民法 第622条の2

第622条の2

① 賃貸人は、敷金(いかなる名目によるかを問わず、賃料債務その他の賃貸借に基づいて生ずる賃借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的とする債務を担保する目的で、賃借人が賃貸人に交付する金銭をいう。以下この条において同じ。)を受け取っている場合において、次に掲げるときは、賃借人に対し、その受け取った敷金の額から賃貸借に基づいて生じた賃借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的とする債務の額を控除した残額を返還しなければならない。

一 賃貸借が終了し、かつ、賃貸物の返還を受けたとき。

二 賃借人が適法に賃借権を譲り渡したとき。

② 賃貸人は、賃借人が賃貸借に基づいて生じた金銭の給付を目的とする債務を履行しないときは、敷金をその債務の弁済に充てることができる。この場合において、賃借人は、賃貸人に対し、敷金をその債務の弁済に充てることを請求することができない。

目次

【解釈・判例】

1.敷金とは、いかなる名目によるかを問わず、賃料債務その他の賃貸借に基づいて生ずる賃借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的とする債務を担保する目的で、賃借人が賃貸人に交付する金銭のことである(1項柱書かっこ書)。

2.賃借人の敷金返還請求権は、賃貸借が終了し、かつ、賃貸物の返還を受けたときに発生する(2項1号)。敷金の返還と目的物の明渡しは同時履行の関係に立たず、明渡しが先履行となる。

3.賃貸借終了後に賃貸物の明渡しがされた場合、敷金は残存債務に当然に充当される。

4.賃貸借契約の存続中に賃借人が負担した債務を履行しない場合、賃貸人は、敷金を当該債務の弁済に充当することができるが、賃借人には充当請求権はない(2項)。

5.当事者の交代と敷金の承継

(1) 賃貸人の場合

① 賃貸不動産が譲渡され、賃貸人の地位が譲受人に移転する場合、敷金の返還債務は譲受人が承継する(605条の2第4項)。

② 賃貸借の終了後、その明渡し前に、目的物の所有権が移転した場合、敷金に関する権利義務は、旧所有者と新所有者の合意のみでは新所有者に承継されない(最判昭48.2.2)。

(2) 賃借人の場合

賃貸人の承諾を得た上で、賃借権が旧賃借人から新賃借人に移転した場合でも、敷金に関する権利義務関係は、特段の事情のない限り、新賃借人に承継されない(最判昭53.12.22)。

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