第496条【供託物の取戻し】
① 債権者が供託を受諾せず、又は供託を有効と宣告した判決が確定しない間は、弁済者は、供託物を取り戻すことができる。この場合においては、供託をしなかったものとみなす。
② 前項の規定は、供託によって質権又は抵当権が消滅した場合には、適用しない。
目次
【超訳】
① 債権者が供託所に対して、供託物を受け取ることを承諾しない間は、供託した者は供託物を取り戻すことができる。また、供託を有効と宣告した判決が確定しない間も同様に取り戻すことができる。供託物を取り戻したときは、供託をしなかったものとみなされる。
② 供託したために、質権や抵当権が消滅してしまったときは、供託物を取り戻すことはできない。
【解釈・判例】
1.供託物の取戻しとは、供託を撤回する一種の形成権である。取戻しがなされると解除条件が成就し、供託はなかったものとなり、債権及びそれに伴う保証債務・留置権は遡って消滅しなかったことになる。
2.供託物の取戻しの要件(民法上)
(1) 債権者が供託を受諾しないとき(本条1項前段)
(2) 供託を有効と宣言した判決が確定しない間(本条1項後段)
(3) 供託によって質権・抵当権が消滅しない間(本条2項)