司法書士2015年一発合格者インタビュー 富田 朝貴さん(5/5)

 

目次

午後の問題の解き方

清水 では続いて、午後の問題の解き方について伺います。午後の部は択一式35問と記述式2問を解かなければならないので、時間との勝負という要素があります。午後の部の択一式問題をどのように解いたのか、時間配分はどのように考えていたのか。そして、今年の本試験ではどのような時間配分で問題を解いたのかお聞かせください。

富田 午後の択一は早ければ早いだけ良いと思っていたので、なるべく早く解きたいとは思っていて、バランスとしては50分ぐらいで終わらせたい、1時間かかったらちょっと遅いかもというイメージがあって、できれば50分で終わらせて残りの2時間10分を記述に充てていくというかたちでイメージしていました。どちらかといえば午前の実体法などの方が解けるイメージがあったので、できればそこで加点していって、午後の択一は基準点を少し越えるぐらいでもいいから、なるべく早く終わらせて記述を仕上げたいという考えがありました。結果、本試験では45分ぐらいで択一式を終わらせられたので、そこであとの2時間15分を記述式に充てていったんですけれども、不動産登記に1時間20分ぐらいかかってしまったんです。残り1時間もない状態で商業登記に入って、最後はぎりぎり終わらなかったというかたちでした。

清水 不動産登記法の記述が終わった段階で残り55分くらいということになると思いますが、焦りはありましたか。

富田 焦りはあったはあったんですけれども、とりあえず問題をめくってみて大体どんな感じかなと見たときに「結構分量は多いかもしれない」と思いながらも、これは大丈夫かと思ったんです。よくよく見ていったら2つ申請の解答があって、1個目が役員関係でもう1個が株式交換でしたよね。とりあえず役員だけは完璧にさせよう、第1欄だけでも完璧にさせれば点数は来ると思ったのと、時間はかかってしまったんですけれども不動産登記はそれなりにできたと思っていたので、あまり焦らずに「とりあえず役員だけは完璧にするぞ」と考えていました。

清水 あの場で、そこまで冷静に判断ができるのは素晴らしいと思います。

富田 なので、第2欄の部分はちょっとグラッとなったんですけれども、でも第1欄はクレアールさんが出してくれていた解答例と全く同じ解答を作っていたので、本当に役員欄だけ完璧にできました。結構、記述の際の講義でも講師の方々がおっしゃられていたと思うんですけれども、まず役員だけはなるべく完璧にしておくといいみたいな話があったと思うんです。まず「役員だけは絶対落とさない」という気持ちで試験の時はやりました。時間が余ったら株式交換とかほかのところ、第2欄のほうからやっていけばいい、それで何とか基準点は越えられるだろうという考えでした。多分自分の中で択一式が45分で解けたときに時間を見て、結構早く終わったと思ったんです。でも商業登記がきつかったので、多分周りも終わっていないだろうという感触があったんです。

清水 常に周りが見えている感じですね。

富田 結局、相対試験なので周りがどれだけできるのかというところで変わってくるので、自分なりに択一は早く終わったはずなのに商業登記に全部手が回らないということは、多分周りの受験生も回らないから、とりあえず役員まで書けていれば基準点は突破するかなぐらいのイメージでやりました。余った時間で第2欄からやりました。

清水 午後の部の問題を解く順番は第1問からですか。

富田 はい、ストレートに解きます。

清水 択一、不動産登記書式、商業登記書式という順番ですね。

富田 そうです。

清水 今年の午後の部の択一は、不動産登記法と商業登記法の択一で難易度が高い問題がありましたが、それでも45分で解き終えたんですね。

富田 はい、終わりました。択一六法は結構情報量が多いですよね。あれをある程度読み込んでいれば、多分問題なく解ける問題だったと思うんです。全体を通して言えば、特別変な問題というわけでもなかったです。あとはケアレスミスしないようにとは思っていました。司法書士法はミスをしてしまったんですけど、でもケアレスミスと言えるのは司法書士法の1問ぐらいで、あとは大体自分の中では解けたかなという感じでした。

清水 例えば、商登法の資産の総額の個数問題等は、「多分誰も解けないだろう」と判断しましたか。

富田 あれはもう一瞬で4とつけました。

清水 そういった周りが見えた冷静な判断が素晴らしいと思います。

富田 なるべく工夫というか、何回も読み直さないようにはしようと思っていました。択一式の問題は、1回読んでわからなかったらもう次へ行った方がいいかなと思っていたので、例えば1回選択肢を読んでわからないと思ったら、もう飛ばしてそこは読まないぐらいのかたちで進めました。イ、ウ、エ、オとやっていけば答えは出るという問題はたくさんありますよね。本当にわかった段階で解答をマークして次に進むというかたちで、わからない選択肢は1回読んだらほとんど読まなかったです。

