第242条【不動産の付合】
不動産の所有者は、その不動産に従として付合した物の所有権を取得する。ただし、権原によってその物を附属させた他人の権利を妨げない。
目次
【超訳】
不動産の所有者は、動産が不動産に付着し、両者を分離・復旧することが社会経済上不利益となるような場合、当該動産の所有権を取得する。ただし、動産の所有者が、地上権・賃借権・永小作権等、当該不動産を利用し、物を付属させることができる法律上の地位に基づいて、動産を不動産に付属させたときは、当該動産の所有権は留保される。
【解釈・判例】
1.付合の原因は、人為的であると自然的であるとを問わない。
2.「権原」とは、当該不動産を利用し、動産を付属させる法律上の地位をいう(例:土地賃借人や地上権者が地上に植林する場合)。
3.権原のない他人が土地所有者に無断で苗木を植えた場合、苗木は土地所有者に帰属することになるため、苗木を植えた者は抜去する義務を負わない(最判昭46.11.16)。
4.権原による所有権の留保が認められるのは、弱い付合の場合だけである。
5.建物賃借人が家主の承諾を得て増改築した場合であっても、その部分が構造上・取引上の独立性を有しない場合には付合(強い付合)が生じ、242条ただし書の適用はない(最判昭38.5.31、44.7.25)。
【問題】
賃借人Aが賃借建物の増改築を行った場合において、増改築部分が建物の構成部分となっているときは、当該増改築について賃貸人Bの承諾があったとしても、Aは、増改築部分について所有権を取得しない
【平15-10-ア:○】