本記事では中小企業診断士の仕事内容や働き方などをもとに、中小企業診断士に向いている人と向いていない人の特徴を解説します。資格を取得することでどのような強みを得られるのか、資格を生かす方法についても解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。
中小企業診断士に向いている人

中小企業診断士も他の職業と同様、人によって向き不向きがあります。そこで本章ではまず、中小企業診断士に向いている人の特徴について解説します。
各特徴に当てはまらないと中小企業診断士になれないというわけではありませんが、資格取得の検討材料としてご覧ください。
他者とかかわることが好きな人
中小企業診断士のメイン業務は、中小企業に対する経営コンサルティングです。経営コンサルティングという業務は幅が広い分、社内外のさまざまな人間と関わる必要があります。
そのため、他者と関わることが好きな人であれば、業務を進めるうえでのコミュニケーションが負担になりづらいので、中小企業診断士に向いているといえるでしょう。
人の役に立つことが好きな人
経営コンサルティングの目的は企業の経営をより良くすることです。自分のアドバイス次第で企業の状況が変わり、良い成果が出れば直接感謝を受ける機会も多くなります。
そのため、人の役に立つことが好きな人であれば、仕事に対するモチベーションも維持しやすいでしょう。より意欲的に解決策を考えたり、新しい知識を吸収したりできるようになるので、中小企業診断士として成功する可能性が高まります。
コミュニケーション能力の高い人
経営コンサルタントとして的確なアドバイスをするためには、経営者の悩みを正確にヒアリングすることが必要です。そのためには、相手からの意図を理解し次に促す傾聴力や関係構築力が求められます。
コミュニケーション能力の高い人であれば、依頼主の信頼を得やすく、中小企業診断士に向いているといえます。
説明が得意な人
企業の状況を客観的に分析し改善策を提示する際は、相手に対して明瞭に説明することが重要です。そのためには、自分と同じだけの知識を持っていない人に対しても、分かりやすい言葉を選んで説明するスキルが求められます。
相手の立場に立った説明ができれば、依頼主からも信頼されやすく、中小企業診断士として活躍できる可能性が高まるでしょう。
読解力がある人
中小企業診断士はさまざまな企業の経営コンサルティングを行うことになるため、相手に合わせて説明する力と平行して、相手の相談内容の意図を理解する力も求められます。
依頼主の言葉はもちろん、言葉に表れていない部分も汲み取れると、依頼主からの「話しやすい」「安心できる」という評価につながるでしょう。
経済や経営に深い関心がある人
中小企業診断士は職業柄、経済や経営に関する深い知識が求められます。しかし経済や経営に関する状況は日々変化しており、それに合わせて自らの知識も日々アップデートしていかなければなりません。その点、経済や経営に深い関心がある人であれば、能動的に勉強できるため、中小企業診断士としての価値を維持しやすいでしょう。
勉強が好きな人
中小企業診断士としての価値を維持するためには、知識を日々アップデートしていく必要があります。特に依頼主ごとに取り巻く環境は異なるので、その都度、新しい調査や情報収集が必要です。
継続的な勉強とは切り離せない職業なので、勉強することを負担に感じない人は中小企業診断士に向いているといえるでしょう。
物事を柔軟に考えられる人
コンサルティングは正解のない世界です。環境や時代の変化に伴い、過去のアドバイスが役に立たなくなることも珍しくありません。
そのため、自分の考えに固執せず、物事を柔軟に考えられる人は中小企業診断士に向いているといえます。前例を参考にしながらも、相手や状況に合わせた対応ができると、中小企業診断士としても重宝されるでしょう。
キャリアップしたい人
中小企業診断士は独立開業すれば、1,000万円以上の年収も十分に狙える資格です。また、仮に企業に在籍して働く場合であっても、中小企業診断士の資格を取得することで、管理職に近づいたり業務の幅が広がったりして、給与アップが見込めます。
積極的にキャリアアップを目指している人は、中小企業診断士の資格取得が向いているでしょう。
中小企業診断士に向いていない人

