民法 第811条【協議上の離縁等】

第811条【協議上の離縁等】

① 縁組の当事者は、その協議で、離縁をすることができる。

② 養子が15歳未満であるときは、その離縁は、養親と養子の離縁後にその法定代理人となるべき者との協議でこれをする。

③ 前項の場合において、養子の父母が離婚しているときは、その協議で、その一方を養子の離縁後にその親権者となるべき者と定めなければならない。

④ 前項の協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所は、同項の父若しくは母又は養親の請求によって、協議に代わる審判をすることができる。

⑤ 第2項の法定代理人となるべき者がないときは、家庭裁判所は、養子の親族その他の利害関係人の請求によって、養子の離縁後にその未成年後見人となるべき者を選任する。

⑥ 縁組の当事者の一方が死亡した後に生存当事者が離縁をしようとするときは、家庭裁判所の許可を得て、これをすることができる。

目次

【解釈・判例】

 1.協議離縁の要件

→ 当事者間の離縁意思の合致と離縁の届出

2.離縁意思は、届出の提出という形式的意思と、真に親子関係を解消しようという実質的意思が合致したときに認められる(実質的意思説)。離縁意思は、届出書作成の時と、届出の時の両時点で必要となる。

3.代諾縁組の場合は、法定代理人の代諾に同意した監護者(797条2項)の同意が要求されるが、代諾離縁の場合には、要求されていない。

4.転縁組の場合における協議者は、第二縁組離縁の場合は第一縁組の養親がなり(大8.6.4-1276号)、第一縁組離縁の場合は第二縁組の養親がなる(昭24.4.11-725号)。

5.死後離縁は、協議離縁と異なり、当事者の単独行為による離縁であるが、家庭裁判所の許可が必要である。

6.離縁の効果

(1) 離縁によって当事者の嫡出親子関係が消滅し、養子、その配偶者、養子の直系卑属及びその配偶者と養親及びその血族との親族関係が終了する(729条)。

(2) 養子は、離縁によって当然に縁組前の氏に復する(816条1項本文)。ただし、配偶者とともに養子をした養親の一方のみと離縁をした場合は、復氏しない(816条1項ただし書)。

→ 縁組の日から7年を経過した後に離縁によって縁組前の氏に復した者は、離縁の日から3か月以内に戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、離縁の際に称していた氏を称することができる(816条2項)。

(3) 養子が未成年者である場合、養親の親権が消滅し、実親の親権が復活する

問題

普通養子縁組の当事者は、養子が15歳未満であって離縁後にその法定代理人となるべき者がないときは、離縁の訴えによらなければ、離縁をすることができない

【平31-21-イ:×】

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