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「出産・育児・家事をこなしてつかんだ合格」 冨澤 仁美さん

「出産・育児・家事をこなしてつかんだ合格」

冨澤 仁美さん

専業主婦から司法書士を目指して

大学では米文学を専攻していて、法律には無縁な学生生活でした。卒業後、機械メーカーに総合職として入社しましたが、残業続きの毎日に疲れ、法律事務所に転職しました。法律事務所では事務兼秘書みたいなものでしたが、裁判所に提出する書類を作ったりして、色々と世の中の裏を垣間見ることもでき、興味深い日々を過ごしていました。結婚後も仕事を続けていましたが、出産をきっかけに専業主婦になり、気づくと子供と家事に追われる毎日を過ごし始めていました。このまま子供と家事で自分の人生が埋まっていくのかと思うと何か違う感じがして、ゆくゆくは社会に戻れるように何か資格を取ろうと決意し、長男が生後3ヶ月になった頃から探し始めました。当初は、行政書士にしようかとも考えましたが、「どうせなら思い切って、将来息子からも一目置かれるような一生ものの資格を取ろうと」司法書士の資格を目指すことにしました。実は、勉強を始めた頃は司法書士の具体的な仕事の内容も分かっておらず、かなり勉強が進んだ後にようやく理解するようになりました。ちなみに、法律事務所で勤務していたといっても法律の知識は皆無でしたが、実際に経験した裁判の流れや、公式書類の書き方みたいなものは、具体的なイメージが持てたという点で、少しは役に立ったのかもしれません。

入学直後の不安も学習開始で即解消

乳児のいる私にとって、通学することは不可能でしたので、通信教育を行っている学校をインターネットで探しました。聞いたことがある学校にしようかと思っていましたが、数校から資料を取り寄せた結果、『非常識合格法』との言葉と、何より他校よりお手頃な受講料に魅力を感じ、クレアールに決めました。そうは言っても、何十万円もするものですから、イマイチだったらどうしようという不安に駆られつつ始めたのですが・・・勉強をし始めてすぐにそんな不安は消え飛んでしまいました。講師の先生方の説明はハキハキと分かりやすく頭に残りましたし、テキスト類は充実しており、他の参考書は使用しなくても大丈夫でした。中身も簡潔なのに、落としてはいけない必要なことはしっかりと書いてあるし、答練の出題もよく吟味されていました。過去問題集もパックについていたので、結果的に私がクレアールの受講料以外で支出したものは、六法ぐらいでしょうか。直前の「公開模試」も、多くの方は他校のものも何個か受けられるのだと思うのですが、私はクレアール一本でいきました。

1年目、この試験には気力と体力が必要と実感

軌道に乗りだすと、純粋に自分のために勉強するということが、何もかも新鮮で楽しくて、数分、数秒を惜しむほどでした。最初は送られてきたテキストを予習として読んでから、その箇所の講義を見ることを繰り返しました。朝から子供の世話や家事をしながら、テレビでクレアールの講義を流し、夜静かになってからはテキストを読み込みました。何かをしながらですが、多いときでは1日4本見たこともあります。今から考えると、講義を聴いた後に、その分野の過去問を解いていたらもっと要領よく勉強ができたのかもしれませんが、当時の私は試験の科目も出題形式もよく分かっておらず、とりあえずインプットを先に終わらせてしまおうと必死でした。一通り全体を頭に入れ終わった段階で、初めて過去問に取り掛かりました。もちろんいきなり思うようには解けず、分野別に並んでいる問題を何度も繰り返しました。今思い返すと、これが一番辛い作業だったと思います。条文をあちこち引いたり、テキストを読み返したりもしたので、1問解くのに30分以上もかけたりしていました。書式は『ベーシック合格書式マニュアル対応問題集』を使って何度もコツコツ書いて覚えました。このまま勉強して、本試験に臨もうという春、二人目の妊娠が判明。そして直前の5月の終わりからはずっと悪阻がひどく、勉強も手がつかない日々が続き、結局商業登記の記述式の勉強に手を付けることなく本試験を迎えることになりました。1回目の試験で合格できるとは思っていなかったので、練習だと思ってなんとか頑張りました。午前2時間、午後3時間が恐ろしく長く感じられ、終わった後は体がガチガチで、1回目の感想は「この試験には体力と気力が必要だな」と言うことでした。結果は、午前78点・午後69点・書式は採点されず・・・。

