第492条【弁済の提供の効果】
債務者は、弁済の提供の時から、債務を履行しないことによって生ずべき責任を免れる。
目次
【超訳】
債務者が債務を弁済するための手段をとれば、債権者が受領しなくても、その時から債務不履行の責任を一切負わなくてもよい。
【解釈・判例】
1.弁済の提供とは、債権者の協力なしに給付行為が完了しない債務について、債務者が給付を実現するために必要な準備をして、債権者の協力を求めることである。
2.弁済提供の効果
(1) 弁済の提供があると、債務者は、その提供の時から、債務不履行によって生ずる責任を免れる。債務は消滅しないが、債務者は履行遅滞の責任を負わないことになる。
(2) 履行遅滞を理由とする債権者の損害賠償請求権や解除権は発生しない。また、履行遅滞を理由とする遅延賠償や違約金を支払う必要がなくなる。当該債権に設定されていた担保権を実行されることもなくなる。