第520条【混同】
債権及び債務が同一人に帰属したときは、その債権は、消滅する。ただし、その債権が第三者の権利の目的であるときは、この限りでない。
目次
【超訳】
債権と債務の混同によって、債権は消滅する。ただし、債権が第三者の権利の目的である場合など債権を存続させることに意味がある場合には、債権は消滅しない。
【解釈・判例】
1.混同とは、債権と債務とが同一人に帰属することである。相続、合併、債権の譲受けなどによって混同が生じる。
2.混同は事実であって行為ではない。
3.混同によって債権が消滅する。ただし、以下の場合は消滅しない。
(1) 債権が第三者の権利の目的である場合
→ 同一人に帰属した債権が、第三者の権利の目的である場合など、債権を存続させることに法律上意味がある場合には、債権は消滅しない。
(2) 不動産賃貸借関係
→ 家屋の転借人が当該家屋の所有者たる賃貸人の地位を承継しても、賃貸借関係及び転貸借関係は当事者間の合意がない限り消滅しない(最判昭35.6.23)。
【問題】
転借人が土地の所有権を取得した場合でも、転借権は、混同により消滅しない
【平17-20-エ改:〇】
【問題】
保証人Aが主たる債務者Bを単独で相続した場合において、保証債務のためにA所有の建物に抵当権が設定されていたときは、保証債務は、消滅する
【平16-8-ア:×】