第951条【相続財産法人の成立】
相続人のあることが明らかでないときは、相続財産は、法人とする。
目次
【解釈・判例】
1.「相続人のあることが明らかでないとき」とは、相続人の存否不明(いるのかいないのかはっきりしない)場合のことをいう。
2.戸籍の記載上相続人がいることは明らかであるが、生死不明又は行方不明である場合等は含まれない。この場合は不在者の財産管理(25条)や失踪宣告(30条)の問題として処理することになる。
3.「相続人のあることが明らかでないとき」には、戸籍の記載上相続人となるべき者が存在しない場合、戸籍上の相続人全員が相続欠格・廃除・相続放棄によって相続資格を喪失している場合を含む。
4.遺言者に相続人は存在しないが相続財産全部の包括受遺者が存在する場合は、本条にいう「相続人のあることが明かでないとき」には当たらない(最判平9.9.12)。
5.相続財産法人の成立時期は、被相続人の死亡時(相続開始時)である。相続財産管理人の選任時ではない。被相続人の死亡の時に法律上当然に成立する。
【問題】
相続開始の時に相続人のあることが明らかでない場合には、相続財産は、相続財産の清算人を選任する審判が確定した時に、法人となる
【平30-23-1改:×】
【問題】
相続財産全部の包括受遺者のあることが明らかである場合には、相続財産法人は、成立しない
【平30-23-4:〇】