民法 第152条【承認による時効の更新】

第152条【承認による時効の更新】

① 時効は、権利の承認があったときは、その時から新たにその進行を始める。

② 前項の承認をするには、相手方の権利についての処分につき行為能力の制限を受けていないこと又は権限があることを要しない。

目次

【解釈・判例】

1.承認とは、時効の利益を受けるべき者が権利者に対して権利の存在を認識していることを表示することである。承認は権利行使ではないが、それによって権利の存在が明確になることから、時効の更新事由となる。

2.承認は観念の通知であり、権利の放棄でも義務の新たな負担でもないから、承認をすることについて処分能力・権限は不要であり、財産の管理能力・管理権があれば足りる(2項)。

3.同一の当事者間に数個の金銭消費貸借契約に基づく各元本債務が存在する場合において、借主が弁済を充当すべき債務を指定することなく全債務を完済するのに足りない額の弁済をしたときは、当該弁済は、特段の事情のない限り、各元本債務の承認として消滅時効を更新する効力を有すると解するのが相当である(最判令2.12.15)。

【比較】

※1 催告によって時効の完成が猶予されている間にされた再度の催告は、時効の完成猶予の効力を有しない(民150条2項)。また、催告によって時効の完成が猶予されている間に、権利についての協議を行う旨の合意が書面でされた場合であっても、当該合意は時効の完成猶予の効力を有しない(民151条3項前段)。
※2 権利についての協議を行う旨の合意がされたことにより、時効の完成が猶予されている間にされた再度の合意は、時効の完成猶予の効力を有する(民151条2項本文)。
※3 承認をすることについて処分能力や権限は不要であり、財産の管理能力・管理権があれば足りる(民152条2項)。

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