第384条【債権者のみなし承諾】
次に掲げる場合には、前条各号に掲げる書面の送付を受けた債権者は、抵当不動産の第三取得者が同条第3号に掲げる書面に記載したところにより提供した同号の代価又は金額を承諾したものとみなす。
一 その債権者が前条各号に掲げる書面の送付を受けた後2箇月以内に抵当権を実行して競売の申立てをしないとき。
二 その債権者が前号の申立てを取り下げたとき。
三 第1号の申立てを却下する旨の決定が確定したとき。
四 第1号の申立てに基づく競売の手続を取り消す旨の決定(民事執行法第188条において準用する同法第63条第3項若しくは第68条の3第3項の規定又は同法第183条第1項第5号の謄本が提出された場合における同条第2項の規定による決定を除く。)が確定したとき。
目次
【超訳】
抵当権消滅請求の書面の送達を受けた抵当権者らは、第三取得者からの提示金額が不服であるときは、2か月の熟慮期間内に競売申立てをしなければならない。2か月内に競売申立てがない場合の他、競売申立ての取下げ、競売申立ての却下あるいは競売手続の取消決定の確定があったときは、抵当権消滅請求を承諾したものとみなされる。
【解釈・判例】
1.抵当権者の申立てに基づく競売手続において、入札又は競り売りの方法による売却を3回以上実施しても買受申出がない場合(売却の見込みのない場合)、民事執行法68条の3第3項により、競売手続の取消制度の適用を受ける。しかし、この規定によって取消しになっても、抵当権消滅請求の承諾擬制は生じない(本条4号括弧書)。この結果、裁判所により売却の見込みがない場合として競売が取り消されても、抵当権はそのまま存続することになる。
【問題】
抵当権者が抵当権消滅請求を拒むには、第三取得者から抵当権消滅請求の書面の送付を受けた後2か月以内に抵当権を実行して競売の申立てをしなければならない
【平19-14-イ:〇】