第763条【協議上の離婚】
夫婦は、その協議で、離婚をすることができる。
目次
【解釈・判例】
1.協議離婚とは、夫婦が合意により婚姻の解消を約し、届出によってその効力を生じさせることをいう。
2.協議離婚の成立要件
(1) 離婚意思の合致
(2) 子の親権者の決定(819条1項)
(3) 戸籍の届出(創設的届出:764条、739条)
3.離婚意思とは、法律上の婚姻関係を解消する意思=協議離婚の届出をしようとする意思をいう(形式的意思説:大判昭16.2.3)。その動機は問わない。
(1) 債権者の強制執行を免れるための協議離婚(最判昭44.11.14)
(2) 氏の変更のための協議離婚
(3) 生活扶助を受けるための協議離婚(最判昭57.3.26)
4.離婚の当事者には、意思能力だけあればよい。成年被後見人が協議離婚する場合、成年後見人の同意は不要である(764条・738条)。
5.離婚意思は、届出書の作成時と提出時の両時点で必要である。離婚の合意があって届出書を作成した後、その届出書受理時において、離婚の意思が翻意され、その旨を相手方に通知したにもかかわらず、相手方により離婚の届出がされれば、その離婚は無効となる(最判昭34.8.7)。
【問題】
A及びBの婚姻中、Aが入院して収入を得られなくなり、生活保護法に基づく生活扶助を受けていたが、Bが働き始めて収入を得るようになったため、A及びBが従前と同額の生活扶助のための金銭の給付を受ける目的で、法律上の婚姻関係を解消する意思の合致に基づいて協議離婚の届出をした場合、当該離婚は無効ではない
【平21-22-ウ:○】