシャーではありましたが、ある意味ちょっと楽しみにもしていました。

午後の部の問題の解き方について

清水:では次に、午後の部の問題の解き方についてお伺いします。午後の部は択一式問題35問と記述式問題2問を解かなければならないので必然的に時間との勝負という要素があります。午後の部の択一式問題をどのように解いたのか、時間配分はどのように考えていたのか。そして令和4年度の本試験ではどのような時間配分で問題を解いたのかお聞かせください。

稲垣:答練を進めていく中で私は記述が得点しやすいなっていうのを感じたので、本試験の作戦としては、「択一は基準点よりも少し上の得点ぐらい取れればいい。そこからのプラスαとして合格点に届くまでは記述で稼ぎたいな」と思ったんですね。なので、記述に時間を割けないのはものすごくもったいないことだと思いました。私は午後の部は択一から解くようにしていたんですけど択一をできるだけ早く終わらせようと思っていて、択一は目標としては50分で解きたいと思っていました。あとの時間は不動産登記記述式で半分、商業登記記述式でもう半分ぐらいを記述式で使えたらよいなと思っていました。また記述式は私は商業登記のほうが割と毎回得点できていたので商業登記で最後まで書き切れないともったいないと思って、まず択一式を解いた後、商業登記の記述式を解いて、最後に不動産登記の記述式を解くという順番で進めていこうと思いました。本試験でもこの順番で実践して、本試験の時は択一を55分で解きました。択一は50分を目標にしていたんですけど、本試験は絶対に緊張するし、そんなに練習通りにもいかないだろうし、答練の時でもなかなか50分で解き切るっていうのはできなかったので55分で解けたら十分だと思いました。

清水:許容範囲内ということですね。

稲垣:はい、目標通りできたと思って記述に進みました。記述も予定通り商業登記から解き始めましたが、今年はそれが「すごく運が悪かった」と思いました。

清水:結果的にはですね。

稲垣:すごく運が悪かったなと思いましたね。本当にもう辛かったです。もう今では笑えるんでよかったです。

清水:ちなみに午後の部の択一問題の解き方は、第1問から順番に解いていきましたか。

稲垣:そうですね。ただ、もう確実にこれだって自分が正誤の確信を持てる肢から正答が導けそうだったら全部の肢は解かなかったですね。午前の部は時間がありますから、全部の肢を見て解いていましたが、午後の部は正しい肢を2つ選びなさいっていう問題で、例えば肢イが「確実に正しい」と判断した場合は、肢の組合せとして候補に挙がっている肢だけで解答を出していました。ただ解答肢が絞りきれず、少しでも迷いがある場合は、すべての肢を検討するようにしていました。

清水:なるほど。午前の部は割と時間に余裕があるので全部の肢を見ていたのですね。

稲垣:午後の部はこういう解き方でやろうと思っていたので、午前の部も割と似たような感じで解いていたかと思います。ただ、午前の部は時間的に割と余裕があるのでもう1回しっかり検討し直す時に全部の問題で全部の肢を検討していましたね。午後の部は午前の部と違って肢をしっかり検討し直す時間はないので、その分は記述でカバーしようと思って、そこで何か間違えていることがあっても、もう気にしないと決めていました。

清水:分かりました。午後の部の問題の解き方、解く順番などは答練で幾つかのやり方を試されて、そして最終的にこの解き方が一番自分にとっていいだろうというように考えたのでしょうか。

稲垣:そうですね。皆さんいろいろ工夫されていて、昨年のクレアールの合格体験記を読んでも「皆さんいろいろな解き方で、一人一人が違うことを言っているな」と思ったので、きっと自分に合う解き方は答練を繰り返す中で見つけられると思います。

モチベーションの維持について

清水:次にモチベーションの維持について伺います。司法書士試験だけでなく一般的にも難関資格、1年を超える学習期間が必要な資格試験の学習を継続していくことは心身ともにきつい点が多々あります。学習を進めていく中で挫折しそうになったことがあればどう乗り越えたか、あるいはこんな工夫や気分転換を図ったということがあればお聞かせください。

稲垣:私は本当に淡々と進めて、割と楽しく勉強は直前期までは進められていたので、挫折しそうになることはなかったですが、直前期のプレッシャーが、精神的には結構きつかったですね。なので、きつかった時は飲んで泣いていました(苦笑)。気分転換の方法は、人それぞれあると思いますが、私は直前期までは土日は子どもと過ごしたり、勉強とちょっと離れる時間を作って遊びに行ったりすることも気分転換になりました。あとは趣味です。私はお酒が好きなので、お酒を飲んだりするのもいい気分転換になりました。

