民法 第722条【損害賠償の方法、中間利息の控除及び過失相殺】

第722条【損害賠償の方法、中間利息の控除及び過失相殺】

① 第417条及び第417条の2の規定は、不法行為による損害賠償について準用する。

② 被害者に過失があったときは、裁判所は、これを考慮して、損害賠償の額を定めることができる。

目次

【解釈・判例】

1.不法行為による損害賠償は、金銭賠償を原則とする(1項)。

2.過失相殺に関する論点

(1) 裁判所による考慮は任意であって、必要的ではない

(2) 債務不履行の場合(418条)と異なり、責任そのものについては否定できない

(3) 被害者の過失を斟酌するには、被害者が事理を弁識するに足りる知能を有していれば足り、自己の行為の責任を弁識するに足りる知能を有していることを要しない(最判昭39.6.24)。

(4) 過失には、被害者本人の過失だけでなく、被害者と身分上又は生活関係上一体をなすとみられるような関係にある者の過失も含む(最判昭42.6.27)。

3.関連判例

(1) 被害者に対する加害行為と被害者の疾患とが共に原因となって損害が発生した場合、裁判所は賠償額を定めるにあたり、722条2項を類推適用して被害者の当該疾患を考慮できる(最判平4.6.25)。

→ 被害者が通常の体質と異なる身体的特徴を有していても、それが疾患にあたらなければ、特段の事情がない限り、減額のために当該特徴を考慮することはできない(最判平8.10.29)。

(2) 交通事故と医療事故とが順次競合し、運転行為と医療行為とが共同不法行為に当たる場合、各不法行為者と被害者との間の過失相殺は、それぞれの不法行為の加害者と被害者との間の過失割合に応じて行うべきものであり、他の不法行為者と被害者との間の過失割合を斟酌して行うことは許されない(最判平13.3.13)。

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