第398条の20【根抵当権の元本の確定事由】
① 次に掲げる場合には、根抵当権の担保すべき元本は、確定する。
一 根抵当権者が抵当不動産について競売若しくは担保不動産収益執行又は第372条において準用する第304条の規定による差押えを申し立てたとき。ただし、競売手続若しくは担保不動産収益執行手続の開始又は差押えがあったときに限る。
二 根抵当権者が抵当不動産に対して滞納処分による差押えをしたとき。
三 根抵当権者が抵当不動産に対する競売手続の開始又は滞納処分による差押えがあったことを知った時から2週間を経過したとき。
四 債務者又は根抵当権設定者が破産手続開始の決定を受けたとき。
② 前項第3号の競売手続の開始若しくは差押え又は同項第4号の破産手続開始の決定の効力が消滅したときは、担保すべき元本は、確定しなかったものとみなす。ただし、元本が確定したものとしてその根抵当権又はこれを目的とする権利を取得した者があるときは、この限りでない。
【超訳】
次の場合は、根抵当権の担保すべき元本が確定する。
一 根抵当権者自らが、抵当不動産につき競売又は物上代位による差押えを申立てたとき。ただし、現実に競売手続の開始又は差押えがあったときに限られる。
二 根抵当権者たる国又は公共団体(滞納処分により債権を徴収する場合に限定されるから)が抵当不動産に対し滞納処分による差押えをなしたとき。
三 根抵当権者が第三者による抵当不動産に対する競売手続の開始又は滞納処分による差押えのあったことを知ったときから2週間を経過したとき。
ただし、競売手続の開始若しくは差押えの効力が消滅したときは担保すべき元本は確定しなかったものとみなされる。しかし、元本が確定したものとしてその根抵当権又はこれを目的とする権利を取得した者があるときは元本が確定する(2項)。
四 債務者又は根抵当権設定者が破産手続開始の決定を受けたとき。
ただし、破産手続開始の決定の効力が消滅したときは担保すべき元本は確定しなかったものとみなされる。しかし、元本が確定したものとしてその根抵当権又はこれを目的とする権利を取得した者があるときは元本が確定する(2項)。
【解釈・判例】
転根抵当権者が差押えを申し立てたときは、3号(第三者の差押え)に該当し、差押えの効力が消滅したときは、確定しなかったものと解される(平9.7.31-1301号)。
【暗記】
確定の時 | 差押えが取下げられた場合 | |
根抵当権者自身の差押え | 差押えの申立時 | 確定の効果に影響を与えない |
第三者の差押え | 差押えを知ったときから2週間を経過したとき | 原則として、確定しなかったものとみなされる |