第556条【売買の一方の予約】
① 売買の一方の予約は、相手方が売買を完結する意思を表示した時から、売買の効力を生ずる。
② 前項の意思表示について期間を定めなかったときは、予約者は、相手方に対し、相当の期間を定めて、その期間内に売買を完結するかどうかを確答すべき旨の催告をすることができる。この場合において、相手方がその期間内に確答をしないときは、売買の一方の予約は、その効力を失う。
目次
【超訳】
① 売買の一方の予約は、予約完結権者が完結の意思表示をすれば、それだけで売買の効力が生ずる。
② 予約完結の意思表示に期間の定めがない場合は、相手方に催告権があり、確答がないと予約完結権が消滅する。
【解釈・判例】
1.売買の一方の予約とは、予約権利者が、相手方に対して予約完結の意思表示をすれば、相手方の承諾なくして売買契約が成立するという売買予約の一種である。
2.予約完結権は予約義務者の承諾なく譲渡することができる。その対抗要件は債権譲渡に準じて通知又は承諾を要するが(大判大13.2.29)、予約完結権が仮登記によって保全されている場合は、仮登記に権利移転の付記登記をすることで対抗要件となる(最判昭35.11.24)。
3.不動産の再売買の予約において、予約上の権利について仮登記された後に当該不動産の所有権が第三者に移転した場合でも、売買完結の意思表示は、当初の予約義務者に対してすべきである(大判昭13.4.22)。