第200条【占有回収の訴え】
① 占有者がその占有を奪われたときは、占有回収の訴えにより、その物の返還及び損害の賠償を請求することができる。
② 占有回収の訴えは、占有を侵奪した者の特定承継人に対して提起することができない。ただし、その承継人が侵奪の事実を知っていたときは、この限りでない。
目次
【超訳】
① 占有者は、占有物を占有者の意思に基づくことなく奪われた場合、その物の返還及び損害賠償を請求することができる。
② 占有回収の訴えは、占有侵奪者及びその包括承継人に提起することができる。侵奪者からの善意の特定承継人に対しては行使できない。ただし悪意の特定承継人に対しては、提起できる。
【解釈・判例】
1.詐取された場合や遺失した場合は占有回収の訴えは認められない(大判大11.11.27)。また、占有者が任意に引き渡した以上は、後に受領者が占有者の意思に反する行為をしたとしても、「占有を奪われた」とはいえない(最判昭34.1.8)。
2.占有回収の訴えは、悪意の特定承継人に対しては提起できるが(2項ただし書)、いったん善意の特定承継人の占有に帰すれば、その後の特定承継人が悪意であっても、その者に対し行使することはできない(大判昭13.12.26)。
【問題】
Bは、Aが占有する動産甲を盗み、盗品であることを秘してCに売却した。Bが甲を盗んだことを知らないCは、これを知っているDに甲を売却し、Dが甲を占有している。この場合には、Aは、Dに対し、占有回収の訴えにより甲の返還を求めることができる
【平23-9-オ改:×】
【問題】
動産甲の占有者Aは、Bの詐欺によって、Bに動産甲を現実に引き渡した。この場合において、Aは、Bに対し、占有回収の訴えにより動産甲の返還を求めることはできない
【平29-9-ア:○】