第545条【解除の効果】
① 当事者の一方がその解除権を行使したときは、各当事者は、その相手方を原状に復させる義務を負う。ただし、第三者の権利を害することはできない。
② 前項本文の場合において、金銭を返還するときは、その受領の時から利息を付さなければならない。
③ 第一項本文の場合において、金銭以外の物を返還するときは、その受領の時以後に生じた果実をも返還しなければならない。
④ 解除権の行使は、損害賠償の請求を妨げない。
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【解釈・判例】
1.契約が解除されると、その直接の効果として、契約上の債権・債務は初めに遡って消滅し、その結果、初めから契約を結ばなかったことになる(大判大6.12.27)。既に履行された債務は遡及的に消滅し、不当利得返還義務が発生する。未履行の債務は当然に履行の義務を免れる。
2.原状回復の内容
(1) 給付された物が原物のままで存在する場合は、これを返還する。
(2) 解除による原状回復として金銭を返還する場合、受領の時からの利息を付さなければならない(2項)。
(3) 解除による原状回復として金銭以外の物を返還する場合、当該物を受領した時以後に生じた果実を返還しなければならない(3項)。使用利益についても同様である。
(4) 解除をしてもなお損害があれば、損害賠償の請求も可能である(4項)。
3.解除と第三者の関係
(1) 本条1項ただし書の「第三者」とは、解除前に新たに独立の権利を取得した者をいう。善意であることは不要だが、第三者が保護されるためには対抗要件(権利保護要件)を具備していなければならない(大判大10.5.17、最判昭33.6.14)。
(2) 解除後の第三者については、対抗要件の具備によって処理される(最判昭35.11.29)。