民法 第374条【抵当権の順位の変更】

第374条【抵当権の順位の変更】

① 抵当権の順位は、各抵当権者の合意によって変更することができる。ただし、利害関係を有する者があるときは、その承諾を得なければならない。

② 前項の規定による順位の変更は、その登記をしなければ、その効力を生じない。

目次

【解釈・判例】

1.合意の当事者

(1) 抵当権者間だけでなく、根抵当権者、抵当権の仮登記権利者、不動産質権者、不動産先取特権者とも順位の変更ができる。

(2) 形式的に順位の変更はなくても、実質的に順位の変更が生ずる場合(次の例の中間者B・C)は、その抵当権者全員が、合意すべき当事者となる

※ 順位の上昇するC・Dと、降下するA・Bの被担保債権額(又は極度額)の大小に関係なく、中間者B・Cも合意当事者となる。

2.承諾を要する利害関係人とは、順位の変更により不利益を受ける者をいう。

<例:1番A、2番B、3番C → 1番C、2番B、3番A と変更する場合>

利害関係人に該当する者 (1) 順位が下降するAの抵当権についての

① 被担保債権の差押債権者

② 抵当権の移転(又は移転請求権)の仮登記を受けている者

③ 転質権者

④ 376条の抵当権の譲渡等の処分を受けている者

(2) 順位が変わらないBの抵当権についての上記①~④の者は、Cの抵当権の被担保債権額(極度額)が、Aの債権額より大きいとき。

利害関係人に該当しない者 (1) 順位が上昇するCの抵当権についての上記①~④の者

(2) 順位が変わらないBの抵当権についての上記①~④の者は、Cの抵当権の被担保債権額(極度額)が、Aの債権額よりも小さいとき。

3.順位変更の登記

順位の変更は、その登記をすることによって効力を生ずる(効力発生要件、本条2項)。

4.順位変更の効果

順位変更は、合意の当事者及び利害関係人に対しては絶対的な効力を生じる。

【問題】

債務者Aに対する債権者として、A所有の甲土地の第1順位の抵当権者B(被担保債権額600万円)、第2順位の抵当権者C(被担保債権額2100万円)及び第3順位の抵当権者D(被担保債権2400万円)がいる場合、抵当権の順位を、第1順位の抵当権者D、第2順位の抵当権者C及び第3順位の抵当権者Bと変更するためには、BとDの合意があれば足りる

【平29-12-ア改:×】

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