民法 第697条【事務管理】

第697条【事務管理】

① 義務なく他人のために事務の管理を始めた者(以下この章において「管理者」という。)は、その事務の性質に従い、最も本人の利益に適合する方法によって、その事務の管理(以下「事務管理」という。)をしなければならない。

② 管理者は、本人の意思を知っているとき、又はこれを推知することができるときは、その意思に従って事務管理をしなければならない。

目次

【超訳】

① 法律上の義務がないのに他人のために他人の事務を行う(事務管理)者は、その事務の性質に従って、最も本人の利益になる方法で管理しなければならない。

② 管理者が本人の意思を知っていたり、推察できたりするときは、それに従って管理しなければならない。

【解釈・判例】

1.事務管理とは、義務がないのに他人のためにその事務を処理する行為をいう。

2.要件

(1) 法律上の義務がないこと

(2) 他人のためにする意思を有すること

→ 自己の利益のためにする意思と併存しても差し支えない(大判大8.6.26)。

(3) 他人の事務を管理すること

→ 客観的に見て他人の事務に当たる場合でなくても差し支えない(通説)。

(4) 本人の意思や利益に反することが明らかでないこと

→ 本人の意思を知り、又は推知することができる場合は、本人の意思に従うこと

3.効果

(1) 社会生活における相互扶助の精神から管理行為の違法性は阻却されるが、債務不履行責任は別途生じうる。

(2) 管理者が本人の名で法律行為をした場合は無権代理となり、本人の追認がない限り本人に効果は帰属しない(最判昭36.11.30)。

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