第808条【婚姻の取消し等の規定の準用】
① 第747条【詐欺又は強迫による婚姻の取消し】及び第748条【婚姻の取消しの効力】の規定は、縁組について準用する。この場合において、第747条第2項中「3箇月」とあるのは、「6箇月」と読み替えるものとする。
② 第769条【離婚による復氏の際の権利の承継】及び第816条【離縁による復氏等】の規定は、縁組の取消しについて準用する。
目次
【超訳】
詐欺又は強迫によって縁組をした者は、その婚姻の取消しを家庭裁判所に請求することができる。当該取消権は、当事者が、詐欺を発見し、若しくは強迫を免れた後6か月を経過し、又は追認をしたときは消滅する。
【解釈・判例】
縁組の取消しの効果
(1) 縁組の取消しは、将来に向かって効力を生じる(808条1項、748条1項)。
(2) 縁組が取り消された場合、縁組によって得た財産は返還しなければならない。善意の場合、現に利益を受ける限度で返還する義務を負う(808条1項、748条2項)。悪意の場合、縁組によって得た利益の全部を返還し、なお、相手方が善意であるときは、損害の賠償をしなければならない(808条1項、748条3項)。
(3) 縁組が取り消されると、養子は当然に縁組前の氏に復する(808条2項、816条1項本文)。
【比較】
縁組の取消し(804条~808条)
取消権者 | 取消権の消滅 | |
養親が20歳未満の者である縁組 | ・養親 ・養親の法定代理人 |
・養親が20歳に達した後6か月を経過 ・養親が成年に達した後、追認 |
養子が尊属又は年長者である縁組 | ・各当事者 ・当事者の親族 |
|
後見人と被後見人間の無許可縁組 | ・養子 ・養子の実方の親族 |
・管理の計算終了後、6か月経過 ・管理の計算終了後、養子が追認 |
配偶者の同意のない縁組 | 同意をしていない他方の配偶者 | ・縁組を知った後、6か月経過 ・縁組を知った後、追認 |
詐欺又は強迫による縁組 | 詐欺・強迫を受けた当事者 | ・詐欺を発見・強迫を免れた後、6か月経過 ・詐欺を発見・強迫を免れた後、追認 |
子の監護者の同意を欠く縁組 | 同意をしていない監護者 | ・監護者が追認 ・養子が15歳に達した後、6か月経過 ・養子が15歳に達した後、追認 |
養子が未成年者であるときの無許可縁組 | ・養子 ・養子の実方の親族 ・縁組の代諾をした者 |
養子が成年に達した後、6か月経過 |