民法 第910条【相続の開始後に認知された者の価額の支払請求権】

第910条【相続の開始後に認知された者の価額の支払請求権】

相続の開始後認知によって相続人となった者が遺産の分割を請求しようとする場合において、他の共同相続人が既にその分割その他の処分をしたときは、価額のみによる支払の請求権を有する。

目次

【解釈・判例】

1.相続の開始後に認知された者とは、遺言によって認知された者(781条2項)、被相続人の生前に認知の訴えを提起し被相続人の死後に判決で認知された者、被相続人の死後に認知の訴えを提起し判決で認知された者(787条ただし書)などである。

2.母の死亡による相続について、共同相続人である子の存在が遺産の分割その他の処分後に明らかになったとしても、民法784条ただし書及び本条を類推適用することはできない(最判昭54.3.23)。

→ 相続人が、共同相続人の1人である被相続人の非嫡出子の存在を知らずに遺産分割をした場合、当該非嫡出子は、他の相続人に対して相続財産自体の再分割を請求することができる

3.相続の開始後認知によって相続人となった者が、他の共同相続人に対し、本条に基づき価額の支払を請求する場合における遺産の価額算定の基準時は、価額の支払を請求した時である(最判平28.2.26)。

4.本条に基づく他の共同相続人の価額の支払債務は、期限の定めのない債務であり、履行の請求を受けた時に遅滞に陥る(最判平28.2.26)。

5.相続の開始後、認知によって相続人となった者が遺産の分割を請求しようとする場合において、他の共同相続人が既に当該遺産の分割をしていたときは、民法910条に基づき支払われるべき価額の算定の基礎となるべき価額の算定の基礎となる遺産の価額は、当該分割の対象とされた積極財産の価額である(最判令元.8.27)。

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