税理士や中小企業診断士の資格取得を目指す際、ダブルライセンスを検討する方も多いでしょうか。本記事では税理士と中小企業診断士のダブルライセンスのメリットや、税理士の資格があれば中小企業診断士試験で有利となる理由について解説します。税理士と中小企業診断士のダブルライセンスに興味がある方は、ぜひ参考にしてみてください。
税理士と中小企業診断士は親和性が高い

税理士と中小企業診断士は業務内容の親和性が高く、ダブルライセンスとしては非常に相性のよい組み合わせといえます。主な理由としては、「経営コンサルティングを行う」点や、「クライアントが中小企業」という点が両者で共通しているためです。
税理士は主に、中小企業や個人に対して、税務代理や税務書類の作成、会計や経営に関するコンサルティング業務を行います。一方、中小企業診断士の主な業務内容は、中小企業に対して経営に関するコンサルティングを行うことです。
以上のように業務内容も関連性が高いため、より職域を広げたい方は税理士と中小企業診断士の両方の資格を取得するがおすすめです。
税理士と中小企業診断士のダブルライセンスのメリット4選
前述の通り、税理士と中小企業診断士は相性がよく、ダブルライセンスによりさまざまなメリットをもたらします。ここでは、税理士と中小企業診断士のダブルライセンスのメリットについて解説します。
より精度の高いコンサルティングができる
中小企業診断士と税理士のダブルライセンスにより、さらに精度の高いコンサルティングが可能となります。
税理士は税務や会計に関する知識は豊富ですが、経営全般についてアドバイスを行うには試験勉強で習得した知識だけでは不十分です。そのため、クライアントからの経営課題や事業拡大などの相談に関しては対応が難しい場合もあります。
その点、中小企業診断士の資格があれば、税務や会計に関する内容だけでなく経営全般についてもアドバイスが可能です。税理士と中小企業診断士のダブルライセンスにより、コンサルティングの質が上がれば、クライアントの満足度向上にもつながるでしょう。
他の税理士との差別化を図れる
ダブルライセンスにより他の税理士と差別化を図れるのも、大きなメリットといえます。
税理士は税務のスペシャリストとして、単体でも十分に需要のある資格です。加えて中小企業診断士とのダブルライセンスにより、さらに希少性が高くなります。
中小企業診断士は経営コンサルティングに関する唯一の国家資格です。税理士が中小企業診断士の資格も持っていれば、経営に関するアドバイスもできる貴重な人材として、安定して案件を獲得できるでしょう。
転職に有利になる
税理士と中小企業診断士のダブルライセンスは、転職においても有利に働きます。税理士の独占業務に加え、経営コンサルティングも行える人材として、採用市場で高く評価される傾向があるためです。
企業によっては、将来的に経営に携われるような、幹部候補のポジションとして迎え入れてくれるケースもあるでしょう。
IT化が進んでも活躍できる
税理士と中小企業診断士のダブルライセンスがあれば、IT化が進んでも十分に活躍が可能です。
近年のIT化により、クラウド会計ソフトを導入すれば、記帳代行や決算書・申告書の作成などの業務は税理士なしでも可能になりつつあります。そのため、クライアントからの税理士へのニーズは、経営課題や事業拡大といった経営全般に関する範囲まで広がっています。
その点、税理士と中小企業診断士の両方の資格を持っていれば、クライアントの幅広いニーズに対応できるため、IT化による業務の減少も防げるでしょう。
税理士の有資格者にとって中小企業診断士試験の難易度は高い?

結論からいえば、税理士の有資格者にとって、中小企業診断士試験の難易度は決して低いとはいえません。
現状、中小企業診断士試験の1次試験の合格率は約30%、2次試験の合格率は約20%で推移しています。また、1次試験と2次試験を合わせた最終的な合格率は約4~8%と、国家資格の中でもかなり難易度が高いです。
試験の難易度でいえば税理士試験の方が高いものの、中小企業診断士を目指す場合もしっかりと試験対策する必要があります。
中小企業診断士試験の合格に必要な勉強時間は?
中小企業診断士試験の合格に必要な勉強時間の目安は、平均1,000時間前後といわれています。一方、税理士試験の合格に必要な勉強時間の目安は、平均3,000時間前後です。
勉強時間だけで比較すれば、中小企業診断士試験の方が学習の負担は少ないといえるでしょう。
ただし、税理士として働きながら中小企業診断士を目指す場合、勉強時間の確保が大きな課題です。しっかりと学習計画を立て、効率的に勉強する必要があります。
「クレアール」では、働きながら中小企業診断士を目指す人へ通信講座を提供しています。通信講座は時間や場所を問わないオンライン学習となっているため、勉強時間の確保が難しい方に最適です。
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税理士の有資格者が中小企業診断士試験において有利な理由

一般的に税理士の資格を持っている方は、中小企業診断士試験において有利といわれています。ここでは、税理士の有資格者が中小企業診断士試験で有利となる理由について解説します。
税理士試験と重複する科目があるため
税理士と中小企業診断士の試験は一部重複する科目があるため、税理士の有資格者は試験で有利となると考えられます。
具体的には、税理士試験の必須科目である「簿記論」「財務諸表論」と、中小企業診断士試験の1次試験の「財務・会計」および2次試験の「事例Ⅳ」が重複する科目です。
さらに「財務・会計」と「事例Ⅳ」はともに重要科目に位置付けられているため、税理士試験で学習した内容を中小企業診断士試験の重要科目で活かせます。試験科目の重複は、試験において大きなアドバンテージとなるでしょう。
税理士の有資格者は科目免除ができるため
税理士の有資格者は、中小企業診断士試験を受験する際に科目免除を受けられます。具体的には、1次試験の「財務・会計」が免除可能です。
そのため、税理士と中小企業診断士のダブルライセンスを目指す際は、先に税理士資格の取得をおすすめします。
なお、科目免除を受けるためには、受験申込みの際に税理士資格の保持を証明できる書類を提出することが必要です。
✓科目免除に必要な証明書類
・登録証明書
・税理士証票
・税理士試験合格証書
科目免除を受ければ、免除される科目の勉強時間を他の科目の勉強時間に充てられます。また、「財務・会計」が得意な人は、あえて免除せずに苦手科目のカバーを図るのも1つの戦略です。
税理士と中小企業診断士に関するよくある質問
ここでは、税理士と中小企業診断士に関してのよくある質問をQ&A形式でご紹介します。
税理士と中小企業診断士のダブルライセンスを目指しましょう
税理士と中小企業診断士は業務内容の親和性が高く、ダブルライセンスとしては非常に相性のよい組み合わせです。
ただし、税理士試験と中小企業診断士試験はどちらも難易度が高く、両方の試験に合格するのは決して簡単ではありません。税理士と中小企業診断士のダブルライセンスを目指す際は、しっかりと学習計画を立ててチャレンジしましょう。
なお、これから中小企業診断士の取得を目指す方には、「クレアールの中小企業診断士講座」がおすすめです。クレアールでは、重要な論点にポイントを絞って学習する「非常識合格法」を採用しているため、働きながらでも効率よく合格を目指せます。
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監修:古森 創
ソニー(株)にてマーケティング、営業、経営監査、新規事業開発の仕事に従事した後、中小企業診断士として独立開業。株式会社古森コンサルタンツ代表取締役。ソニーでの経験をベースとした「売上改善プログラム」、「新規事業開発推進支援」を中心にコンサルティング・セミナー・研修など実務の第一線で活躍しながら、受験のプロとしてもこれまで多くの合格者を輩出し、「スゴ腕講師」として高い評価を受ける。