第994条【受遺者の死亡による遺贈の失効】
① 遺贈は、遺言者の死亡以前に受遺者が死亡したときは、その効力を生じない。
② 停止条件付きの遺贈については、受遺者がその条件の成就前に死亡したときも、前項と同様とする。ただし、遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときは、その意思に従う。
目次
【解釈・判例】
1.「遺言者の死亡以前に受遺者が死亡したとき」には、遺言者と受遺者が同時に死亡した場合を含む。
2.本条は、特定遺贈と包括遺贈に適用される。
3.複数の包括遺贈のうちの1つが効力を生ぜず、又は放棄によって効力を失った場合、遺言者が当該遺言に別段の意思を表示したときを除き、その効力を有しない包括遺贈につき包括受遺者が受けるべきであったものは、他の包括受遺者には帰属せず、相続人に帰属すると解するのが相当である(最判令5.5.19)。
【比較】
死因贈与と遺贈
死因贈与 | 遺贈 | |
効力発生要件 | 贈与者の死亡(554条) | 遺言者の死亡(985条) |
法的性質 | 契約 | 相手方のない単独行為 |
代理によることの可否 | 可 | 不可 |
未成年者が単独でできるか否か | 不可 | 満15歳以上なら可(961条) |
撤回の可否 | いつでも撤回可
(死因贈与は書面による場合を含む。1022条・554条) |
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負担付でなすことの可否 | 可(551条2項・1002条) | |
遺留分侵害額請求の対象性 | 対象となる(1046条) |
【問題】
遺言の効力発生前に受遺者が死亡したときは、受遺者の相続人のために遺贈の効力が生ずる
【平18-24-ウ改:×】