民法 第304条【物上代位】

第304条【物上代位】

① 先取特権は、その目的物の売却、賃貸、滅失又は損傷によって債務者が受けるべき金銭その他の物に対しても、行使することができる。ただし、先取特権者は、その払渡し又は引渡しの前に差押えをしなければならない。

② 債務者が先取特権の目的物につき設定した物権の対価についても、前項と同様とする。

目次

【超訳】

① 先取特権は、目的物の売却、賃貸、滅失又は損傷によって債務者が受ける金銭その他の物、及び目的物上に設定した物権の対価についてもその効力を及ぼすことができる。先取特権のこのような性質を物上代位性という。

【解釈・判例】

1.一般先取特権については債務者の総財産の上に効力が及ぶため、物上代位権は性質上認められない。

2.「金銭その他の物」とは、目的物の売却代金、目的物の賃貸料、保険金、損害賠償金等である。

3.関連判例

(1) 物上代位権行使の目的たる債権について、一般債権者が差押え又は仮差押えの執行をした場合であっても、その後に先取特権者が当該債権に物上代位権を行使することは妨げられない(最判昭60.7.19)。

(2) 請負工事に用いられた動産の売主は、原則として、請負人が注文者に対して有する請負代金債権に対して動産売買の先取特権に基づく物上代位権を行使することができないが、請負代金全体に占める当該動産の価額の割合や請負契約における請負人の債務の内容等に照らして請負代金債権の全部又は一部を当該動産の転売による代金債権と同視するに足りる特段の事情がある場合には、当該部分の請負代金債権に対して物上代位権を行使できる(最決平10.12.18)。

(3) 304条1項ただし書は、抵当権と異なり公示方法が存在しない動産売買の先取特権については、物上代位の目的債権の譲受人等の第三者の利益を保護する趣旨を含むから、動産売買の先取特権者は、物上代位の目的債権が譲渡され、第三者に対する対抗要件が備えられた後においては、目的債権を差し押さえて物上代位権を行使することはできない(最判平17.2.22)。

【問題】

動産売買の先取特権の目的である動産を用いて当該動産の買主が請負工事を行ったとしても、請負代金債権の全部又は一部を当該動産の転売による代金債権と同視するに足りる特段の事情がある場合には、先取特権者は、その部分の請負代金債権について物上代位権を行使することができる

【平28-11-エ:○】

【問題】

動産売買の先取特権者は、物上代位の目的債権が譲渡され、第三者に対する対抗要件が備えられた後においては、目的債権を差し押さえて物上代位権を行使することはできない

【平30-12-エ:〇】

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