第909条【遺産の分割の効力】
遺産の分割は、相続開始の時にさかのぼってその効力を生ずる。ただし、第三者の権利を害することはできない。
目次
【解釈・判例】
1.第三者とは、相続開始後遺産分割までの間の第三者で、相続分の譲受人(905条)は含まれない。第三者の善意・悪意は問わない(通説)。
2.第三者が本条ただし書によって権利を主張するには、対抗要件が必要である。
3.相続財産中の不動産につき、遺産分割により相続分と異なる権利を取得した相続人は、登記を経なければ、分割後に当該不動産につき権利を取得した第三者に対し、法定相続分を超える権利の取得を対抗することができない(最判昭46.1.26)。
4.共同相続人の1人に相続債務の全額を相続させる旨の遺産分割協議が調った場合でも、原則として相続債権者はそれ以外の共同相続人に対して相続債務の履行を請求できる。