本章では、中小企業診断士に向いていない人の特徴について解説します。当てはまったからといって、中小企業診断士になれないというわけではありませんが、自分に合わない職業を選ぶことでストレスになってしまう恐れもあるので、事前に確認しておきましょう。
一度身に付けた知識をそのまま長く活用していきたい人
中小企業を取り巻く環境は日々変化しており、中小企業診断士としての価値を維持するためには、知識のアップデートは必須です。試験で学んだことだけで業務を進めていきたい人や、試験合格後も継続的に勉強することを負担に感じる人は、中小企業診断士はあまり向いていないかもしれません。
一人で黙々と作業を進めたい人
中小企業診断士は業務の性質上、独立開業するか企業に在籍するかにかかわらず、さまざまな人と関わる必要があります。決められた業務を一人で黙々とこなしたいような人は、中小企業診断士として他者とコミュニケーションを取ることが負担になる可能性が高いでしょう。
深く考えることが苦手な人
中小企業診断士は与えられたさまざまな情報をもとに、原因を多面的に想定し、そのうえで最適な解決策を考える必要があります。そのためには、身に付けた知識をそのまま活用するのではなく、その時々の状況に合わせて応用するスキルが求められます。
物事をさまざまな面から検討する、原因を深掘りするなど、深く考えることが苦手な人は、中小企業診断士としては活躍しにくいでしょう。
中小企業診断士の強み
中小企業診断士を目指すうえでは、向いているか、向いていないかも重要ですが、それ以前に自分に必要かが大切です。強みを理解することで、自分に必要な資格か判断できるようになるでしょう。
経営に関する汎用性のある知識を身に付けられる
中小企業診断士試験では、経営に関する財務、IT、法律などの幅広い知識が出題されるため、経営コンサルタントとして必要な普遍的な知識を身に付けられます。これらの知識は汎用性が高いため、経営コンサルタントとして活躍する場合はもちろん、企業で働く場合も社内のさまざまなフィールドで活躍できるようになり、業務幅が広がることが期待できます。
資格の難易度が高いので競合性が低い
中小企業診断士試験は筆記のみの第1次試験と、筆記と口述で構成される第2次試験の2種類があり、第1次試験・第2次試験の筆記試験ともに合格率は20%程度です。第2次試験の口述試験の合格率は99%以上ですが、口述試験を受けるまでの経緯を考えると非常に難易度が高いといえるでしょう。
このように、中小企業診断士は難関資格であるため、保有者が限られており、取得することで社会的な信頼性も高まります。
AIに代替されにくく、長期的な需要が見込める
中小企業診断士のメイン業務である経営コンサルティングは、AIに代替されにくい業務です。なぜなら経営コンサルティングは、依頼主とのコミュニケーションや人間ならではの想像力・思考力など、現状のAI技術では代替が難しい技術を必要とされる場面が多いからです。
将来的にAIが一部を代替することはあっても、完全に代替されるとは考えにくく、長期的な需要が見込まれています。
中小企業診断士の資格を生かす方法

中小企業診断士の資格は取得すれば終わりではなく、活用するために自ら行動していく必要があります。そこで本章では、中小企業診断士の資格を生かす方法について4つの観点で解説します。
経営コンサルタントとしてコンサルティングファームに就職する
中小企業診断士は試験勉強を通じて、経営コンサルタントとして必要な知識を身に付けられるため、経営コンサルタントとしてコンサルティングファームへの就職を目指すことが可能です。
コンサルティングファームは一般企業に比べて高年収のところが多く、難関資格を取得したという実績は選考において有利に働くケースも多いでしょう。
中小企業診断士として一般企業に就職する
経営に関する知識は汎用性が高いため、中小企業診断士として一般企業に就職するのも1つの選択肢です。経営に関する深い知識を持つ人材は企業側にとっても貴重であるため、一般企業でも活躍の場は多岐にわたります。
入社後、活躍が認められれば、将来的に経営に携われるような重要なポストに就くこともできるでしょう。
本業とは別で中小企業診断士ならではの副業を行う
いきなり本業として始めるのに不安がある人は、本業とは別で中小企業診断士ならではの副業を行うという選択肢もあります。例えば、スポット的な相談業務やセミナーの講師などであれば、休日などを活用して十分に対応できます。
副業を通じて実績を積み上げていけば、自信にもつながり、将来的に中小企業診断士を本業にすることもできるでしょう。
独立開業する
中小企業診断士は独立開業することも可能です。独立開業すれば、自らの頑張りがそのまま売上(年収)に直結するため、年収1,000万円以上を狙うことも不可能ではありません。
ただし、開業1年目から大きな金額を稼ぐことは難しく、実務経験を積んで業務の幅を広げたり、顧客からの信頼を獲得したりすることで、徐々に年収が上がっていくケースが一般的です。
中小企業診断士に向いている人に関するよくある質問
中小企業診断士に興味があれば前向きに検討しよう
中小企業診断士には業務の特性上、向いている人・向いてない人がいます。しかし、これらはあくまで1つの傾向であり、向いていない人の特徴に当てはまったからといって、中小企業診断士の適性がないというわけではありません。もしコンサルティングや経営に興味があるのであれば、向いている・向いていないポイントと自分を照らし合わせて、今の自分に何が足りていないのか、どんな努力をすべきなのか考えてみましょう。
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監修:古森 創
ソニー(株)にてマーケティング、営業、経営監査、新規事業開発の仕事に従事した後、中小企業診断士として独立開業。株式会社古森コンサルタンツ代表取締役。ソニーでの経験をベースとした「売上改善プログラム」、「新規事業開発推進支援」を中心にコンサルティング・セミナー・研修など実務の第一線で活躍しながら、受験のプロとしてもこれまで多くの合格者を輩出し、「スゴ腕講師」として高い評価を受ける。