第296条【留置権の不可分性】
留置権者は、債権の全部の弁済を受けるまでは、留置物の全部についてその権利を行使することができる。
目次
【超訳】
複数の物に対して留置権を有する留置権者は、被担保債権の全額の弁済を受けるまで、複数の物全部を留置することができる。一部弁済に対して留置物の一部の返還をする必要はない。
【解釈・判例】
留置権者は、留置物の一部を債務者に引き渡した場合においても、特段の事情のない限り、債権の全部の弁済を受けるまで、留置物の残部につき留置権を行使することができる(最判平3.7.16)。
【暗記】
担保物権に共通して有する性質である。この条文は、先取特権(305条)、質権(350条)、抵当権(372条)のすべてに準用されている。