中小企業診断士と行政書士のダブルライセンスには、どのような相乗効果があるのでしょうか。
本記事では、両資格を取得するメリットや仕事内容、試験概要、合格難易度などを多角的に比較します。経営コンサルと許認可の専門家として、唯一無二のポジションを築きたい方はぜひ参考にしてください。
中小企業診断士と行政書士の仕事を比較
中小企業診断士の仕事
中小企業診断士の主な業務内容は経営コンサルティングです。事業計画の策定、財務改善策の提案など、経営改善へのアドバイスを行います。
企業内の経営に関わる部署に就く「企業内診断士」として働く人が多いですが、独立しコンサルティング事務所を構える「独立診断士」も増加傾向にあります。
企業で勤務する場合、年収は約700~800万円ですが、独立し年収1,000万円以上になることもあります。
行政書士の仕事
行政書士の主な業務内容は許認可申請や契約書の作成、法人設立、法務手続きなど多岐にわたります。また、独占業務として官公庁への提出書類の作成が挙げられます。
資格取得後は行政書士法人への勤務の他、独立して行政書士法人を構える人もいます。
年収は約500~700万円で、個人差が大きいことも特徴です。
ダブルライセンスが生む3つの大きなメリット

中小企業診断士と行政書士は、異なる領域の専門性を持ちながら、どちらも企業の成長を支える国家資格です。そのため、両方の資格を持つことで業務の幅が広がり、他の士業との差別化につながります。
顧客から信頼を得ることができる
企業経営の場面では、経営改善と法整備の両方の領域を横断するニーズが生まれることも少なくありません。
例えば、建築業では、建設業許可の更新などの法的手続きを行政書士としてサポートしつつ、公共工事参入に必要な経営事項審査を中小企業診断士の視点から財務改善・評点対策までトータルで支援することも可能です。
中小企業診断士と行政書士のダブルライセンスであれば、上記のような複雑なニーズに一貫して答えることができ、顧客にとって強い安心感に繋がります。
より安心感のある補助金支援ができる
2026年1月の行政書士法の改正により、行政書士でない者が「報酬を得て」官公署に提出する書類を作成する行為に対する規制が、これまで以上に明確化されました。
中小企業においては、ものづくり補助金や小規模事業者持続化補助申請の需要があります。中小企業診断士の資格のみで申請書の清書や電子申請の代理送信を安易に行うと、行政書士法抵触のリスクがあります。
中小企業診断士と行政書士の両方の資格を持っていることで、戦略立案から書類作成、代理申請までを一気通貫で適法に受任できます。クライアントに対して法的な裏付けのある安心感を提供することができます。
補助金申請の採択率が上がる
補助金の採択には説得力のある事業計画が不可欠です。
両方の資格を持っていることで、3C・SWOT分析を用いた論理的な成長シナリオの構築という経営の視点と、欠格事由の確認や、法令に則った精緻なエビデンスの整理という行政書士の視点を合わせ持った事業計画書を作ることができます。
特に事業再構築補助金やものづくり補助金など、投資額の大きい案件ほど、この専門性の掛け合わせが採択率を左右します。
中小企業診断士と行政書士の試験を比較

試験概要
中小企業診断士と行政書士は、どちらも学歴や実務経験を問わず誰でも挑戦できる国家資格です。
中小企業診断士
中小企業診断士試験は、マークシート式の1次試験後と記述式の2次試験があり、それぞれ8月の上旬と10月の下旬に行われます。
1次試験は企業経営理論、運営管理、財務・会計、経済学・経済政策、経営情報システム、経営法務、中小企業経営・政策の7科目で幅広い知識が求められます。
2次試験は組織・人事、マーケティング・流通、生産・技術、財務・会計に関する4つの事例問題が出題され、それぞれに深い知識や論理的思考力を求められます。
行政書士
行政書士試験は、毎年11月の第2日曜日に行われ、出題分野は大きく分けて「法令科目」と「基礎知識」の2つがあります。
法令科目は民法、行政法、憲法、基礎法学、商法・会社法の5科目、基礎知識は一般知識、行政書士法等行政書士業務と密接に関連する諸法令、情報通信・個人情報保護、文章理解の4科目に分かれています。
法令科目と基礎知識の両方の基準点をクリアしつつ、トータルの得点が180点以上になる必要があるため、バランスよく対策することが重要です。
| 中小企業診断士 | 行政書士 | |
| 試験日程 | 1次:8月初旬 / 2次:10月下旬 | 11月第2日曜日 |
| 受験資格 | 制限なし | 制限なし |
| 試験形式 | 1次:7科目マーク式 / 2次:記述式 | マーク式 + 記述式(40字程度) |
試験の免除科目はある?
中小企業診断士資格を持っていることで行政書士試験の科目が免除されることはありません。また、行政書士資格を持っていることによる中小企業診断士試験の免除科目もありません。
しかし、中小企業診断士1次試験の「経営法務」は行政書士試験の試験範囲と重なる部分があります。そのため、それぞれの試験の知識があることで試験上も有利になります。
中小企業診断士と行政書士はどっちが難しい?

近年の合格率を見ると、中小企業診断士の合格率は1次試験と2次試験を合算すると約5%程度である一方、行政書士試験は約10~15%で推移しています。
必要学習時間の目安も中小企業診断士試験の約1,000時間に対し、行政書士試験は約600~800時間と、試験の難易度は中小企業診断士の方が高いと言えるでしょう。
しかし、行政書士は民法や行政法といった深い法知識が求められるため一定の学習量が必須です。
| 合格率 | 必要学習時間の目安 | |
| 中小企業診断士 | 約5%程度(1次と2次の合算) | 約1,000時間 |
| 行政書士 | 約10%〜15% | 約600〜800時間 |
中小企業診断士と行政書士はどっちを先に取得すべき?
一般的には、行政書士から中小企業診断士の順で進めるのがスムーズです。
行政書士の方が比較的短期間で合格を目指せるため、自信をつけた状態で中小企業診断士試験に臨めます。また、中小企業診断士1次試験の「経営法務」は行政書士試験の内容と重なるため、他の受験生に比べてアドバンテージを得ることができます。
さらに、先に行政書士として登録すると、実務で顧客との接点を作りながら中小企業診断士の勉強をコンサル視点で進めることができます。
ただし、まず経営知識を体系的に身に付けたいという方は、中小企業診断士からスタートしても問題ありません。
中小企業診断士と行政書士のダブルライセンスに関するQ&A
中小企業診断士と行政書士のダブルライセンスを目指そう
中小企業診断士と行政書士のダブルライセンスは、経営と法務、そして許認可を一体で提供できるため、中小企業支援の現場で強い存在感を発揮します。
何をすればいいかという戦略を語るだけでなく、どう手続きするかという実務までを完結できる専門家は、経営者にとって代えがたいパートナーとなります。企業支援の専門家として活動の幅を広げたい方は、ぜひこのダブルライセンス取得を検討してみてください。
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監修:古森 創
ソニー(株)にてマーケティング、営業、経営監査、新規事業開発の仕事に従事した後、中小企業診断士として独立開業。株式会社古森コンサルタンツ代表取締役。ソニーでの経験をベースとした「売上改善プログラム」、「新規事業開発推進支援」を中心にコンサルティング・セミナー・研修など実務の第一線で活躍しながら、受験のプロとしてもこれまで多くの合格者を輩出し、「スゴ腕講師」として高い評価を受ける。




