第818条【親権者】
① 成年に達しない子は、父母の親権に服する。
② 子が養子であるときは、養親の親権に服する。
③ 親権は、父母の婚姻中は、父母が共同して行う。ただし、父母の一方が親権を行うことができないときは、他の一方が行う。
目次
【解釈・判例】
1.本条は、親権者について父母の共同親権の原則を規定している。
2.成年被後見人・被保佐人には、親権を行う能力はない(大判明39.4.2)。
3.養親と実親が夫婦の場合(配偶者の連れ子を養子とした場合)には、双方が親権者になる(昭25.9.22-2573号)。
4.養父母の双方が死亡した場合でも、実父母の親権は復活せず後見が開始するが、離縁をした場合には実父母の親権が復活する。
5.「共同して行う」とは、親権の行使が父母の共同の意思に基づくことを必要とするだけで、行使自体が父母共同名義で行われなければならないものではない。
→ 夫婦の一方が単独名義で法律行為を行った場合であっても、他方の同意があれば、共同行使の原則に反しない(最判昭32.7.5)。
6.「父母の一方が親権を行うことができないとき」には、親権者の親権の辞任(837条)、親権喪失の審判(834条)など法律上親権を行使できない場合や親権者の心神喪失、行方不明など事実上親権を行使できない場合がある。