第938条【相続の放棄の方式】
相続の放棄をしようとする者は、その旨を家庭裁判所に申述しなければならない。
目次
【解釈・判例】
1.相続の放棄は要式行為である。熟慮期間内にその旨を家庭裁判所に書面で申述し、家庭裁判所の申述受理の審判によって効力が発生する。
2.限定承認と異なり、共同相続人は各自単独で相続放棄をすることができる。放棄は単独で自由にできる絶対的なものである。
(1) 条件、期限を付けることはできない。
(2) 相続の放棄は、それによって相続債権者に損害を加える結果となり、また、放棄者がそれを目的とし、若しくは認識してなされたとしても、民法が相続放棄の自由を認めている以上、無効と解すべきではない(最判昭42.5.30)。
(3) 相続の放棄は詐害行為取消権の対象とならない(最判昭49.9.20)。
(4) 共同相続人の1人が他の共同相続人の全部又は一部の者の後見をしている場合において、後見人が被後見人全員を代理してする相続の放棄は、後見人自らが相続の放棄をした後にされたか、又はこれと同時にされたときは、利益相反行為に当たらない(最判昭53.2.24)。
3.相続開始前の放棄はできない。
4.被相続人が遺言で相続放棄を禁止することはできない。
【問題】
家庭裁判所が相続放棄の申述を受理した後は、その相続放棄をした者は、その相続放棄について、錯誤による意思表示の取消しをすることはできない
【平17-4-オ改:×】