第550条【書面によらない贈与の解除】
書面によらない贈与は、各当事者が解除をすることができる。ただし、履行の終わった部分については、この限りでない。
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【解釈・判例】
1.本条本文は、書面によらない贈与は解除できるとすることで、贈与者の軽率な行為を戒め、贈与者の意思を明確にすることによって、後日の紛争を回避する趣旨である。贈与者だけでなく、受贈者からの解除も可能である。
2.書面によらない贈与であっても、履行の完了した部分については解除できない(ただし書)。贈与の意思が外形的に明白な行為がなされれば、履行の完了とされる。
(1) 動産の贈与の場合
当該動産の引渡しがあれば、履行の完了とされる。引渡しは、占有改定でも簡易の引渡しでもよい。
(2) 不動産の贈与の場合
当該不動産の引渡し又は所有権移転登記のいずれかがなされれば、履行の完了とされる(大判昭2.12.17、最判昭40.3.26)。