清水 効率的に時間をうまく使うためということですね。

富田 そうです。多分それでも何とか基準点は越えられるんじゃないか、と答練や模試を通じて思っていたので、それよりもやはり基準点さえ越えられれば記述に時間を割きたかったので、択一はあまり検討する時間をとらずに、一度読んでわからなかったら次の選択肢というかたちでほとんど解きました。

清水 今の解き方に関連しますが、択一式は全肢を検討しますか。

富田 例えば「ア」と「イ」が答えだと出た時は、正解が「アイ」だったとして解答欄の組合せで「アイ」と「アウ」があったとしたら「ウ」だけ見ておくといったかたちです。1肢だけ保険を掛けておくという解き方です。

清水 そして、間違いないという時は他の肢は見ないということですね。

富田 解答が出たら、もうそのまま行ってしまいますし、一応確認しておいた方がいいかなという時は関連する選択肢をもう1個見ておいて問題ないかなと…。それでわからなければ次に行ってしまいます。

清水 効率的に時間をうまく使われたのですね。

富田 はい、それは本当に答練とか模試でもう時間がないと実感していたので、早く解かなければならないと思って解いていました。

 

モチベーションの維持

清水 では続いて、モチベーションの維持について伺います。司法書士試験などの1年を越える学習期間が必要な資格試験の学習を継続していくことは、心身ともにきつい点が多々あります。学習を進めていく中で、もし挫折しそうになったことがあればどう乗り越えたか。あるいは、こんな工夫や気分転換を図ったということがあればお聞かせください。

富田 やはり先ほども言ったように、スケジュールを守るということですね。どうしてもスケジュールを遅らせてしまうと、たまってしまってやる気もなくなってしまうだろうと思っていたので、まず自分が立てたスケジュールは絶対に守ることと、もう1つ全体を通して意識していたのが、必ず毎日勉強するというところです。本当に辛いときは15分、30分でもいいから必ず毎日やる。毎日やっていると「ここまでやったんだからやらなければ」という気持ちになっていくので、必ず毎日1日も空けずに勉強することとスケジュールを守ることは意識しました。結果、それでモチベーションが維持できたという部分は大きいと思います。自分で作ったスケジュールを壁に貼って、「守れなかったら死ぬ」と書いて、もう疲れたと思っても、ぱっと見ると「守れなかったら死ぬ」と書いてあったから「やらなければ」みたいな(笑)。

清水 まさに死に物狂いということですね。

富田 それでモチベーションを維持していきました。

 

学習ナビの動画の利用について

清水 頑張っていらっしゃったことがよくわかりました。続いて、学習ナビ動画について伺います。クレアールでは、学習の時期ごとにさまざまな学習ナビ動画をご用意しております。受講にあたって利用された動画や役に立った点などお聞かせください。

富田 学習ナビの動画は基本的には全部見ました。先ほどもお話しましたように、まず、最初から理解しないようにして、どんどん進んでいくことで全体像が掴めるというお話なども学習ナビでおっしゃっていたので参考にしました。私は事実上、司法書士に関しては全くもって初学者だったので、そういったところは全くわからない状態でした。「どのぐらい勉強を進めていったらいいだろう」とか「周りはどれぐらいやっているんだろう」とかわからないので、学習ナビを見ておくと「ここで講義を受けてわからないのは普通なんだ」とか、「わからないからまずいとは思わずにみんなわからないものだ」という感じで気持ちに余裕が持てたりもしたので、学習ナビの動画は見て良かったですね。

 

仕事と学習の両立について

清水 それでは話は変わって、仕事と学習の両立について伺います。司法書士の学習を開始してから約1年間は仕事をしながら学習をなさっていたとおっしゃっていましたが、仕事をしながら学習する上で工夫したこと、心掛けていたことなどをお聞かせください。

富田 先ほどの1日のスケジュールですけど、通勤と帰宅途中はもちろん、仕事中でもそんなに頭を使わなくてもできる流れ作業じゃないですけど、そういった時間が私の仕事ではありました。例えばコピーをとるだけとか、そういうときは頭の中で復習して、もともと自分で講義するようなスタイルの勉強方法だったので、頭の中で講義するようなかたちでの復習でした。仕事中に復習して、帰ってきたらまたそれをテキスト等で確認するということで勉強をやって、仕事中と帰った後と2回すぐ復習する。とれる時間が少なかったため、早い段階で復習することにより知識が漏れていかないように、また一度やったことをなるべく漏らしたくないと思っていたので、そういうやり方で何とか対応はできたかと思います。仕事と学習の両立といっても、先ほどのお話じゃないですけれども、家庭を持たれている方などとは全然違って、仕事以外の時間は自由に使えたのでそこまで大変だったかといわれたらそんなにでもなかったです。別に子どもがいるわけでも奥さんがいるわけでもないので、そういう意味ではいい環境でできたのではないかと思っています。逆に、完全に休みだとやはりメリハリがつかないから、モチベーションをずっともたせるのが大変だと思うので、仕事の合間、短い時間でも集中してやることで継続して勉強ができたかと思います。

