第817条の9【実方との親族関係の終了】
養子と実方の父母及びその血族との親族関係は、特別養子縁組によって終了する。ただし、第817条の3第2項ただし書【夫婦の一方が他方の嫡出子の養親となる場合】に規定する他の一方及びその血族との親族関係については、この限りでない。
目次
【解釈・判例】
1.実方の父母とは、縁組前の法律上の父母を指すので、実父母の他、養父母、特別養子縁組の父母も含む。
2.特別養子縁組の成立により、養子と実方の父母およびその血族との法律上の親族関係は終了するので、相続権や扶養の権利義務等はなくなるが、生理上の血縁関係まで否定するものではない。婚姻障害は依然として存続する(734条、735条)。
3.特別養子の審判が確定した場合には、原則として、子の血縁上の父が戸籍上の父子間の親子関係不存在の確認を求める訴えの利益は消滅するが、そのような訴えが提起されているにもかかわらずその帰趨の定まる前に家事審判官が特別養子の許可をしたことは、血縁上の父の認知権限を不当に奪うものであり、著しく手続的正義に反するから、右審判には準再審の理由があると認められる(最判平7.7.14)。
4.実父の認知を受けないまま特別養子となった子を縁組後に認知することはできない。