寺沢 努さん
「弱点は十分な対策で克服し、同じ失敗は繰り返さない」
はじめに
私は当初は他校の通信講座で学習していたのですが成績が伸びず、クレアールに移ってきました。そしてクレアールで2年学習し、司法書士試験に合格することができました。ここでは主に、クレアールでの学習について述べていきたいと思います。
司法書士を目指した理由
私の祖父母は、司法書士事務所を経営しており、母親もそこで補助者として働いています。そのため、私にとって司法書士という資格はわりと身近なものでした。大学へ進学するにあたり将来について考えたときに、司法書士になるのも選択肢のうちの一つだと考え、法律について学ぶために地元の大学の法学部に入学しました。
周りの同級生たちが、就職活動や公務員試験の勉強を始めるなど進路について考え始めたころ、自分も進路について考えましたが、普通の会社員になる気はなく公務員も面白味がないと思い、そこで初めて司法書士を目指そうと具体的に考え始めました。しかし、そのころは司法書士試験について甘く見ており、短期間で合格できるだろうと考え、まだ何も行動を起こしていませんでした。
結局、試験勉強を開始したのは大学4年生になってからで、他校の通信講座で司法書士を目指すことにしました。
クレアールで学習した1年目
【講義を受講】
講義を聴くにあたっては、予め付属のテキストの該当箇所に目を通しておくようにしました。自分が苦手とする論点を把握しておくことで、その部分に重点を置いて講義を聴くことができ、また得意とする論点は軽く確認するだけにとどめ、効率よく学習できるからです。講義を聴いている間は、わからない所や覚えにくい所などについてテキストにマーカーを引いたり書き込みをしたりし、講義が終わった後にその部分を重点的に復習し、苦手科目の克服と知識の定着を図りました。
講義を聴く以外の学習は、択一対策は基本的に過去問を解いて条文を読むことでした。
【過去問】
過去問は、始めのころは全ての問題を解き、間違った問題や苦手だと思う問題にチェックを入れ、自分の弱点を把握するようにしました。それを2回繰り返したあと、3回目からはチェックを入れた問題だけを解くようにしました。得意な問題は必要以上に解かず、苦手な問題を数多くこなすことで効率的に弱点を克服できると考えたからです。
また、なるべく速く解く練習も行いました。本試験では時間との戦いになるからです。具体的には午前の部の択一問題なら15分で5問解き、午後の部の択一問題なら10分で5問解き、その後に解説を読むということを繰り返しました。
【択一六法】
条文を読む際は、『択一六法』を用いました。難解な条文もわかりやすく解説してあったり、関連判例も重要なものに絞り込んで載っていたりし、とても重宝しました。ここでも苦手な条文、覚えにくい条文などにはマーカーを引き、その部分を繰り返し読み込みました。
【書式対策】
書式については、得意と思っていたので択一ほど学習はしませんでしたが、このことが後の失敗へと繋がります。当時行っていた学習は、一通り「ひな形」を覚えること、答練で間違った部分を復習することぐらいでした。
【答案練習】
答練では自分の実力を確認し、普段の学習で不足している知識を補うことを目標としました。答練では時には酷い点数をとることもありましたが、答練はあくまでも練習です。本試験で間違わなければ問題ないし、逆に今、自分の弱点を発見できてよかったと思うようにしました。そのため特に復習には力をかけました。他の学習と同様に間違えた問題や、苦手だと感じた問題にはチェックを入れ、後から何回か繰り返し解き、弱点を無くしていきました。
【弱点ノート】
全ての学習において共通して行っていたのが、「弱点ノート」を作ることです。過去問や答練において何度も間違える論点、初めて見る判例や覚えにくい判例、その他気づいたことなど、とにかく自分の弱点と思えるもの全てをこの「弱点ノート」に集約しました。これがあれば、色々とテキストなどを見返す必要もありません。科目ごとに分けて見返しやすいようにしたり、過去問なら問題番号を、判例ならそれが載っているテキストのページなどを記載しておくことで、必要ならばそこに戻って見返すことができるようにしました。さらに、「弱点ノート」の中でも弱点でなくなったものは省くようにし、効率的に見返すことができるようにしました。
【直前期〜本試験】
直前期は「弱点ノート」をもとに、苦手な論点を中心に復習しました。新しいことには手を出さず、今まで積み重ねてきた知識をより正確なものにするように心がけました。
そしていよいよ本試験。午前・午後とも択一は手応えがありましたが、記述で不登法に時間を使いすぎて、商登法の解答が不十分になってしまいました。その後、自己採点をしてみると、択一は午前・午後ともに答練、模試なども含めた中でも自己最高点を取ることができました。しかし、記述はやはり商登法の得点が期待できず、時間をかけて解いた不登法も大きく間違えていました。択一で高得点を取っただけに、得意なはずの記述での失敗はとても悔しかったです。
合格発表の日、「もしかしたら」と若干期待をしていたのですが結果は不合格でした。後日届いた成績通知を見てみると、やはり記述が基準点に達していませんでした。
クレアールで学習した2年目
次の本試験に向けてやるべきことは明確でした。記述の対策をとることです。以前は、記述については得意だと感じていたため、あまり対策はしていませんでした。それにより本試験では解答時間が不足し、焦りを呼び、さらには判断ミスを招いたのです。同じ失敗を繰り返さないためにも今回は十分な対策をとることにしました。
自分に合った解答方法の確立
具体的には問題を、設問、注意事項、聴取記録、登記記録、別紙という順番で読み、必要な情報にはマーカーを引く、複雑な事例は答案構成用紙に時系列を書く、などです。これらは当たり前のことかも知れませんが、以前の私はこれらのことも不十分だったのです。また、日付を間違えることが非常に多かったので、必ずチェックをするようにしました。
ひな形を徹底的に覚える
『合格書式マニュアル』で「ひな形」を覚え、付属の『合格書式マニュアル対応問題集』を解く、という作業を繰り返しました。また、択一で記述に関する論点が出てきた時は、合わせて確認するようにしました。
答練では本試験を意識して解く
本試験での緊張感に負けないため、答練では常に本試験を意識して解きました。また、記述の解答方法を実践し確立させ、できるだけ速く解く力を身につけるように心がけました。
択一対策は、前年の方法を継続しましたが、特に午後の択一科目には力を入れました。本試験で記述に時間をかけたかったので、なるべく速く択一を解き終えるようにしたかったためです。そのためマイナー科目についても条文を何度も読み込むなどして時間を割きました。
いよいよ本試験。今回は前年と違い、午前・午後とも択一の手応えが今ひとつでしたが、記述については対策をしていたこともあり、解けたという実感がありました。自己採点をしてみると午前の点数が低く、今年もダメかもしれないと思いましたが、奇跡を信じて待ちます。
そして合格発表。恐る恐る見てみると、自分の受験番号がありました!後日届いた成績通知によると、記述については基準点を19点上回っていました。記述対策が成功したのだと、改めて実感した瞬間でした。
最後に
司法書士試験は、やはり難関試験です。合格するためには、それなりの努力と覚悟が必要です。しかし、自分のできることは全てやったと思えるくらい頑張ることができたなら、合格はそれほど難しくはないと思います。合格するためにも、そして自分に後悔しないためにも、全力で頑張ってほしいと思います。
また、私が合格できたのは、自分の努力以上に周りの人たちの支えがあったからだと思います。今まで本当にありがとうございました。