第567条【目的物の滅失等についての危険の移転】
① 売主が買主に目的物(売買の目的として特定したものに限る。以下この条において同じ。)を引き渡した場合において、その引渡しがあった時以後にその目的物が当事者双方の責めに帰することができない事由によって滅失し、又は損傷したときは、買主は、その滅失又は損傷を理由として、履行の追完の請求、代金の減額の請求、損害賠償の請求及び契約の解除をすることができない。この場合において、買主は、代金の支払を拒むことができない。
② 売主が契約の内容に適合する目的物をもって、その引渡しの債務の履行を提供したにもかかわらず、買主がその履行を受けることを拒み、又は受けることができない場合において、その履行の提供があった時以後に当事者双方の責めに帰することができない事由によってその目的物が滅失し、又は損傷したときも、前項と同様とする。
目次
【解釈・判例】
1.特定物(又は目的物の特定が生じた種類物)の売買の場合において、目的物が買主に引き渡された後、当事者双方の帰責事由によらずに当該目的物が滅失・損傷したときは、買主は、履行の追完請求、代金減額請求、損害賠償請求、解除をすることができず、代金の支払を拒むこともできない(1項)。
2.引渡し後の目的物の滅失・損傷が売主の帰責事由による場合は、買主は、上記の権利を行使することができる。
3.売主が契約内容に適合する目的物を引き渡して履行の提供をしたにもかかわらず、買主が受領しなかった場合において、履行の提供があった時以後に当事者双方の帰責事由によらずに目的物が滅失・損傷したときは、買主は、履行の追完請求、代金減額請求、損害賠償請求、解除をすることができない(2項)。