 

現在学習を始めている方へのアドバイス

清水 それでは、これから学習する人、現在学習を始めている方へのアドバイスとして、難しいかもしれませんが、ズバリ一発合格の秘訣がありましたら教えてください。

富田 強いて言えば、本当に用意していただいた教材とか講師の方々が講義で言われていることをそのまま実践するということだと思います。独学と予備校の違いというか予備校を利用するメリットは、もちろん講義をしてくれて教えてくれるということもあると思うんですけれども、試験に必要な知識とか情報の集約というところが多分一番予備校を利用する上でのメリットになると思うんです。それを自分で何かほかのことに手を出してしまうとかすると、予備校を使う意味もかなり薄れてしまうと思うんです。本当に提供していただいたものだけをやるのが一番の近道になると思います。秘訣とまでは言えないですけど。

清水 わかりました。では、これからの抱負としてどんな司法書士になりたいかお聞かせください。

富田 私は、働いてはいましたけど社会人経験自体まだ少ない状態で、もちろん司法書士としての業務は全くもって未経験、やっと最近仕事を始めたばかりなので、まずはいろいろ見てみたいということが一番に来ていて、いろいろな業務に触れる中でその上で自分に何ができるかは考えたいと思っています。今、まだ自分の司法書士像が見えている段階では正直言うとない状態です。私は平均的な司法書士の年齢では若い方なので、本当にこれから勉強させていただいて、いろいろな仕事を見させていただいて、どんなことができるかということを作っていきたいと思っているところです。今まで接客の仕事をしてはいたので、そういったところを生かしたいですが、司法書士はメインじゃなくて裏方の仕事だと思うんです。不動産取引で言えば買主さんと売主さんがいて、この人が主役みたいなかたちで、それをサポートするのが司法書士という仕事だと思うので、縁の下の力持ちじゃないですけど、そういったサポートする人間として的確にお客さまをサポートできたら良い。そういう司法書士、当たり前ですけどそういう人間になれたらいいなと思っています。

 

これからの抱負

清水 では、来年司法書士試験の合格を目指す方へのメッセージ、伝えたいことをお聞かせください。

富田 そんな人さまにメッセージを言えるような立場ではないのですが、いろいろな状況の人がいると思うんです。専業なのか、仕事をしているのか、家庭を持たれているのか。実際その環境によってはかなり厳しい状況の方もたくさんいらっしゃると思うんです。でも受けると決めた以上は、落ちる・受かるもそうですけど、真剣に向かわないとほかの受験生にも失礼な部分があると思うんです。適当に受ける、また仮に受かってもその後は適当にやって勤まる仕事でないですから、やはり合格に向けて全力でやることが一番大事だと思います。私は、自分がそんな大したことをやったというわけではなく、もう本当に教えていただいたことをやっただけだったので、真剣に向き合ってやっていただければ合格できると思います。その中から合格者が出た時に、もしかしたらお知り合いになって一緒に仕事をさせていただくこともあるかもしれません。そういう真剣にやっている人が報われるような試験だと思うので、是非頑張ってください。

清水 最後に、試験に受かるにあたって一番重要なことは何だと思いますか。

富田 もちろん予備校にすごくお世話にはなったんですけれども、中には予備校に行かなくても合格する方もいらっしゃって、逆に言えば予備校を使っても落ちてしまう方もたくさんいますから、やはりそこは自分がどれだけできるかということです。真剣にやったとしても相対試験でそんなにたくさん合格者が出るわけではないので、真剣にやらなかったら真剣にやっている人に勝てるとは思えないです。そこで「どれだけ気持ちを持って本気でできるか」というところがかなり重要なのだと思います。あとはクレアールを選んだのであれば、もう勉強の道筋は全部作っていただいているので自分のやる気次第ですし、予備校の指導どおりに従っていけば方向は間違えないと思うので、あとは自分できちんとこなしていけるかというところだと思います。

清水 今日は長い時間、貴重なお話をしていたただきましてありがとうございました。すでに司法書士としての第一歩を踏み出していらっしゃると伺いましたので、これからのご活躍を期待しております。

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