第398条の21【根抵当権の極度額の減額請求】
① 元本の確定後においては、根抵当権設定者は、その根抵当権の極度額を、現に存する債務の額と以後2年間に生ずべき利息その他の定期金及び債務の不履行による損害賠償の額とを加えた額に減額することを請求することができる。
② 第398条の16の登記がされている根抵当権の極度額の減額については、前項の規定による請求は、そのうちの一個の不動産についてすれば足りる。
【超訳】
① 元本の確定後に、根抵当権設定者は根抵当権者に対して極度額を現存する債務額と以後2年間に生ずる利息、遅延損害金等を加えた額まで減額することを請求できる。
② 純粋共同根抵当権については、各不動産につき設定者が異なっていても、減額請求を1つの不動産について行うと全部について減額の効果が生じる。
【解釈・判例】
1.減額請求は形成権の行使であり、当事者の合意による極度額の変更ではないことから、民法398条の5の規定は適用されず、減額請求をする際に利害関係人の承諾を得る必要はない。設定者(又は第三取得者)から根抵当権者に対する意思表示が到達した時に減額請求の効力が生ずる。
2.根抵当権が共有である場合は、設定者は全ての根抵当権者に対して減額請求をしなければならず、不動産が共有である場合は、設定者全員から根抵当権者に対して減額請求をしなければならない。
【問題】
元本の確定後においては、根抵当権設定者は、その根抵当権の極度額を、現に存する債務の額と以後2年間に生ずべき利息その他の定期金及び債務の不履行による損害賠償の額とを加えた額に減額することを請求することができる
【平29-14-エ:○】
元本の確定前にできること | ① 債権の範囲・債務者の変更
② 確定期日の変更 ③ 全部譲渡・分割譲渡・一部譲渡 ④ 根抵当権の共有者の権利移転 ⑤ 優先の定めの合意(登記は確定後でも可) |
元本の確定後にできること | ① 民法376条の処分(根抵当権のみの譲渡・放棄、順位の譲渡・放棄)
② 債権譲渡・代位弁済による移転 ③ 債務引受を原因とする根抵当権の変更 ④ 更改を原因とする根抵当権の変更 ⑤ 弁済を原因とする抹消 ⑥ 極度額の減額請求 ⑦ 根抵当権の消滅請求 |
元本の確定の前後を問わずできること | ① 極度額の変更 ② 転抵当権の設定 ③ 順位の変更 |