第960条【遺言の方式】
遺言は、この法律に定める方式に従わなければ、することができない。
目次
【解釈・判例】
1.遺言は、人の最終の意思に一定の法的効果を与え、その実現を保障する制度である。
2.遺言の性質
(1) 相手方のない単独行為
(2) 要式行為(方式違背の遺言は無効)
(3) 法定事項に限ってなし得る
3.遺言事項
遺言でのみなし得る事項 | ① 未成年後見人の指定(839条)② 未成年後見監督人の指定(848条)③ 相続分の指定・指定の委託(902条)
④ 遺産分割方法の指定・指定の委託(908条) ⑤ 遺産分割の禁止(908条) ⑥ 遺産分割における共同相続人間の担保責任の指定(914条) ⑦ 遺言執行者の指定・指定の委託(1006条1項) |
遺言だけでなく遺言者の生前行為によっても実現できる事項 | ① 認知(781条2項)② 推定相続人の廃除(893条)
③ 推定相続人の廃除の取消し(894条2項) ④ 特別受益の持戻しの免除(903条3項) ⑤ 財産処分(例.遺贈、964条) ⑥ 受遺者の相続人の承認・放棄についての特別の意思表示(988条ただし書) |
4.特定の遺産を特定の相続人に「相続させる」趣旨の遺言の解釈
(1) 遺言書の記載からその趣旨が遺贈であることが明らかであるか又は遺贈と解すべき特段の事情がない限り、民法908条にいう遺産分割の方法を定めたものであるとされている(最判平3.4.19)。
(2) 特定の遺産を特定の相続人に「相続させる」趣旨の遺言があった場合、その遺言において、相続による承継をその相続人の意思表示にかからせたなどの特段の事情のない限り、何らの行為を要せずして、被相続人死亡の時に、直ちにその遺産はその相続人に相続により承継される(同判例)。