2年目、2児の子育てと受験勉強

当然の結果なので落ち込むことなく、すぐに勉強に取り掛かりました。過去問題集中心でしたが、1年目は論点の分野別に解いていたものを、2年目からはより実践的に、年度ごとに解くようにしました。子供の相手、家事以外のことはせず、少しでも空き時間ができると必ず勉強していたので、主婦なのにワイドショーのニュースも知らないのかと夫に呆れられたこともあります。12月末に無事2人目の子供を出産しましたが、勉強のペースを落とすことはありませんでした。出産した数時間後には、病室のベッドでクレアールの択一対策のテキストを読んでいたくらいで、助産師さんに驚かれました。今思うと、2歳になったばかりの息子と生まれたばかりの娘という、子育ての上ではMAXに大変な時期でしたから、子供が眠った後にクレアールから送られてくる答練をこなすことが精一杯で、あまり手ごたえも感じられないまま、2回目の本試験を迎えていました。当日は、娘を母に預けたのですが、完全母乳の生後6ヶ月だったので、お昼休憩には試験会場に連れてきてもらって授乳したり、余った母乳をトイレで絞ったり・・・今となっては笑い話のような状況でした。私なりに精一杯頑張ったつもりでしたが、不動産登記法、商業登記法ともに書式の論点が掴めませんでした。結果は、午前81点・午後84点・書式はまた採点されず・・・。でも、終わってみれば、「よくあの生活の中、勉強して試験まで受けたなぁ」と自分でも感心したし、去年より成績がよかったことも励みに思って、「来年こそは!」とモチベーションを上げました。

3年目

ようやく今までバラバラだった知識が1つにまとまってきた感じがしました。ついに司法書士試験の土俵に上がれたという感じです。やはりこの試験は、「コツコツと努力をすることが不可欠だなぁ」と実感しました。なんとなく司法書士試験はスポーツに似ているような気がします。日々の積み重ねで、問題を見た瞬間に、頭で考えるよりも先に手が動き出すようになります。
答練の後は必ず復習をして、答案をクレアールに郵送しました。そして返却されてきた結果をもとに、一度間違った問題はもう二度と間違わないよう、再度復習をしました。ちなみに、本試験では過去問には出ていない先例がいくつか出題されましたが、クレアールの答練で出てきていたおかげで、余裕を持って答えることができました。独学で勉強される方もいらっしゃると聞きますが、要領よく最短で合格をするにはやはりプロの下で勉強するのが近道だろうと思います。

集中できる時間がようやく確保できた直前期

直前期の4月からは、息子は幼稚園に、娘は週3回ではありますが保育園に通わせることができるようになり、初めて自宅で、集中できるまとまった時間が確保できるようになりました。さらに、専業受験生に比べると自分の勉強時間なんか断然少ないのだろうという焦りが、いっそう勉強に集中させてくれました。そのおかげか本番間近・・・3年間、ずっと「私はまだまだ」という気持ちでしたが、ようやく自信を持てるようになっていることに気付き、そしてそのように心掛けるようにしました。子供達と公園に行っても「こんなに勉強したのだから、私には分からない論点はない!私が分からないような論点は誰にも分からない!」とブツブツ自分に暗示をかけたりして、怪しい人だったと思います。
そして迎えた、今年こそ最後にしたい本試験当日。後悔は絶対にしたくないと、自分を信じて死ぬ気で問題を解きました。時間も足りないことはなく、手ごたえは感じていましたが、試験の後は書式で足切りになるかもとの不安を拭い去れない日々を過ごしました。その結果は、午前90点・午後90点・書式34点と見事合格!合格したときは「すごく嬉しいのだろうなぁ」と何度も想像していましたが、法務省のホームページで自分の番号を見つけたときには、想像以上に嬉しいものでした。

家族の支えがあってこそできた合格

司法書士という資格を選んだのは思いつきでしたが、本当に選んでよかったと勉強中から常に思っていました。出産、育児、家事の合間を縫っての勉強でしたが、次々に新しい知識が増えることが喜びであり、スランプもほとんどなかったように思います。
私の合格は家族の支えがなければあり得ませんでした。子供の世話に追われ勉強が進まず、落ち込む私の愚痴をいつも電話で明るく聞いてくれた母。「受かるまで勉強を続けたらいい、いつでも子供たちを預かってあげるよ」と言ってくれた父。試験直前の週末には少しでも勉強ができるようにと子供を遊びに連れて行ってくれたりもして、本当に気遣ってくれました。主人は仕事が忙しく、あまり協力はしてくれませんでしたが、私が勉強することにも、幼い子供を保育園に預けることにも反対はせず、食卓の上に私のテキストやら六法が常にぐちゃぐちゃ載っていたことにも寛容でした。私が合格したときはとても喜んでくれました。
とにかく、この試験は勉強時間を確保して継続することが必要だと思います。短時間でも細切れでも、勉強中は集中し、なおかつ毎日継続すること!必要な知識を習得した方が必ず受かる試験だと思います。受験生の皆さん、最後まであきらめないで頑張ってください。

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