清水:合格体験記にもありましたが勉強する時間は勉強に集中して、勉強以外の時はあまり勉強のことを考えずに過ごしたということで、そのあたりのメリハリをしっかりしたというところもありますかね。

稲垣:はい。

清水:では次に、受験勉強中の試行錯誤についてお伺いします。司法書士試験では学習事項が多岐にわたり、中には初見では理解することが難しく感じた箇所もあったと思います。そのような理解しがたい学習事項があった場合、どのように対処していたかお聞かせください。また司法書士試験のように学習期間が数年単位となる資格試験では学習方法について軌道修正することも時には必要だと思います。当初とっていた学習方法から途中で変更したことがあればお聞かせください。

稲垣:やっぱり理解することが難しい事項があった場合は、初期の段階でしたら取りあえず進めて大まかなイメージをつかむ、中期以降でしたら繰り返すことしかないのかなと思いました。あと学習方法についてですが、やっぱりすごく範囲が広い資格試験の勉強だと思うので、大昔に自分が学生だった時にテスト勉強をどうしていたかなって思うと、割と分かりやすくノートにまとめていたりしていました。

ノートにまとめるのは、範囲が広くてあまり効率がよくないのでお勧めしないというお話がありましたが、でも途中でやってみたくなってしまって実際にやったことがあったんです。基本講義を受けて確か民法の債権編あたりでやっていたんですけれども、とてもじゃないが効率がよくないなと思いました。ノートは読むのも時間がかかりますし、過去問を解く段階でアウトプットを通じて覚えることもできますし、『択一六法』やテキストでインプットもできるのでおっしゃるとおりだなと思いました。したがってノートにまとめるのは、お勧めはできないですね。

清水:きれいにまとめたくなってしまう気持ちは分かるけれども、とにかく自分に合う方法をいろいろ探したり、試してみるということも大事ということでしょうかね。

稲垣:そうですね。試してみてやっぱり駄目だと思ったらやめればよいですし、自分に合っている方法であれば続けていけばよいと思います。方法は人によって違いますから。

これから学習する人、現在学習を始めている方へのアドバイス

清水:分かりました。では次に、これから学習する人、現在学習を始めている方へのアドバイスをお願いしたいと思います。稲垣様は、見事に一発合格をなされましたが、一発合格の秘訣は何でしょうか。

稲垣:一発合格の秘訣は、素直に淡々と継続することですかね。それに尽きると思います。気持ちももちろんあるとは思いますが、何で合格できたかというと継続することでしかないかな、と思います。司法書士試験は難易度が高い試験ですが、継続していけば、確実に実力は付きますね。

清水:あと合格体験記にもありましたけれども、あまり手を広げすぎないで確かな知識を積み重ねるということもありますかね。

稲垣:そうですね。私はクレアールの教材だけを使って勉強を進めていました。あまり手を広げすぎるのはよくないなと思っていました。

清水:肝心なところの知識が疎かになってしまうからですね。

稲垣:はい。基本のイメージをしっかりと持っていれば見たことのない問題に出合った時も割とそのイメージで対処できたりすることはあったと思います。

清水:基本が大事ということですね。

稲垣:基本が大事、やっぱりそうですね。

これからの抱負

清水:分かりました。では、これからの抱負をお聞かせください。

稲垣:今回司法書士試験に合格することができて、私の中で大きな自信につながりました。今、就職活動を始めていますが、すごく選択肢を広げることができたなということを実感しています。なので、これから司法書士の仕事をしていくうえで、向上心をずっと持って自分の人生を生きていこうと思います。

清水:では最後に、来年、司法書士試験の合格を目指す方へのメッセージや伝えたいことをお聞かせください。

稲垣:司法書士試験を受験される方は、社会人の方や学生の方や主婦の方などいろいろな方がいらっしゃると思います。社会人の方はお仕事で忙しいでしょうし、主婦は家事や育児をしながらという方が多いでしょうけれども、まず時間を捻出することが大変だと思います。勉強内容もすごく範囲が広くて難しく感じることもあると思いますが、諦めずにコツコツ続けていけば確実に力になりますので、皆さんには諦めないでほしいです。諦めずに続けていくと、頑張って本気で取り組んだという経験はものすごく大きな財産になると思います。

清水:分かりました。今日は長時間に渡って貴重なお話を聞かせていただきまして、ありがとうございました。

稲垣:ありがとうございました。

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