第146条【時効の利益の放棄】
時効の利益は、あらかじめ放棄することができない。
目次
【解釈・判例】
1.時効利益の放棄とは、時効の完成によって得られる利益を放棄する旨の意思表示のことである。
2.時効の完成前に時効利益の放棄をすることはできない。一方、時効が完成した後であれば、有効に時効利益の放棄をすることができる。
3.時効利益の放棄の効果は、放棄した者との関係においてのみ生ずる(相対効)。例えば、主たる債務者が主たる債務につき時効の利益を放棄したとしても、保証人は主たる債務につき消滅時効を援用できる。
4.債務について消滅時効が完成した後、債務者が時効完成の事実を知らずに債務を承認した場合、時効利益の放棄には当たらないが、相手方の信頼を保護する必要があるから、債務者がその完成した消滅時効を援用することは信義則上認められない(最判昭41.4.20)。
→ 消滅時効完成後に債務を承認した債務者は、承認以後再び時効が完成すれば、その時効を援用することができる(最判昭45.5.21)。
【問題】
連帯債務者のうちの一人が時効の利益を放棄した場合には、他の連帯債務者にもその時効の利益の放棄の効力が及ぶので、他の連帯債務者も、時効の援用をすることができなくなる
【平24-6-オ改:×】