第964条【包括遺贈及び特定遺贈】
遺言者は、包括又は特定の名義で、その財産の全部又は一部を処分することができる。
目次
【解釈・判例】
1.包括遺贈とは、財産の全部又は何分の何という形でなされる遺贈をいう。一方、特定遺贈とは、遺贈の目的が具体的に特定された遺贈をいう。
2.包括受遺者は相続人と同一の権利義務を有するので(990条)、相続債務も遺贈を受けた割合に応じて一般承継し、相続の承認・放棄、遺産分割などの規定がそのまま適用される。
3.遺贈と死因贈与は、それぞれ遺言者又は贈与者の死亡によって効力が発生する死後行為である点では類似している。しかし、遺贈は単独行為であり、死因贈与は契約である点において重要な差異がある。したがって、死因贈与には遺贈に関する規定が準用される(554条)が、単独行為であることに基づく規定(=遺言の方式、遺言能力、遺贈の承認・放棄に関する規定)は準用されない。