第923条【共同相続人の限定承認】
相続人が数人あるときは、限定承認は、共同相続人の全員が共同してのみこれをすることができる。
目次
【解釈・判例】
1.一部の相続人について915条1項の熟慮期間が満了しても、他の相続人が限定承認できる期間内であれば、なお共同相続人全員で限定承認はできる(東京地判昭30.5.6)。
2.共同相続人中の一部の者が相続財産を処分して単純承認の効果が発生した場合、その他の共同相続人は限定承認をすることができない。限定承認は共同相続人の全員が共同してのみすることができるからである。
3.共同相続人中の一部の者が相続放棄をした場合は、他の共同相続人全員で限定承認をすることができる。相続放棄により初めから相続人とならなかったものとみなされ(939条)、残りの相続人全員が923条の「共同相続人の全員」となるからである。