第412条の2【履行不能】
① 債務の履行が契約その他の債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして不能であるときは、債権者は、その債務の履行を請求することができない。
② 契約に基づく債務の履行がその契約の成立の時に不能であったことは、第415条の規定によりその履行の不能によって生じた損害の賠償を請求することを妨げない。
目次
【解釈・判例】
1.意義
(1) 履行が不能であるかどうかは、契約その他の債務の発生原因及び取引上の社会観念にしたがって判断される。履行が物理的に不能な場合に限られない。債権者の受ける利益と比較して債務の履行に過大な費用が必要となる場合も履行不能に該当する。
(2) 不動産の売主が目的物を第三者に譲渡して移転登記をした場合には、売主の債務は原則として直ちに不能となる(最判昭35.4.21)。
2.原始的不能の場合であっても、契約は有効に成立する。この場合、契約の原始的不能を理由に損害賠償請求や契約の解除をすることができる(本条2項)。
【問題】
不動産の買主は、売主が当該不動産を第三者に売却し、かつ、当該第三者に対する所有権の移転の登記がされた場合には、履行不能を理由として直ちに契約を解除することができる
【平29-16-エ:○】