第620条【賃貸借の解除の効力】
賃貸借の解除をした場合には、その解除は、将来に向かってのみその効力を生ずる。この場合においては、損害賠償の請求を妨げない。
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【解釈・判例】
1.本条は、賃貸借のような継続的契約においては、解除に遡及効を与えると極めて複雑な清算をしなければならないことから、遡及しないとしたものである。
2.本条は、委任契約(652条)や組合契約(684条)に準用されている。
3.賃借人が賃貸人との間の信頼関係を破壊し、賃貸借契約の継続を著しく困難とするような不信行為があった場合には、賃貸人は、催告を要せず、将来に向かって賃貸借契約を解除することができる(最判昭27.4.25)。
→ 賃借人の債務不履行が信頼関係を破壊すると認めるに足りないときは、賃貸人は賃貸借契約を解除することができない(最判昭41.4.21)。