民法 第708条【不法原因給付】

第708条【不法原因給付】

不法な原因のために給付をした者は、その給付したものの返還を請求することができない。ただし、不法な原因が受益者についてのみ存したときは、この限りでない。

目次

【超訳】

 不法な原因のために給付をした者は、原則として、給付した物の返還を請求できない。

【解釈・判例】

1.「不法」とは、公序良俗違反のことをいう(最判昭27.3.18)。

→ 給付の動機が不法な場合でも、それが表示され当事者がそれを知っていれば「不法な原因」となりうる(大判昭13.3.30)。

2.「給付」とは、相手方に終局的な利益を与えることをいう。

(1) 既登記不動産は登記(最判昭46.10.28)、未登記不動産及び動産は引渡し(最判昭45.10.21)がなければ給付があったとはいえない。

(2) 公序良俗に反する契約による相手方の債権を担保するため、自己所有の不動産に抵当権を設定した場合であっても、給付があったとはいえない(最判昭40.12.27)。

3.給付者の不法よりも受益者の不法の方が著しく大きい場合には、給付者の返還請求が認められる(最判昭29.8.31)。

4.本条本文により、給付者において給付した物の不当利得返還請求ができなくなることの反射的効果として、給付物の所有権は受益者に帰属する(最判昭45.10.21)。したがって、給付者は所有権に基づく返還請求をすることもできない。

5.給付物を任意に返還する特約も有効である(最判昭28.1.22)。

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